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いつでもどこでも短編小説『衒気な桃太郎 -下-』

作者: 日生慎一郎

 寂寥とした浦里で桃太郎一行は一艘の手漕ぎ舟を借りて、鬼ヶ島へ向けて大海原を漕ぎ出だした。すると間もなく溟々(めいめい)とした霧が靉靆(あいたい)と立ち込めて、雷霆(らいてい)も轟音を立てて鳴り響き、舟旅は頗る凄まじいものとなった。しかし霧の先の(うみ)に浮かんだ(あおぐろ)き巨影・鬼ヶ島を見ると一行は闘志に燃えてそれぞれに雄叫びを上げた。


 遂に鬼ヶ島へ上陸した一行は巍々たる岩峰に囲繞された島の内部へ慎重に進んでいった。雉が島内を俯瞰して回ると、鬼たちが奢侈(しゃし)な酒盛りを開いているのが判った。桃太郎は、奇襲作戦を仕掛けるのが好いだろうと判断し、全員を巌陰に隠れさせた。潮時になると桃太郎の「突撃!」の合図を嚆矢として鬼退治に取り掛かった。行き成りの出来事に鬼たちは大層狼狽した様子であった。犬は手足に咬み付き、猿は顔を引っ掻き、雉は鬼の目を突いて、須臾の間もなく鬼たちを蹂躙していった。


 一敗地にまみれた鬼たちは桃太郎たちに陳謝して、これまでに人々から剥奪してきた宝物の数々をすべて返すことを約束した。


 こうして鬼はもう二度と町を襲うことはなくなり、平和が戻りましたとさ。

 

 めでたし。めでたし。

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