戻れば課題
光っていたところからは美しい意匠の宝石箱のようなものが出てきたけれど、私以外には見えないようでした。見えないものは調べようがない、とジェリーが少し残念がっていましたが、単独でもそれなりには調べてみようと思います。
手記と宝石箱の二つには何かあるのではないかと少しだけ期待しています。何にしても、あの国とは関係がないのでゆっくりしていても然程危険はないかと思うし。
そんなことを思いながら本を捲る。
学生なので、課題が出ればそれに応じた資料を探して読んで、必要部分の抜粋やそれに関わることでさらに必要な資料があればそれを探して……。毎回思うけれど、学問に果てはないのでは?
「終わらない……!!兄上たちはちゃちゃっと終わるなんて言ってたけど、課題に終わりはあるのか!?」
「この手の課題は凝り性だったり真面目に深掘りする性格の方ほど頭を悩ますものですわよねぇ」
良い拾い物をした、とでも言うようにホクホクした顔でペンを動かすカミラを見てユリウス殿下は信じられないとでも言うような目で彼女を見つめていた。出来上がっていくカミラの課題に比べて私たちの課題はあまり進行がよろしくない。まぁ、これに関しましてはしっかり読み込んでメモをしたり出典を間違えないようにしておかないとディベートの時間でボッコボコにされますので、カミラのように飲み込みが早くない私は時間をかけるほかないものね。
「両親の話では、陛下はこの手の課題が非常にお得意でいらしたそうですよ」
カミラの言葉にそうなのか、と思うとともにユリウス殿下が若干遠い目になったのを見て苦笑した。
ちなみに義姉曰く「旦那様もとっても成績が良かったのよ。毎回張り出される試験の結果では上位3位以内にはいらっしゃったわ」とのことである。ジュリアス義兄様のことを話すオリヴィア義姉様は出会った時からずっと恋する乙女だ。そんなところもまた、ジュリアス義兄様を夢中にさせるのかもしれない。
ジェリーも割と手早く課題を片付けてしまうのだけれど、「幼い時からこういった勉学はやらされるからね。慣れだよ」なんていっていた。その裏にある努力は如何程か。それをあっさりと私のために捨ててしまったのだ。申し訳ない。
「まぁ、父上たちと私では出来が違うからな」
「私とジェリーでも出来が違いますからねぇ」
「こういうのは真面目にコツコツだな」
二人でうんうんと頷きながら続きをしようと資料に目を通す。終わらないと嘆いてもやらなきゃ進みもしないので。
「二人の勤勉さ。とっても素敵ですわ。やはり努力をしない方はダメね」
カミラさん、なんか窓の外見てますけど何かいるんですか?それとも……もしかして元婚約者殿、私の知らないうちとかに何かやらかしたのかな。やってそう。
後日知ったところによりますと、私たちが国のお願いで出ている時に侯爵家に突撃してカミラに直談判しようとしたらしい。というか、既成事実?を作ろうとしたとかでカミラのお父様がガチギレ。ついでにユリウス殿下も自分に平穏をくれた婚約者に何かしようとしていたヤツにとってもお怒りに。
王族の婚約者に何かしたらタダですまないなんて普通に考えてわかることじゃないのかな。
「世の中には想像のつかないほど考え方がおかしい異常者がそれなりにいるものだよ、メグ」
ジェリーが誰のことを思い出していたのか、何だか私にもわかるような気がするのは私だけかな。
読んで頂き、ありがとうございます。
思い出してるのは元婚約者(かなり強烈)




