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第三巻 〜新たな敵、新たな仲間〜

〜序章〜

なんと大きな体・・・

なんとすさまじい迫力・・・

スローターなんて赤子のようにしか見えない

これから僕らはこいつと戦うのか・・・

未来への道がゆっくりと闇に飲み込まれていった。


第1章〜死を乗り越えて〜

田辺の死はとても悲しかった,でもその悲しみも、次第に時が癒してくれた

今ももちろんつらいが、前ほどのつらさは無くなった。田辺の亡骸は廊下のはじのほうに立てかけておいて、上に僕らのジャージをかぶせておいた。きちんと葬ってやれないのがかわいそうだが、今外に出て行ったら死体が増えることになりかねない。

なので僕らはこの騒動が終わったらきちんと葬ってやることにして,とりあえずは目立たないところにおいておいた。

田辺の表情はとても穏やかで、まるで、ただ寝ているだけのようだった

いまにも

「おはよう」

と言い出しそうなその顔を僕らはただただじっと見つめていた

そして簡単な花束や田辺が使っていたサッカーシューズを近くにおいてやった

そんなとき加賀が

「俺前に一度覚えたことがあるんだ」

と、お経を唱え始めた。

それを聞いているうちに僕はなんだか気持ちが軽くなった

加賀がお経を唱え終えると名屋が

「さぁいこうぜ」

と、皆を促した

皆がさっと顔をあげる

「さぁいこう」

久杉が名屋と同じ言葉を発する

「さぁいこう」

斉木も言った

僕と加賀は顔を合わせニッと笑って同時に言った

「さぁいこう!!」


第2章〜謎の女性〜

僕らは一階の廊下を後にして屋上へと向かっていった。

屋上に行く途中何度かスローター達に出くわしたが難なく進むことが出来た。

すると斉木が

「なんだかヒーローになったみたいだな!!」

と気持ちよさそうにいった

「そうだね!!さっきまで怖くて怖くてたまらなかったスローター達を簡単にやっつ

けることが出来るようになったんだ!!ホント気持ちがいいや!!」

加賀もうれしそうだ

「この調子だと案外簡単に屋上につくんじゃない?」

ぼくも弾むように言う

すると久杉が

「あんまり図に乗ってると痛い目見るぞ」

といった

でも久杉も笑っているところを見ると、余裕が出てきているのだろう

名屋がやれやれとため息を吐いた。でも内心では名屋もとても嬉しいに違いない。

そんなことを話しながら一階の階段を上っていくと後ろのほうからすごい音がした

「ゴギャーーー」

数秒皆口を閉じた。するとさらに

「ゴキャーーー」

と言う声がする

間違いない!!スローターの声だ!!

誰かが襲われているのかもしれない!!

僕らは互いに顔を合わせた

「どうする」

斉木が言った

「行くっきゃないだろ」

名屋が答える

しかし久杉は

「待て!!落ち着いて考えろ!!今行っても俺らに何の得がある!!なるべく無用な戦闘は避けたい!!ココはひとまず無視していこう!!」

皆が考え込む中、僕が言った

「そんなの嫌だ!!」

久杉が僕を見る

「誰かが襲われているかもしれないのに見逃すなんてぼくは嫌だ!!誰かが死ぬのはもうたくさんだ!!」

すると久杉が僕に向かっていった

「行ったら俺らがやられてしまうかもしれないんだぞ!!」

それでも僕は「嫌だ!!」といい続けた

「今までは僕らは簡単に倒して来れたんだ!!でもあの音からして今戦ってている人は相当てこずっている!!助けられるのに助けないだなんてぼくは嫌だ!!」

すると名屋が

「よーし!!よく言った津式!!」

と僕に行った

その後、久杉に

「久杉!!津式の言うとおりだと俺は思う!!はやくいってやろうよ」

久杉はためらいながらも

「分かった」

と言った

行ってみるとやはり誰かが1匹のスローターに襲われていた

(良く見るとスローターに襲われている人は女性だった)

僕らは一斉にスローターに向かっていった。それを見たスローターは心底驚いてものすごいスピードで逃げていった。

僕が襲われていた女性に話しかけた

「だ・・・大丈夫ですか?」

すると女性は

「フン!!」

と顔を背けた

女性は全く僕の話を聞いてくれないので困り果てた。

とソコへ斉木が来て

「大丈夫ですか?レディー?」

と女性に声をかけた。

僕はプッと思わず吹きだしてしまった。あまりのベタな台詞に笑わずにいられなかったのだ

その言葉を聞いた女性は

「あんたバカじゃないの?」

とピシャリとはねつけた

僕はおもわず声を上げて笑ってしまった。

久杉たちが「なんだ?」とよってきたが

斉木は微妙に目が潤んでいた

(全く単純で健全な男子だ!!)

