5話
一時間くらいが経つでしょうか、未だに見つかりません・・・。
二組に分かれてお菓子屋付近を捜している時、お菓子屋から出てきた男の子が心配そうに声を掛けてきました。
『レイナさん?何しているの?』
よく見てみると、同じクラスのハルくんでした。
『ハルくん!どうしてこんなところに?』
『クッキーを買った帰り、俺甘いもの好きなんだ!』
甘いもの好きなのは聞いてないけど、ターニャちゃんが財布を落とした事を説明すると、ハルくんがジャケットの中から何かを取り出しました。
『もしかしてこれか?』
ターニャちゃんが言っていた特徴と同じでした。青い布袋に金色の紐を通していて、布袋に「T」のロゴも付いていた。
『これだよ!』
『良かった! クラスメイトの名前と同じだったからさっき拾って置いた』
『ナイスだよハルくん!!』
ハルくんと話していると、カナタちゃんとターニャちゃんが丁度来ました。財布を渡してあげると喜んでいました。
『2人とも、ありがとう!!』
『良かったね、ターニャ。2人とも本当にありがとうね』
うんうん、見つかって良かったです。
私達が帰ろうとすると、カナタちゃんに呼び止められました。
『あの・・・!お礼をさせてくれないかしら・・・』
『えーと、お礼が欲しくて手伝ったわけじゃないから別にいいよ』
一度遠慮をして断りましたが、カナタちゃんに手を繋がれました。
『だめ!お礼をしないと気がすまない!』
『じゃあ・・・お言葉に甘えようかな?』
カナタちゃん達に付いて行くと、
すごい高級なレストランに連れて行かれました。
店内は高そうな絵画にシャンデリア、テーブルにも真っ白なクロスが掛けられており、店員も執事みたいな格好をしています。
えー何処ここー!?と心の中で叫びました。
なんだか大声を出しちゃいけないような気がするので。
メニュー表に目を通すと店内だけが高価ではなく、食べ物も高価でした。
私とハルくんが不安だったので、カナタちゃんに小声で話をしました。
『カナタちゃん、こんなに高そうな所大丈夫なの?』
カナタちゃんが微笑み、財布の中を見せてくれました。その中にはなんと金貨が何十枚も入っていました。
もしかして、この姉妹は何処かのお嬢様?と驚きました。
そしてメニューが高すぎて決めれない私は、
カナタちゃん達にオススメを注文してもらう事にしました。
『これとこれと、これね。私はこれを』
『あと、全員に100パーセントジュースをお願い』
『畏まりました、少々お待ち下さい』
執事みたいな格好をしているイケメンの店員が丁寧にお辞儀をし、厨房の奥に入って行きました。
私達は先に届いたジュースを乾杯してから飲んで仲良く話し込んでいると、注文をした高級ステーキ、高級ハンバーグ、高級ピザ、
高級パフェがテーブルに並べられました。
味はやはり・・・凄く美味しいです。
お会計をする時はカナタちゃんが金貨を堂々と出していました。凄い・・・。
お礼をしてから解散をしようとすると、カナタちゃんとターニャちゃんが私に言いました。
『今日は本当にありがとうね。その・・・もっと仲良くなりたいから呼び捨てをしても良いかな?』
『だめ・・・かな?』
ダメなわけがありません。私は嬉しくて手を伸ばしました。
『うん!改めてよろしくね、カナタ!ターニャ!』
仲良くなって握手をしていると、
ハルくんが視線を向けて羨ましそうにしてました。
『俺も呼び捨てで呼んでくれたら嬉しいなー・・・なんて』
『うん、よろしくね!ハル!』
ハルに握手をすると、何故か顔が真っ赤になってました。