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【連載版】巻き戻り聖女はもう王子様の夢を見ない  作者: 雪菊
守りの聖女と学園生活

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謎解き1



 課題が終わってからようやく、私にしか見えない宝石箱に手をつけることができた。なお、日誌はお父さんが地図に書いた文字を照らし合わせてほしいとジュリアスお義兄様にお願いした。もしかして、という希望的観測だ。家族を求める気持ちがまだ自分にあるみたいだと苦笑する。

 そろそろ領地に着いている頃だと思う。エイリークお義兄様が戻ると言うので持っていってもらった。


 軽く魔力を通すと、発光する。ただそれも他者には見えないみたい。不思議だ。

 魔道具の本を何冊か借りてきたけれど、わかるようになるのかな。少し不安。



「メグ、何か手伝えることはある?お茶とお菓子もあるよ」



 そして、私以上にジェリーがソワソワしている。彼は私に関わることで何かあると必ずそばにいてくれる。それだけで得難いというのに、どうにかして力になろうと考えてくれるのだ。そういうところも愛しいと感じてしまう。優しくて、何があっても信じてくれる。物語以上に素敵な王子様だ。私だけの、王子様。



(あっぶない!ちょっと危険思想入りかけたような気がする)



 一歩間違えると感情が妙な方へ飛んでしまう。怖い。コントロールが効かない恋なのでしょうか?

 ジェリーに今のところはお手伝い頼むことないって伝えて宝石箱と向き合う。ちょっとショックを受けていたけど手伝わせたくないとかじゃなくって、頼める事がわかるほどこれに対して理解が進んでないことはちゃんと説明した。


 宝石箱は美しい蒼と銀の装飾のものだった。拡大ルーペで細部を見ると底の方に文字があるのが見えた。それを書き写してどの本が必要かと悩んでいると、それを見たジェリーが少し悩んでから私にこれを渡しても大丈夫か尋ねた。それに頷くとアロイスさんを呼ぶ。



「見覚えがあるんだが、アロイス。わかるか?」


「これは……聖句だな。アルマリアのものではなく、近年滅ぼされたというアクルックス聖国の文字に似ている。おそらく、青薔薇を咲かせよ。黒薔薇が世界を覆う前に、だと思う。かなり古いものだけれどよく知っているな」



 その言葉を聞いたジェリーが「むしろお前は何で知っているんだ」と困惑気味に尋ねると、アロイスさんは一つ溜息を吐いて、去年図書室でなんとなく手に取った本がそれ関係だったのだと言う。



「自分の血統から、そういう勘には従って知識を仕入れることにしているんだ」



 アロイスさんの血統には特殊な魔法の継承があるらしくって、それは知識を蓄えれば蓄えるほど精度が上がるのだそうです。

 知識量によって左右されるというその魔法は「自分のいる場所には突破口が見つかる」ものらしい。なお、見つかるからと言って解決できるかどうかは別だということ。もしかして、一度目に私を差し出した時の苦悩に満ちた表情はその無力感からも来ていたのかもしれない。

 けれど、そんな魔法の持ち主を国外に出したことは疑問に思う。



「よく国を出してもらえましたね」


「国が大きくなれば、こんな解決策がはっきり見つかるわけでもない特殊魔法なんて必要がない程度に人材が揃ってくる。その魔法だって年代によって強弱も出てくるし、僕はその中でも”ずば抜けて冴えない“ということになっているんだ」



 どこか悪戯っ子のようにニッと笑う顔は何か企んでいる時のジェリーに少し似ている。さすが乳兄弟、というやつかもしれない。



「メグも知っての通りあの国の上部は魔法が弱いと断じた人間には辛く当たるからね。そんな評価が出れば王子の乳兄弟だといってもどんな目に遭うか分かったものではない」


「まぁ、主にこの人が危なっかしいので放って置けなかったのが運の尽きだ」



 そういえば、ジェリーと一番仲が良かったのは昔もこの人だった。そんなことを思いながらかつてのように笑い合う二人を見つめた。

いつも読んで頂き、ありがとうございます。

旅と一緒に過ごしてきた数年を通してまた仲良し乳兄弟の片鱗を見せているジェリー&アロイスだった。

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