そこへ久杉が出てきて

「お前は何もんだ?」

と聞いた

すると女性は

「人のことを聞く前に、自分たちが名のったらどうなの!!」

と強い口調で言った

これは失敬、と久杉が答えた

「僕は久杉優太、それでこの隣にいるのが名屋伊吹、そしてこのおっきな体をしたのが加賀裕一、そしてあなたに1番最初に声をかけたのが津式光」

バカ丁寧な口調だ

僕らはそれぞれ軽くお辞儀をした。そして・・・と、久杉が続ける

「あなたがいま突き放したのが斉木翼です」

くすくす笑いながら久杉が斉木を紹介する

斉木はそんな久杉に「フン!!」と鼻を鳴らしてが、すぐに女性に向き直りニッコリ笑って女性に問いかけた

「あなたのお名前は?」

すると女性が

「カノンよ・・・カノン・アルビダ・グランツ」

と答えた

僕らは『こんな人、2年にいたっけ』とそれぞれ思った


第3章〜新しい仲間〜

カノンは結構キレイな僕らと同い年くらいの女性だった

あれからカノンは僕らと行動をともにしている。

最初僕らは訳の分からない女性を仲間に入れることをためらった

だが斉木が猛プッシュしたので根負けして『一時期だけ』一緒になることになった。

カノンが言うには彼女は別の空間から来たのだという

確かにこんな人、学校で見たこと無いから本当のことなのだろうけど、頭がその事実を受け入れようとはしなかった

斉木は

「カノンが何処からこようが関係ない」

と言い張ったが

僕らとしてはどうしても彼女の素性を確かめたかった

しかし何度カノンに聞いても

「だから別の空間から来たのよ!!」

としか答えずそれ以上は明かそうとしなかった

困り果てた末に

「まぁそのうちだんだん分かってくるだろう」

という答えに行き着き僕らもそれ以上の詮索はしなかった

しかしカノンはあの太った男のことを知っていて、いろいろ僕らに教えてくれた

あの太った男の名は「スコル・アルビダ・グランツ」

なんとカノンの父親だというのだ!!

僕らはもっと知りたくてカノンに迫った

するとカノンは

「助けてもらった御礼くらいはしないとね」

と言い、スコルのことを教えてくれた

「お父さん、昔はとっても優しかったんだ。私、お父さんのことがとっても好きだったの。でもあるひ、お父さんが経営していた会社が潰されちゃったのよ。そしたらお父さん、怒りに身を任せて会社を潰した新しい会社の社長さんを殺しちゃったの。それでお父さんは逃げ出した。もちろんお父さんは指名手配されたわ・・・。でも全然見つからなくてね、私もお母さんももう諦めてたの・・・。でもそんな時お父さんの情報が入ってきたの。どうやらお父さんはテロ組織と繋がっていて、しかもその中でもトップクラスの人間だったらしいの。私もお母さんも絶望したわ。さらにお父さんは、欲や怒り、恨みや妬みなど、人の邪悪な部分だけを増幅させ、理性や愛や友情みたいな人としての善の心をなくしてしまうものを開発したとも聞いた。」

僕らは今までのことと結びつけながら一心に聞いた。

するとカノンが急に涙声になって泣きながら言った

「流石にこのことはなかなか信じられなかったわ。お父さんがそんなことに手を伸ばしていただなんて・・・。でも現実はそうだったのよね。」

斉木が励まそうとカノンの肩に手を乗せようとしたがパシッっと跳ね飛ばされた。

そして彼女は続ける

「でももっと信じられないことが起きたの。その開発途中に不慮の事故があってお父さんは死んだって・・・。」

ま・・・待ってくれと名屋が言った

「死んだって!?・・・まさか・・・。じゃぁ今いるあの男はなんなんだよ!!」

「そんなの私にも分からないわよ!!だからこうしてココに来たんじゃない!!」

久杉がまぁまぁとおちつかせ「それで?」とカノンを促す

するとカノンは

「これだけよ!!さっきも言ったけどお父さんのことを知るためにココに来たの。そしたら奴らに襲われて・・・あなたたちに助けられて・・・今ここにいるわ」

そうか!!そうだったのか!!やっと話しが繋がった。彼女はそのことを知るために、たったいまココに来たのか!!それならつじつまが合う!!

