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第16話 初の異界③~大瑠璃~

 午後からもやることは変わらない。

 

 獲物を求めて、もう少し奥に行こうとしたら、さっきのハンターさんが現れて止められてしまった。どうやらモンスターを森の奥へ追いやったそうだ。残念。


 威嚇をやり過ぎたと呟きが聞こえた。Cランクハンターが、オーラで辺りを威嚇したらこんなことになるのか。弱い魔獣なら恐れて当然だが、すごいな。

 出来てもやるなよ、と忠告されたが、流石にそんなことしない。ここまで来たことが、どうやら無謀な人間に見えたのかも。



 夜、テントの傍で1日の振り返りをしていると、何かに見られている気がした。が、暗くて分からない。そうこうしていると気配は消えていた。


 そういえば、俺達が森に入ってから鳴き声が聞こえなくなったな...


◆◆◆◆◆◆

 

 まだ生徒はそんなに起き出してないな。

 

 最後の夜番で、丸太に座ってボーっとしていると、昨日と同じ気配を感じた。動くと気づかれるからな。


『リープ、纏衣頼む』


『風刃』


 俺は樹上の存在に風刃を放つ。魔力の高まりに気づいて逃げようとしたが、唐突過ぎて反応が遅れてしまったようだ。青い翼と体を半ばまで切り裂いたところを()()視界に捉えた。

 こいつは森の侵入者を監視していたのだろう...

 

 すぐに周囲を確認し、駆け寄って亡骸をホールにしまう。


「何かあったのか?」


「いえ、鳥の魔物がいたんですけど、逃げられちゃいました」


 魔法に気づいた昨日のハンターさんが近づいてきたが、特に詮索はされなかった。地面に血が残っているだけで、仕留めた証は無いしな。


 あの時見た青い鳥と同じ種類だった。復活はもう少し待っていてほしい。



 

 最終日は昼までで終わりだ。みんな一日中慣れない森を歩き回ってたし、夜も熟睡出来てないしな。


 森にはちょろちょろと生き物が戻ってきている。遠巻きに此方を見てから逃げ出していくのを何度か経験している。

 でも、今日のターゲットはこいつらじゃない。俺達の班は4人中3人が釣竿を持ってきている。昨日、見つけた川で釣り予定だ。竿は先生に事情を説明したら、昨日のうちに用意してくれた。

 

 獲物がいないと見越しての行動だったが、裏目に出たかな?

 

「いいんじゃない?三食お肉より健康的よ」


 新山さんの鶴の一声も頂いたのでこのまま決行だ。

 

 異界で釣りなんて滅多に体験出来ないだろうし、いい思い出ということにしよう。



「こいつら何にでも食いつくな」


 変化して一回り大きくなった魚は、肉でも木の実でも食いついてくる。釣り人なんていないから、警戒心も無いのかもしれない。

 見張りを交代しつつ、2時間で14匹の釣果で、1匹エビも獲れたのは想定外だった。エビは釣り上げた菅野のものになった。正直羨ましい。

 

 広場に戻り、魚のはらわたを出していると、昨日のハンターさんがやって来て、何故か一緒に作業することになった。簡単に塩焼きにして、美味しくいただいた。

 

 因みに、魚には魔石が無かった。魔物化程の変化は起きていないようだ。

 

 余った魚は、ハンターさんが譲ってくれというので渡してあげた。仲間に配ってやるそうだ。


 

 2日目、俺達の班は気を抜いていたわけじゃないが、訓練や勉強の息抜きみたいになってしまった。


 他の班は上手くいっていないところもあった。獲物が戻ってきた2日目でも、逃げられることが大半で、先生が言っていた1体狩れ、はあながち間違ってなかったみたいだ。立ち向かってくるコボルドの方が何倍も倒しやすい。

 俺達の班は、俺が供給も使って追い立ててたからな。菅野も1日目の午後に兎を仕留めたし、班としては成功のはずだ。


 

 結局、APは貯められなかったな。


◆◆◆◆◆◆



「今回は減らし過ぎたかもな」

「いや、外で1日を過ごすのが大事だからな。探索者になるなら、その内嫌になるほどモンスターと戦うことになるさ」

「そうそう。でも、あの鹿には驚いたわ。よく中学生が倒せたわよね?お肉も貰っちゃったし」

「今日の魚も、その子達から貰ってきたんだろ、安楽城?」

「ああ、魔法士の少年がやるようだ。まさか釣りを始めるとは思はなったけどな」

「異界でびびらないのは探索者向きだぞ」

「魔物がいなくて、舐めてたんじゃないか?」

「まぁ、優秀な子達が増えてくれるならいいじゃない」

「あとスープが旨かったな」

「「...」」


なんか息抜き回みたいになってしまった...

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