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決闘受けてみた

「この……Cランクの癖に俺に、俺に盾突くだと……」


 怒りでルクスの声が震えている。


「ランクが上だろうが何だろうが、変態は変態だ。魔法使いプレイを強要したらしいじゃないか?」


 もはや下手に出る必要はないだろう。俺はルクスを嘲笑った。


『本当にかよ……』


『杖を使ったプレイをしたとか……』


『ないわー』


 周囲の空気が変わる。皆がルクスのことを笑っており、栄光の剣の連中は居心地の悪そうな表情を浮かべた。


「大体、話を聞く限りだと冒険者ランクが降格したみたいだが、今何ランクなんだよ?」


『Bランクだぞ!』


 離れた場所から冒険者が教えてくれた。てっきりAランクくらいかと思っていたのだが、随分と落ちたものだ。


「うるせえっ! とにかく、今はランクを戻すのが先だ! テレサさえパーティーに入れちまえば俺たちはAランクに戻せる。そしたら依頼をガンガン受けてやればすぐにSランクに戻せるんだ!」


 驚くほど自己中心的な発言をする。ルクスも取り巻きの女たちも、それが当然とばかりの様子でテレサを見ていた。


「ところがだ、テレサは俺とパーティーを組んでいるんでね。あんたらのパーティーに戻ることはない」


「はぁっ? たかだがCランクがテレサを使うだと? お前こそ身の程を知れよっ!」


「身の程と言うのなら、テレサが抜けたせいでBランクまで落ちたそっちが知るべきじゃないか?」


「何だと!?」


 一人欠けたことでランクが落ちたのなら、それが適正ランクだと何故わからないのだろうか?


 俺の挑発にルクスは顔を真っ赤にして睨み付けてきた。


「……いいだろう。だったら、俺と勝負しろ。勝った方がテレサをパーティーに入れることができる。どうだ?」


 横から、テレサがギュッと俺の腰を掴んできた。俺が何と返事をするのか不安になっているのだろう。


「あー、悪いけどパス。疲れてるんだよ俺。サイクロプスとか盗賊をぶちのめして帰ってきたからさ」


 手をひらひらさせるとそう答えた。


「に、逃げるのかよっ!」


「所詮口だけじゃないっ!」


「そちらこそ、テレサに寄生して甘い汁を吸いたいだけでは?」


 ルクスたちが挑発してくるのだが、まったく気にする必要はない。


「あんたら、頭が悪いみたいだからはっきり言ってやる。あんたらは一方的にテレサをパーティーから追い出した。一方、俺は正式な手続きをしてテレサとパーティーを組んでいる。その上で、テレサを賭けて勝負して、俺に何のメリットがあるんだ?」


 この場には当時目撃していた冒険者も存在する。


 いよいよ、周囲の目が厳しくなってくる。栄光の剣が身勝手に振る舞えたのは冒険者間の格付けでやつらがSランクだったからだ。


 そろそろ良いタイミングだろう……。


「テレサは俺にとって最高の仲間だ。その仲間を賭けの対象にすることはできないし、テレサと離れるつもりもない」


 良い台詞を言って隣を見ると、テレサは感動した様子もなく俺を見ている。


 おそらく、俺が邪な気持ちで言っていることにも気付いているのだろう。


 まあいい、先程までの怯えた様子を見せられているよりは全然ましだ。


「だ、だったら! お前個人に決闘を申し込む! 妙な噂を流したのがお前だということは知っているからな!」


 それを引き合いに出すなら良いだろう。


「受けてやるよ」


 テレサの表情が曇っている。先程までは良い旅行をしてきた気分で接していたのだが、彼女にこんな顔をさせたことが我慢ならなかった。


 言葉でやり込めるだけでは気が済まない。


「そっちは『栄光の剣』全員で構わないからな!」


「ふざけやがって!」


 激高するルクス。


 騒ぎを収めようと冒険者ギルドの人間が間に入り、決闘の取り決めを行う。


 勝負は三日後となり、やつらの希望で闘技場を借りて行なうことになった。今回の決闘を利用して自分たちの汚名を晴らすつもりに違いない。


「三日後だ! 俺たちは全力でお前を叩き潰すつもりだから覚悟しておけよ?」


 そう言って立ち去っていくルクスに……。


「おう、それまで変態プレイも程々にしておけよ!」


 張られたレッテルを強調してやるのだった。

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― 新着の感想 ―
[一言] やはりこの男、性格が悪い
[良い点] 変態チームも頑張って!違う意味で! 見事なやられっぷりを期待してます。
[一言] 煽りあいなら主人公の右に出る者はいない!決闘でもぼこぼこにしてやれー!がんばれー!
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