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第四巻 〜異空間の覇者〜

〜序章〜

そんな・・・

僕らの攻撃がすべてはじき返されて・・・

しかもまだ本気ではないだと?

久杉も・・・一体どういうことだ?

それはまだ、

これから僕らの身に降りかかる

不幸の始まりに過ぎなかった


第1章〜カノンの話〜

ここは理科室、バーナーから出る温かい炎、窓から吹き流れる静かな風、こんな幸せがこれからも続いたらいいのに・・・。

僕は心のどこかでそう思った。そんなことただの夢物語なんてことは分かってる。でもそう思わずにいられなかった

そんな考えを頭の中で描いているときに、睡眠ガスで眠らされていたカノンが目を覚ました

「あれ?ここ・・・どこ・・・」

カノンが目をこすりながら言った。ふとそこに、見覚えの無い顔があることに気がつく

「あ・・・あなただれ!!」

眠い中、声を裏返らせて言ったカノンの言葉にはいつもの迫力が無かった

「あぁわるいなグランツさん。俺は草羅、今度から君たちと行動を共にすることになったんだ。ヨロシクな」

草羅が簡単な自己紹介をした。カノンが僕らの顔を見た。その顔は紛れもなく『本当なの?信じていいの?』と、僕らに訴えかけていた。僕らがうなずく。するとカノンが

「フ・・・フン!!今日からあなたも私のしもべになると言うことね。せ・・・せいぜい私を怒らせないことよ」

と、偉そうな口調で言った

「ハハハ・・・。よろしくお願いいたしますよ」

草羅が苦笑しながら言った

すると

「さぁ!!聞かせてもらおうかカノン。なぜお前は狙われているんだ?」

単刀直入に久杉が聞いた。久杉は回りくどいのが嫌いなのだ

しかしカノンは

「知らないったら知らないの!!さっきも言ったでしょ!!」

と仏頂面で答えるだけだった

「知らないなんかで収まるかよ!!俺たちは狙われているんだぞ!!何で襲われてるのかも分からないままで言い分けないだろ!!そんなんだったらカノン!!お前を奴らに引き渡すことになるぞ!!厄介ごとは避けたいものでな!!」

久杉が罵声を浴びせる

しかしあろうことかカノンは

「な・・・なんであんたにそんなこと言われなきゃならないの!!私がいなかったらあんたたち帰れないかもしれないのよ!!それでいいの!!」

と、久杉に言い返した

久杉が「てめぇ!!」と言いかかろうとしたが、斉木と加賀がまぁまぁ、と落ち着かせた。

すると斉木が易しい口調で言った

「カノン・・・俺たちもこのままじゃお前を守る意味がなくなってしまう。久杉だって本心であんなこと言ったんじゃない。ただ守る理由がないんだったら守りたくても上手に守れないって言ったんだ。だからカノン、俺たちに隠してること・・・全部言ってもらえないか?」

女心を知ってる斉木はこういうときに頼りになる

そしてカノンが口を開く

「分かったわ・・・全部話す・・・」

僕らは話しを聞く体制に入った

「前に、この騒動の首謀者は私の父だって言ったでしょ?あの人は私が生まれる前からこんな計画を立ててたって言うの・・・私が生まれる前のあの人の力には計り知れないものがあったわ。でもお母さんと結婚して、私が生まれるとお父さんに変化が起きたわ、お父さんの力はとても弱まっていたのよ・・・。どうやら私が生まれるとき、お父さんの力の一部を譲り受けたようなの・・・。だからお父さんは私を狙っているんだと思う。

おそらく私とお父さんの力をまた一つにして何かやらかそうとしているのよ・・・。でもその何かが何なのかは私にも分からないわ・・・」

カノンが話しを終えたそのとき名屋が口を開いた

「そうか・・・それならカノンが空間移動という力を持っていることも、奴らがカノンを狙っていることもうなずける。でもいったいやつは何をするつもりなんだろうな」

もっともの疑問だ。

一体やつは何をしようというのだろうか?見当もつかない

でも確かなことが一つある、それはカノンの身が危険に晒されていると言うことだ。

それを知った今、僕らはカノンのためにも、自分たちのためにも、カノンを守らなければならない。

カノンの話の後、僕らは今まで以上にカノンを守ろうと言う意識が高くなった。

そのためには命も惜しまないと言うほどだ!!ヤツが何をたくらんでいるのかはいまだに分からないが、いいことではないことは確かだ!!

