義兄の実家 4
ジークハルト様の言葉を真に受けるわけではないけれど、もう話を聞く感じではないので諦めるしかなかった。一応、ジークハルト様が実際に迎えに行く方々に注意をしていたのでララ姉さんたちに何もないことを信じようと思う。
お二人が話し出すのを待っていたら、「マーガレット」と呼ばれたので、「はい!」と返事をする。
「正直に伝えておく方が良いと思う。君の、聖女と名のつくスキルは破格のものだ。多くの人間がそれを欲しがり、時に武力さえ行使するだろう」
それを聞いてヤバいじゃん、と真顔になってしまった。
私はそういうのを望んでいたわけではないのだ。いや、大きな魔力を所持している時点でどうにもならない問題だったのかもしれないけれど、それでも私は穏やかに思い出の恋を抱えながら過ごしたいと思っていただけなのだ。
どうしてこんなことに、と言いたい気持ちはある。けれど、そのあたりは自分でどうにかなるお話ではないので。
「ちょっとでも平和に生きる方法はないのでしょうか?」
自分の中で一番好ましい環境が遠いのであれば、より良い環境を目指すしかない。
そう思って問いかけると、二人は顔を見合わせた。
「そうだな。君には我が家の養女になってもらう」
嘘でしょ、とスンとした顔になってしまった。いや私ド平民(しかも世間知らず)なんですけど。
むしろ、だからこそなのでしょうか?
「残念だが、拒否権はない。…君に攻撃手段があれば、手放してやれたのだが」
自衛できないのでダメってことかー!!
フレッド兄さんが気にしていたのもそこだったかな?
ララ姉さんが「不埒な連中くらい私がなんとかしてやるわ!!」とか言ってたけど普通に身重だったし今は乳飲み子を抱えている。私も可愛いあの子たちから両親を奪いたくはない。
「愚息も駄々を捏ねているようだが、アレもその妻共々呼び戻す。我が家の名がついていれば強硬手段を取る馬鹿も少ないだろう」
溜息を吐いて、メリッサ様へと目線を移す。メリッサ様は「あの子も考えが甘いのですわ」と呆れたように言った。
なんでも、平民のスキル持ちとかやっぱり手篭めにしようとする人がそこそこいるらしくって危ないらしい。ララ姉さんがスキル持ちなのは知っていたが、強いので遠くから見守るだけで大丈夫だった。だけど子供も増えて夫婦揃ってスキルを持つようになってしまった以上、放置する方が危ないんだって。
「はじめに試練だ、なんて言って結婚を認めなかったのも尾を引いているのですよ」
そう言ってジトッとした目でワイアット様を見るメリッサ様。ワイアット様はそっと目を逸らしていた。
フレッド兄さん、こんな屈強なお父さんを相手にしてララ姉さんを選んだの、素直にすごいと思う。やっぱり、ギルド長任されてたくらいだし、フレッド兄さんはやっぱりはちゃめちゃに強いのでは?




