第17話 ボス設定
俺の初異界はレジャーになってしまったが、得るものはあった。ハンターに見守られていたとはいえ、体験できたのは大きい。
探索者の実力も少しだけ見れたし。一緒に飯を食べたCランクの安楽城さんだったか、あの人は俺の魔法に速攻で気づいたもんな。
あの青い鳥を仕留めた時、纏衣の真価を知った。纏衣した魔魂獣に意識があるのは知っていたが、実戦だととんでもないアドバンテージになる。
リープの視界が見える訳じゃないが、リープが見ている場所を感じることができる。つまり、俺が下を見ていようが、上も後ろもカバー出来るということだ。
あの時も視線を向けなかったことで逃げられなかった。
「ホール...待たせたな。目覚めろ、大瑠璃」
大瑠璃の魔石は額にある。額に触れて、そのまま術を発動させる。
「ぴるー」
「よろしくな、ブルー」
【種 族】 大瑠璃〈特異体〉雄
【名 前】 ブルー
【ランク】 F
【レベル】 4
【 力 】 5
【耐久力】 8
【素早さ】 17
【魔 力】 12
【体 力】 9
【知 力】 16
【スキル】 火気2 雲散霧消3
【経験値】 0/800
名前は、シンプルにブルーだ。
にしても、また特異体か...ボスだったカンはともかく、リープもだったな。ブルーは、俺のこと監視してたよな。俺から魔魂獣の匂いでも感知したか?
気配を消していたのはスキルだったか、火気って火魔法じゃないのか?要検証だな。
今APは約1500ポイント、異界ではAPを貯められなかったのは予定外だったが、とあることに気づいた。
ボス、設定すればよくないか?
◆◆◆◆◆◆
以前は、襲われると思ったから止めたんだけど、1500ポイントで先にボスを設定して、ダンジョンを利用した方がお得だよな。
ボス役には、特異体じゃないけどコボルドランサー(500ポイント)にボス格(700ポイント)を付与して、召喚。
ボスの間の上座に光る陣が現れ、コボルドランサーが出現する。同時に、核に淡い光が戻る。
「登場して早々悪いが、やれ、リープ、カン」
今は邪魔だ、ボスには消えてもらう。
「経験値400にAPが50貯まったぞ。予想通り使えるな」
復活はどれくらいかかるかな?ダンジョンの詳細は検証が必要だ。ブルーの能力にしろ、従魔のレベル上げの過程で明らかにしよう。
「よし、一旦ダンジョンの中を一掃するか」
「ブルー、火気ってどう使うんだ?あのコボルドに撃ってみてくれ」
「ぴるーぅ」
ブルーの嘴の先から火花が起きる。火花はチチッと音を立てコボルドに向かって飛んでいく。火花はコボルドの顔に当たった瞬間、小さな爆発を伴い、火で包んだ。火自体はすぐ消えたが、
「中々えげつないな」
コボルドはまだ生きている。ブルーのレベルなら十分な威力だ。供給で魔力を上げ、もう一度火気を使ってもらう。爆発と火傷で意識が朦朧としたコボルドに止めが入った。
「ん?あんまり威力が上がった気がしないな」
火気に影響があるのは魔力だけじゃないのかも。通常のコボルドは経験値100にAP20か。検証を続けよう。
ダンジョンの一掃であらかた分かったな。火気は魔力と知力に左右されるようだ。それと、火を放射状にも出せる。範囲は狭いがスキルが育てば使えそうだ。
コボルドのダンジョンリソース収支
・通常魔物30体(経験値3000AP300)、ボス(経験値400AP50)
・魔石リサイクル F級30個×1ポイント E級2ポイント
・復活時間 1時間
・復活コスト 通常30体150ポイント、ボス25ポイント
・CP自然回復 1日 150~200ポイント?
こんな感じか?
俺のAP自体はどんどん増えるが、ダンジョンだけで見るとCPはカツカツだな。1日1巡が限界。APを投入すれば復活させてもプラスにはなるが。
魔石はダンジョンにとって価値が低いらしい。あとは何らかの資源投入をするしかない。
ダンジョンが成長しようと思ったら、魔物を外に派遣するのも頷けるな。
魔魂獣に食事は必要ないが、疲れは溜まるからな。適度にレベル上げとリソース稼ぎをやっていくか。