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過去の手がかり4




鎧猪の名は、その黒い毛皮が鎧の如く固いところから来ている。

かつて戦ったことのある勇士は「その戦いの勇ましさは、騎士のようであった」などと称したと言われているけれど、相手取る魔物として相対した感想としては「逃げたい」一択である。



「後ろの扉、開くか!?」


「開かねぇです!」



エイリーク義兄様の言葉にドライさんが確認して叫ぶ。

その言葉から導き出される答えは。



「隠れ遺跡ダンジョン最深部、ボス戦です!」


「アロイス、弱点を見つけ出せ!メグは補助魔法を頼んだぞ」



本当に普通の遺跡のようだった。

なのに、最深部に入った途端にこうなったということはトラップ型ダンジョンだったのだろう。本当にタチが悪い。何がって、入った人をできる限り殺す、ここから出さないという意図が見えるからだ。


攻撃力や防御力を上げる魔法をみんなにかけて、結界を適宜展開する。けれど、力が強いからか油断していると攻撃によってこちらが後ろに押される。

いつも相手取っている魔物よりも大分攻撃力が高いのでいつも以上の力で結界を固定した。



「水よ!」



エイリーク義兄様が鎧猪の足元に魔法で水を撒く。瞬間、近づいたドライさんが剣を振るうと、水が凍り鎧猪の体までも凍ろうとしていた。しかし、大きく吠えたかと思うと、黒い毛皮が赤く輝き、蒸発した。



「マジかよ」



ちょっと楽しそうなドライさんの声が聞こえる。彼がスッと目を細めると、炎が目の前を一閃する。その隙を見計らって、エイリーク義兄様が下がる。



「ジェリー、助かった」


「いえ、巻き込むわけにはいきませんから」



ジェリーの言葉にエイリーク義兄様が苦笑したその瞬間、爆発音のような音が聞こえて周囲に冷気が満ちた。



「なんでアイツ、こんな戦いが好きになったんだろうな……」



ボヤいたエイリーク義兄様の向こう側に、楽しそうに大きな剣を担いで鎧猪と視線を交わすドライさんがいた。



「これだからジェリーに付き合うの、やめらんねぇんだよなぁ!」


「私は別に、仲間を一人で戦わせたいわけではないのだが」


「もう声は届いてないな」



すでに鎧猪に向かって走っていた。

ジェリーは隣で遠い目をしていたし、アロイスさんは頭が痛いというようにこめかみに手を当てていた。


この人生で初めて知ったことではあるけれど、ドライさんは強いものと戦うのが死ぬほど好きなのだ。というか、それ以外にはあまり興味がない。

勉強は「必要であるから」それなりに頑張っているだけで、剣を思い切り振り回しているのが性に合っているとは本人の言葉である。



「さぁ!勝負といこう!!」



地面を蹴り、駆け出したドライさんを見送る。

邪魔するとそれこそ収拾つかないくらいすごく怒るので手を出せない。



「兄上はよく制御できてたな」



こうなったドライさんは本当に私たちの声なんて聞こえはしない。

あと、邪魔とかではなく変に援護魔法かけようとしても怒る。ちょっとどうしたらいいのかわからないです。

いつも読んでいただき、ありがとうございます!

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