もしかしたらこの空間を僕達ごと消滅させる気かもしれない、はたまたもともと僕らがいた空間を消滅させるのかもしれない。なんにせよ気をつけるに越したことは無い。

しかしそんな気持ちでいる僕らの中、

何にも変わらないのがカノンの悪ガキっぷりだ!!あの話しを聞いて奴らが何をたくらんでいるのか考えているときも

「あなたたちがいくら考えても無駄よ!!」

といったり

「どうせろくな考えは浮かばないわ」

といったり、まさにやりたい放題だ!!何度僕らはカノンを見捨てようと思ったことか・・・。でも見捨てては僕らが酷い目にあうかもしれないのでやめといた。

おそらく僕らに対する危険が何にも無かったらとうの昔に見捨てていたことだろう

そんなときだった。黒い穴がまた現れたのは・・・


第2章〜二体のオウディウス〜

黒い穴が僕らの前方5メートルくらいのところに現れた。

その中から大型の犬と同じくらいか、それより少し小さいか位の小柄な生き物と、僕らと同じかそれよりもちょっと大きいくらいの生き物が現れた。

そしてその後ろから赤いマントを羽織り、金髪で、ほっそりとやせた男が出てきた。前に見た赤いマントを羽織った男とは別人のようだ。

それを見た斉木が男に向かっていった

「お前はなにもんだ!!そしてその前にいる生き物たちはなんなんだ!!」

すると男が

「こいつらかぁ!!お前ら見たこと無かったけっかぁ!!あっそうか!!お前らはあのデカ物を見たんだっけなぁ!!いいさ!!教えてやる!!こいつらもオウディウスだ!!」

(こいつの性格はおそらく超ヒステリックな戦い好きの男なのだろう、口を開くたびにドデカイ奇声のような声を発している)

オウディウス・・・その言葉を聞いてみんな一斉に緊張した。

僕らには歯が立たず、ボロボロに負けた上に、深い傷を負わされた・・・あの・・・あのオウディウスという生き物・・・

と、突然加賀が言った

「み・・・皆大丈夫さ!!今回の敵は前の敵よりもずっと小さいし・・・。何より前のオウディウスのようにあまり迫力が感じられない!!きっと・・・きっと大丈夫さ!!」

僕らはうなずいた。

そうだ!!そのとおりだ!!

今回の敵は前の敵と比べて、威圧感も、迫力も、大きさもまるで違う!!きっと前のような悲惨な結果にはならないだろう!!

大丈夫だ!!大丈夫だ!!そう思った矢先、男がまたヒステリックな声で言った

「ハハハ!!バーカ!!大丈夫なはずある分けないではないか!!確かにお前らが前に戦ったオウディウスとは大きさも、迫力にも大きな差がある!!しかしオウディウスであるという事実を忘れてもらっては困る!!知ってるだろう!!オウディウスが固体ごとに色々な特殊な力を秘めていることを!!」

そうだ・・・そうだった!!

あの男が言ったとおりオウディウスには一体一体特殊な力があるんだった!!でも・・・あんな小さいオウディウスの能力とは一体・・・

皆がどんな能力か考えているときに男が声を張り上げて言った

「いっけ〜!!オウディウス共〜!!」

その声と同時に僕らと同じくらいの大きさのオウディウスが口からガスのような気体を吐き出した!!

