表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/59

他国を目指して 2



朝日と共に目を覚ますと、朝焼けでドロップアイテムが見えた。夜闇で拾うよりこちらの方が回収し損ねなくて良いだろう。


琥珀や木の実、一部調味料。

ほくほくしながらリュックに詰めようとしていると、地味なポシェットが落ちていた。鑑定なんて魔法はダンジョンアイテムでスキルを授かるか、血統魔法か、魔眼所持者しかできない。めちゃくちゃレア魔法。


というわけで私は実際に使ってみなきゃ何か分かんない。とりあえずその辺の炭をしこたま放り込んだ。

なんか全部入るのでやめて、逆さにすると容量を無視した炭がドサドサ落ちてきた。


魔法アイテムだ!幸先がとってもいいなぁ!

…それにしても、収納魔法だって結構レア魔法なんだけどなんでダミーツリーからドロップしたんだろう?

今までこんなラッキーな事なかったからちょっとそわそわしてしまう。琥珀が出てきただけでもとっても素敵だと思っていたのに。


るんるんしながら荷物をマジックバッグに放り込んで、自分を楕円型に結界で覆う。

木の実を朝ご飯にして、それからまた一生懸命歩き出した。

目指すはこの先にあるエトナ洞窟だ。


実を言えば、この国から離れるにあたっての候補となる国は二つだ。


一つはレギオン王国。

軍事国家として名高く、かつてのジェラルド殿下の元婚約者が嫁いだ国だ。隣の国なので移動するにあたってはこちらの方が近い。

けれど、私はあの御令嬢にまぁ…ちょっと今冷静に考えたら「貴族のお嬢様がこんなことします…?」とドン引きするレベルでのイジメ食らってたのでそんな人があっさり馴染んだらしい国ってちょっと受け入れ難い。

なんか変な石飲まされたこともある。なんだったんだろう。

しばらく何も起きなかったからただの嫌がらせだとは思うけれど、あの人私がジェリーと出会う前からガンガン嫌がらせではすまないことをしてきていたから多分あの国怖い。


二つ目はローナ王国。

伝聞でしか聞いたことはないけれど平和だって聞いたことがある。さまざまな文化を取り入れた良い国…っていう触れ込みだけれど、少し遠いので厳密にどういう国かはわからない。


それでも、選択するとすれば後者だった。

怯えながら生きたくないし。

そして、遠い国ではあるけれど軍に同行していたおかげで「エトナ洞窟がローナ王国の辺境地に繋がっている」ということは知っている。まぁ、探索しないといけないけど。家に何故か地図があったからまだ気持ち的には余裕がある。

…もしかしてお父さんとお母さん、他の国から来た人だったのかな?村でも割と余所者って感じだったし。


エトナ洞窟から王国に入り、冒険者として登録して聖女ルートを外れる!これが私の計画だ。国を出た段階で聖女ルートからはほぼ確定で外れられると思うけど、本気で逃げ切るのならば多分冒険者としてそこそこ結果を出す必要がある。



「よし!出発!!」



拳を上空に掲げて自分を鼓舞する。

今はもう助けてくれる王子様に出会うことはないのだ。御伽噺みたいにそんな夢は見ないって決めた。


私は気合を入れて、足を踏み出した。

Q.なぜマジックバッグがドロップしたの?

A.ダミーツリーが空間魔法保持者を食ってた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 割と絶望状況でも、落ち込みが持続せず、飄々としてて、前向きなので、読んでていつも楽しいです。 雪菊さんの書かれるヒロインが好きなんですが、やっぱり、 マーガレットちゃんも好きです。 [気に…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