表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/59

追いかけてきた初恋

再会


一応貴族の養女となった私だけれど、基本的にその理由って保護なので(スキル持ちにはままある話らしい)、冒険者活動は引き続き行っている。今日も元気に魔物を圧死させていた。

我ながらエグいとは思うんだけど、正直攻撃方法がこの結界で押し潰すという方法しかないので許してほしい。


なお、一度こっそり一緒にきたジュリアス義兄様にはドン引きされた。



「攻撃手段になり得る防御手段だ、と聞いていなかったわけではないが」



言いたいことは分かる。

死体は大抵、お金にならないレベルの損傷になってしまう。なので、基本的に貴重な薬草などの探索を行っている。聖女スキルのおかげか、レア物の薬草を見つけられたり、回復薬なんかも結構良い値がつくものが作れる。

ちなみに前回の人生もアルマリア王国の教会にそこそこ回復薬を作らされていたけど、聖女は清貧を(以下略)とか言われてお金はいただけなかった。今考えると確実に私関連のお金はあいつらが懐に入れていたなと思うけれど、やり直す前の話なので…。


今はドロップアイテムだけで結構普通に暮らしていける感じの収入があるので、以前より気楽だし、心なしか体の調子も良い。

本当に大切にされていなかったのだなぁと感じる。


自分の周囲5mほどを結界で覆って鋏で薬草を収穫していく。義母が素手で採取して怪我をしたら大変だと持たせてくれた。

結界をスカークロウという鳥型の魔物がつついているけど、破る前に力尽きてアイテムを落として消えていくものもいる。その亡骸を食べに同種が寄ってくるの本当に怖いのですけど。



マジックバッグに色々仕舞い込んで立ち上がると、戦闘音が聞こえる。

あんまり近づくのも怖いので遠くからこっそりと覗くと少年三人組がスカークロウに襲われていた。人の住む地域近くにいる魔物が人間の味を覚えると厄介なことになる。眉を顰めて、いざとなれば苦戦をしているっぽい彼らをまとめて結界に入れなければならないことも考える。


ふと、そのうちの一人が何かにそうしろとでも言われたように突然振り返る。

晴れた空のような青い目を見開いて、それからその唇が、私の名を紡ぐ。



「ジェラルド様」



震えてまともに音にならなかった声だけれど、通じたのか彼は心底嬉しいと言うように破顔した。

そして、それを見たアロイス様が「ジェリー!!」とキレ気味で名前を呼ぶ。名前を呼ばれた途端に、ジェリーは剣を振るう。

はっとして駆け寄り、周囲を結界で覆った。



「メグ!」



駆け寄ろうとする彼の襟首を、おそらくドライ様が引っ掴む。まぁ、彼らからすると、自国の王子に近づく怪しい女だもんね。納得である。



「グッ……」


「女性に安易に抱き着こうとするんじゃねぇです」



溜息混じりに言われた言葉に頭が冷えたのか、シュンとした。そして、私を見て少し恥ずかしげに咳払いをした。



「メグ、ただのジェラルドになってきた。私と結婚してくれ」


「違うだろう!!」



顔を赤くする私、瞬時に頭をはたくアロイス様、頭を抱えるドライ様。

感動の再会…にしてはシュールだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 不意に再会して動揺誘う展開かと思ったらコントだった… このノリなら安心だな(確信
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