かなり濃い気体で前が何も見えない!!僕らは慌て、どうするどうするとパニック状態に陥った。特にカノンは

「どうなってるのよ!!何も見えないじゃない!!」

と、わめき散らしていた

そこで草羅が僕らに一言はなった

「落ち着け皆!!これはただの霧だ!!何の害も無い!!」

その声を聞き、僕は静かに目を閉じた。徐々にパニック状態から開放される・・・そして落ち着いてきたと思ったときに目を静かに開ける。そのとき隣にいた久杉の声が聞こえた

「霧・・・霧か・・・だが一体何のために・・・」

と、いきなり久杉が声を張り上げ皆に呼びかけた

「みんな!!今俺の声がするところに集まってくれ!!離れていると誰かが襲われたときに分かりにくい!!おそらくこの霧は姿を隠すためのもの!!集まればそれなりの防御になる!!」

その声を聞いて皆が徐々に集まってくる。

そして皆が一箇所に集まった。まだ誰もやられてはいないようだ。

皆が円を書くように内側に背を向けた。カノンを中心に周りを固める。そして外側に目を向けそれぞれ武器を構える。

それぞれが後ろの人を信用していないと出来ないポジション配置だがこれが一番安全な配置と言えるだろう。僕も僕で前方に目を凝らし、後ろは皆に任せる。

1秒、2秒・・・・、時間が着々と過ぎていく。1秒1秒が妙に重い、空気がピンと張り詰めた時後ろで加賀の声が聞こえた

「いたぞ!!いま津式のほうに向かっている!!津式!!気をつけろよ!!」

「あぁ・・・」

僕は目を閉じ神経を尖らせた、と、その瞬間かすかな空気の流れを感じた

僕はカッと目を見開く、目の前に大きいほうのオウディウスが現れた!!

ぼくは「おぉぉぉぉぉ!!」と声を上げ、ナイフをえいやっと前に突き出した!!

しかしあろうことかオウディウスは僕の頭上はるか上にジャンプして、僕を飛び越した!!そうか!!そうか!!最初から僕でなく僕の後ろの人物・・・斉木を狙っていたのか!!僕は咄嗟に

「斉木!!後ろだ!!」

と叫んだ!!しかし斉木は前に集中していてすぐには後ろの敵には反応できなかった

オウディウスが隙だらけの斉木に攻撃を仕掛けた!!

オウディウスが勝ち誇ったように高々と吼える!!

そしてふっと腕を振り下ろす!!しかしオウディウスの手は何かとぶつかり「ガキィン」と派手に音を立てた。

そのぶつかったものの正体は草羅が握っていた太刀のような武器だった!!

なんとあの一瞬で草羅は斉木のピンチを感じ、斉木を守ったのだ!!

草羅とオウディウスが取っ組み合った。その隙をすかさず斉木が突こうとする。

しかしオウディウスはさっとそれを交わし、また霧の中へと消えていった。


第3章〜策〜

その後もオウディウスは出てきてはさっと霧の中へ戻り、また出てきては霧の中へ入ったりとその繰り返しばかりしていて、みんなイライラしてきていた。

すると斉木が

「くそぉ!!じれったい!!もっと真正面からぶつかってこないか!!この腰抜けが!!」

と、大声で撒き散らした。その声を無視して名屋が言った

「ったく!!一体やつらはどうやって俺らの居場所を掴んでいるんだ!!この霧じゃ目は意味ないし、いちいちこっちに来てるといえど、多少は俺らの配置も変わっている!!なのにやつは正確に俺らの位置を掴んでいる!!なぜだ・・・なぜなんだ?」

と、ぼやいた。その名屋の疑問に加賀が答えた

「多分・・・嗅覚・・・じゃないかな?ほら、前のオウディウスを操っていた男が言ってたじゃないか。オウディウスは嗅覚も優れているって・・・、嗅覚なら目が見えなくても何の支障もないよね」

「ほぅ・・・加賀!!お前もずいぶんと成長したもんだな!!」

斉木が言った

「そんなのんきなこと言ってる場合か!!しっかり目の前の戦いに集中しろ!!」

草羅が渇を入れた。

すると名屋が、

「嗅覚・・・嗅覚か・・・それなら合点がいく。でも分かったところでこちらはどうしようもないな・・・」

それもそうだ、こっちにも嗅覚が優れたやつがいれば何とかなるが、あいにくそんな奴はいない。

聴力も・・・だめだ・・・、気づいたとしてもそれは相手が近づいてきた後だ、こっちから先に攻撃を仕掛けることは出来ない・・・。

皆が難しい顔で策を考える・・・でもなかなかいい策が思いつかない・・・。

そのとき、草羅が言った

「あぁ!!そうだ!!なんなんだよ!!俺らはバカか!!こんな簡単なこと思いつかないなんて・・・」

なんだなんだと皆が草羅をせかす

「まずは元から断ち切れってね!!この霧を吹き飛ばしちまえばいいんだよ!!」

あぁそうか!!と、皆が言った

と、そこに名屋が

「おいおい・・・吹き飛ばすって・・・一体何で吹き飛ばすんだよ!!こんな濃い霧、そう簡単には吹き飛ばせねぇぞ・・・」

あぁ・・・そうだった・・・

と、全員うなだれる

「そんなの簡単さ、グランツさんの力を使えばな」

草羅が言った

「えっ・・・あたし?」

カノンが調子ハズレな声を上げる

「あぁ!!グランツさんの空間移動を使うのさ!!」

へ?とみんなが声を上げた

するとカノンが

「バ・・・バカじゃないの!!あんた理科室での話し聞いてなかったの!?あたしは今、空間移動は使えないのよ!!」

と、あほらしいと言わんばかりの口調で言った

しかし草羅は

「でも、空間に穴を開けるくらいなら出来るだろ?」

と、笑いながら言った

「それくらいなら出来ないこともないけど・・・」

とカノンが言った

すると斉木が

「あのさ・・・いまいち話の筋が読めないんだけど・・・」

と草羅に疑問を投げかけた。皆もうんうんとうなずく

「分かった説明するよ。みんな、ここの空間に別の空間を持ってこれると言うのは知っているよな?ここに空間を持ってくるっていうのは言い方を変えれば『ここの空間と別の空間をくっつける』ということなんだ。そしてその空間同士をくっつけたときにはものすごい威力の風がおきるんだ。それを空間の穴から流しだせれば・・・」

そうか!!そうか!!とみんなの顔が明るくなる。

でも僕は良く分からなかった。

それに気づいた斉木が分かりやすく説明してくれた

「津式、卓球部なら分かるよな。折りたたみ式の台を閉じてしまうときにさ、横にいると閉じたときに結構な風が来るだろ?あれと同じことだ!!物と物がぶつかったときに起きる風って言うのはさ!!草羅が言うには空間同士でも同じことが言えるようなんだよ、それを空間の穴を通じて外に出せればこの霧は吹き飛ばせるって草羅は言ってるんだよ!!」

なるほど・・・草羅はとてもキレるようだ。

「そうと決まったら早速作戦開始するか!!」

と、久杉がカノンをせかした。するとカノンは分かったわよと、言って空間移動の準備を始めた。


第4章〜見えない敵〜

カノンが空間移動の準備をしている間、僕らは襲ってくるオウディウスからカノンを守り続けた、何回か傷をおったがそこまで深い傷ではない、時間は何とか持ちそうだ

そしてカノンが言った

「準備できたわ・・・いつでもいいわよ・・・」

そしてそれに乗っかるように草羅が言った

「よしっ!!やるぞ!!皆準備はいいな!!霧が晴れたら一斉にオウディウスに飛び掛るんだ!!オウディウスは2体いることを忘れるなよ!!なぜか小さいほうは攻撃してこなかったが、それはおそらく、もしものとき奇襲を仕掛けるためだ。絶対に気を抜くな!!」

「お前に言われなくても分かってるよ」

と名屋が笑みを浮かべながら言った

そして草羅が

「カノン!!やるんだ!!」

と合図をかけた。そしてカノンが空間の穴を開け始める。「ジジジジ」と言う耳に障る音が流れた、数秒たった後、完全に穴が開いた!!

と、同時にものすごい量の風が穴から出てきた!!そして周りの霧を一気に吹き飛ばしていく!!霧が完全に晴れた!!

僕らはオウディウスに向かって一気に向かって行った!!あっけにとられていたオウディウスは身構える余裕もなくただ呆然と突っ立っていた。

そして僕らがそのオウディウスにナイフを突き出す!!ナイフがオウディウスの腹に、胸に、腰に、背中に・・・いろいろなところに深々と刺さった。そして僕らは突き刺したナイフを引く!!オウディウスの体から一気に血が噴出した!!

オウディウスは何も声を立てずただただ苦しみを顔に浮かべ静かに息絶えた。そしてドサッと床に倒れた・・・

「もう1匹は何処だ!!」

久杉が叫んだ!!しかし周りの何処を見てもいない。僕は目の端に赤いマントを羽織った男を捕らえた。そして

「もう一匹は何処なんだ!!」

と、男に向けて言葉を放った

しかし男は

「さぁ・・・どこかねぇ」

と僕らをおちょくる様に言うだけだった。

僕は男に怒声を放とうとした、しかしそのとき後ろで斉木の叫び声が聞こえた!!みると斉木の背中から大量の血が出ている!!

「斉木!!」

と叫んで僕は斉木のほうへと走っていった。

しかし斉木の元へと行こうとしたとき、背中に激痛が走った!!僕は僕自身の背中を見た、すると・・・なんと僕の背中からも大量の血が出ているのだ!!僕は床に倒れた!!そして背中のあまりの痛さにもだえ苦しむ!!見ると加賀と名屋も背中に大きな傷が出来ていてそれぞれ血が噴出していた!!

そんな中、草羅と久杉とカノンは無傷でいた。草羅は驚いた顔で僕らを見渡している。久杉はなぜか下を見て細く笑みを浮かべていた(カノンはあまりの恐怖に、泣きながら床に座り込んでいる)そしてそのとき男が声を張り上げ笑い、そして僕らに声をかけた

「ハハハ!!いい眺めよのぉ!!全員いい顔をしてるじゃないか!!」

僕は何が起きたのか訳が分からず男を見つめた。すると男が

「ホゥ・・・何がどうなってるかわからんといった顔つきだな!!いいだろう教えてやるさ!!」

そう言った後、男は

「もうでてきても構わないぞ」

と、ものすごい笑みを浮かべて言った。するとさっきまで何もいなかった男の隣にあの小さなオウディウスが徐々に現れてきた!!僕は目を丸く見開いた!!

一体どうなっているんだ?さっきまで何もいなかったのに・・・なんで突然あそこに・・・頭が痛みと訳の分からないこととで混乱していく。そんな時、男が言った

「だからさっきも言っただろう!!オウディウスは一体一体特別な力を持っていることを忘れるなと・・・こいつの力は「光学迷彩」つまり体を透明にすることが出来るのだ!!」

はっとしたように名屋が苦しそうな声で言った

「そうか・・・だから・・・いつの間にか・・・こんなにでかい傷が・・・」

「そのとおりだ!!」

ハハハハハハと大きく男が高笑いした

「しかしまあまだあるぞ!!」

と男が付け加えた

「フフフ、これを言い終わった後にはお前らの絶望の顔が見られることを期待している!!」

僕らは男の声に耳を傾ける。と、突然久杉が大きく笑い言った

「てめぇはそれ以上言うんじゃねぇ・・・ヒースト!!」

すると男は久杉をにらみつけながらも「はい」と、口を閉じた。


第5章〜情報〜

僕らは何がなんだか分からなくなった。

ヒースト?それがあの男の名なのか?でもそうだとしたらなぜ久杉が知っているんだ?第一、アイツ・・・あんなに強そうなやつに上からものを言ってるし・・・それになぜアイツは久杉の言うことを聞いたんだ?

本当に何がなんだか分からない

すると斉木が言った

「一体・・・どうなってるんだ・・・?」

僕らは訳が分からず久杉の方を見た

「フンッ!!お前らに教えるつもりは無い」

ますます僕らは訳が分からなくなる。

しかし久杉は「でも」と続けた

「おしえなければならないこともある。でも『資格』があるかどうかは別だ。その資格があるかどうかこれから見極めるとしよう。」

「資格・・・?それは一体?見極める?何のことだ?」

名屋が言った

でも久杉はそんな名屋を無視してさらに言った

「資格があるかどうか、見極める方法はいたって簡単だ。ここにいるヒーストに勝てばそれでいい。勝てたら俺らの要求を教えてやる。ついでにこの状況と脱出の仕方もな。それに戦闘中に俺らの謎も次第に解けてくるだろう。もし負ければお前らはここで殺す。必要な人間以外はな」

やはりあの男はヒーストという名前なのか?これから戦う僕らの敵・・・

そのとき草羅が言った

「必要な人間とは、やはりカノンなのか?」

「もちろんだ」

と、久杉が答える

「でもカノン様だけではないぞ。ほかにも1人必要なやつがいる。この戦いが終わってそいつがこちらに来たくないのならそれはそれでかまわないがな。しかしカノン様は絶対だ」

負けたらカノンは連れ去られる。

しかしもう1人とは一体誰だ?第一来たくないならそれでもいいって・・・?この中に進んで奴らの仲間になりたいなんて思っているやつは一人としていないだろう。一体何が目的なんだ?

僕は頭が混乱してきた。

「さてと、そろそろ始めるか。俺はこの戦いには手を出さない。やるのはヒーストただ一人だ。と言うことで」

と、久杉が言った。

かと思うとヒーストという男の隣にいたオウディウスを久杉が思いっきり蹴飛ばした!!するとオウディウスはその蹴り一発でひっくり返って動かなくなった。

「なんてこった!!オウディウスをただの蹴りでしとめやがった!!」

草羅が大声で言った。その時!!ヒーストという男が大声で喚き散らした!!

「バルキー!!!てめぇ!!よくも俺のオウディウスに!!ちょっと待ってろ!!今そこに行ってぶったおしてやる!!!」

すると、久杉は(バルキーとは一体何のことだろう)

「やれるもんならやってみろ、『ノーノ』のお前が『セースト』の俺に勝てると言うのならな!!!」

僕らにはもちろんその会話の意味は分からなかった。でも久杉の言葉は相当強力なものだったのだろう。ヒーストは急におとなしくなった

「さぁヒースト!!あいつらをぶちのめすのだ!!」

と、ヒーストが僕らめがけて突進してきた!!その時草羅が

「どうやらやるしかないみたいだな・・・、みんな!!絶対勝つぞ!!」

と、僕らを勇気付けるように言った。そして皆で「おぉ!!!!」と叫ぶ

そしていよいよ戦闘が始まった

草羅がヒーストに、持っていたナイフを投げた。僕もナイフを投げる、斉木と名屋はーストに向かって走っていった。

僕らが投げたナイフはすべてかわされてしまった。

が、斉木と名屋は自分の持っているナイフでヒーストと戦っている。僕と草羅は2人を助けるべくその辺の石やガラスの破片を投げ続けた!!

加賀はカノンを守っていった。

僕らが投げた武器の何発かはヒーストに命中したがとてもダメージをあたえらるものではなかった、そのとき!!斉木がヒーストに向かって持っていたナイフを振り下ろした!!するとそのナイフはヒーストの腹に深々と刺さった!!僕らはあっけにとられ呆然と立ち尽くした。ヒーストの近くにいる斉木と名屋もまた、立ち尽くしている。と、その時!!草羅が大声で言った

「名屋!!斉木!!そいつから離れろ!!ナイフが刺さっているのにそいつ・・・血がででねぇ!!」

僕らはパッとヒーストの傷を見た。

確かに血が出てない、それどころか傷口が黒くなり、徐々に治っていっているではないか!!

それを見るや否や斉木と名屋は逃げ出そうと駆け出した。しかし!!2人は後ろから飛んできたナイフに足や手、数箇所さされ動けなくなった。するとヒーストはさらに僕らに向かって石やガラスの破片を体から猛烈な勢いで発射した!!僕と草羅は想定外の攻撃をかわしきれず床に突っ伏した。

するとヒーストが高笑いしながら言った

「どうだ!!見たか我が能力!!これでお前らは動けまい!!お前らが私に勝つなど無理な話なのだ!!」

「いったい・・・どうなっているんだ?なぜ・・・やつの体から俺らが攻撃したものが・・・」

草羅が苦しそうに言った

するとヒーストが自慢げに喋り始めた

「フン!!教えてやろう!!我が能力は『吸収』!!相手の攻撃で受けたダメージを我が体内に吸収し、それを一気に相手にぶつける事が出来るのだ!!今は石やガラス片だったからお前らのダメージもそこまでではないと思うが、これがピストルや弓矢だったらお前らは今の攻撃で死んでいたはずだ!!」

「畜生・・・力の差がここまでだったとは・・・、だがまだ戦える・・・」

名屋がまたヒーストの元へ駆け出そうとした。しかし

「まて・・・アイツの力が計り知れない・・・もう少し様子を見よう」

と、斉木に止められた。ふと僕は草羅のほうを向いた。すると草羅は「そんなこと絶対にありえない」とでもいいたそうに顔を強張らせていた。そしてそのことをヒーストに告げる

「そ・・・そんなのありえない!!今の攻撃をすべて吸収しただと?そんなことできるわけが無い!!実際、俺が前戦ったオウディウスにも吸収の能力を持ったやつがいた。しかしそいつは7本のナイフを吸収するだけで精一杯だったんだぞ!!それを50はある石やガラス片を吸収ただなんて・・・そんなのあるわけねぇ!!」

するとヒースト叫んだ

「俺をそんな低級オウディウスと一緒にするな!!お前らは知らないようだから教えといてやる!!俺らはオウディウスではないのだ!!ここではない空間の人間なのだ!!」

人間と聞いて僕が言った

「じゃぁなぜそんな力を持っているんだ!!」

「人間といってもただの人間ではない。その空間の王者だ!!いいか、よーく聞け!!スコル様はオウディウスという莫大な力を持った生き物を作ってしまった。さらにオウディウスは人間の憎しみなどから生まれる、人間は憎しみを持ちやすい生き物だ。故にオウディウスの数はそれはもうとてつもなく多い!!実際この学校でも40体出来たほどだ!!流石のスコル様といえどそれを制御しきることは不可能だった!!」

ヒーストが言葉をつなげるために息を吸い込む。(どうやらこれは明かしてもいいことのようだ、後ろにいる久杉は手を出そうとはしていない)

そしてヒーストが続ける

「だからオウディウスを従えるだけの力を持った生き物、空間の王!!つまりは覇者を使おうと考えたのだ!!そしてその生き物が俺らだ。さらにスコル様は色々な空間に行くことでさまざまな力を持った覇者をより集めた。スコル様が集めたそれぞれの空間の覇者をまとめてこう言う『シャイターン』と、そしてさらにそのシャイターンにもランクがある。それはローマ数字の9〜1の数字で表され、9から順にIXノーノVIIIオッターヴォVIIセッティモVIセーストVクイーントIVクアールトIIIテールツォIIセコーンドIプリーモとなる!!さらに!!お前らが久杉と呼んでいたそいつはコードネームバルキー!!セーストシャイターンだ!!そして俺はそのうちノーノシャイターン!!シャイターンの中では最弱の数字だが、お前らが今まで戦ってきたオウディウスと比べればはるかに強いぞ!!さぁどうする!!ここで降参するか?お前らに俺を倒すことは不可能!!」

僕らが慌てふためく中、珍しく斉木は冷静だった

「へっ!!それがどうした!!いま少し戦ってみたがソコまで差は感じなかった!!俺らの倒せない敵じゃねぇ!!」

するとヒーストは

「今までは本気を出していなかっただけだ」

と言った

「そんなの嘘に決まってる!!」

斉木も反論する。だがヒーストも言い返す

「お前はバカだな。さっきの話しで言ったろう。ピストルの弾や弓矢ならお前らは死ぬと・・・今までに俺が何発分そういったものを吸収して来たと思っている。」

さっと僕らの顔から血の気が引く、僕らが絶望するなかヒーストがピストルの弾を飛ばしてきた。僕の見間違いかもしれないがそのときの久杉は悲しい表情をしていた。

第四巻〜異空間の覇者〜END


〜編集者後書き〜

久杉が実は敵だったのは皆さん驚きましたでしょう。

こんな展開が待ち受けていたのはしょうがないことです。ここで初めて題名の「ネバービリーブ」(never believe/決して信じない、決して信じられない)の意味が分かってきたと思います。これが最終的にどうなるやら・・・

次回は仲間が一気に減ります!(予言です)

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