と、そのとき、加賀が口を開いた

「じゃぁ・・・その開発したものでおかしくされちゃったのがスローターで、なぜかココには死んだはずのカノンさんのお父さんがいて・・・でもそのお父さんは指名手配されてて、っていうことか?」

「まぁそうなるわな」

斉木が言った。

みんながそのことについて考えている中、僕はそれよりももっと気になることがあった

僕はそれを聞くのをためらったが思い切ってカノンに聞くことにした

「ねぇカノン・・・別の空間からきたってことは、カノンも空間移動が出来るの」

「えぇそうよ」

かるい口調でカノンが答える

「それがどうかしたのか?」

斉木が聞いた

「どうかしたもなにも、カノンが空間移動できるならココの空間から出れるじゃないか!!」

みんながあっけにとられ、口をポカーンとあける

「そ・・・そうか!!」

一斉に皆が言った

「カ・・・カノンその空間移動は多人数でも出来るのか?」

斉木が聞いた

「勿論よ!!」

「おっしゃぁぁぁぁぁ!!」

一斉に皆で叫ぶ

「でも!!」

カノンが皆をさえぎった

「ここの空間ではなぜか出来ないの・・・。多分お父さんがここの空間からでられないように特殊な電磁波を流しているのね。悪いけどそれは出来ないわ。もし出来てもお父さんのことが解決するまでは返さないけど」

あぁそうか・・・

皆が一気にガクッと肩を落とした。

ところが僕は何か引っかかることがあった。彼女の言葉に何か見落としている点が・・・

「あっ!!」

僕が突然言ったものだから皆がビクッとする

「こ・・・今度はなんだよ」

斉木が言った

「ま・・・まさか他にも思いついたの?」

加賀が期待して聞いた。でも僕の聞きたいことは違う

「お父さんのことが解決するまでって・・・、もしかして・・・ずっと僕らといる気?」

「当たり前でしょ!!もうあんな危険な思いするの嫌だもん。これからはちゃんと私のこと守りなさいよ!!」

カノンが偉そうに答えた。

みんなが

「はぁ!?」

と、そろって言う。ただ斉木だけは嬉しそうに鼻歌を歌っていた。

こうして僕らに「カノン」という新しい仲間が加わった。


第4章〜オウディウス〜

カノンが加わってからと言うもの、ぼくらはとても忙しくなった。なんせカノンが

「もっと早く進めないの?」

だの

「お腹がすいたからご飯を頂戴」

だのと、とてもうるさくしていたからだ。

もし1人でもいうことを聞かないならば

「私の力が戻っても返してあげないわよ!!もちろん全員ねぇ!!こういうことは連帯責任で責任取るのが一番手っ取り早いから」

などと言い出すから、いやでも言う事を聞く羽目になった。

でもまぁ、田辺が死んでから暗い気分になっていた僕らにとってはちょうど良い気晴らしにもなった。

そしていつものようにそんなことをしているときに事は起きた。

「お前ら・・・そのものを渡してもらおうか」

背後で凄みのある低い声がした。後ろを振り返るとなんと空間に黒い穴のようなものが空いていた!!と、その中から見覚えのある姿をしたものが出てきた

ボロボロのシャツのような服に、ジーンズをはき、炎のような真っ赤なマントを羽織り、髪のとても長いもの。そう!!最初にクラスに入ってきて先生を襲ったやつだ!!

その者がまた言った

「カノン様をこちらに渡してもらおうか」

カノン様・・・その言葉をきいて僕らはさっとカノンのほうを向いた

「カノン・・・お前・・・何かやらかしたのか?しかも何で様付けなんだよ!!」

久杉が問う

「そ・・・そんなこと知ってるわけ無いでしょ!!」

カノンが言った

「じゃぁ・・・どうしてアイツ・・・お前のこと狙ってるんだよ!!」

加賀も言った

「そんなの分からないわよ!!」

カノンも吐き捨てるように言う

すると男が

「カノン様、早くこちらに来ていただきたい。スコル様がお待ちなのです。でないとそのものたちを殺さなくてはならなくなる。その方たちも殺されたくなければさっさとカノン様を渡しなさい」

だんだんイラついてきてるようだ。

「渡すもんか!!」

斉木が大声を張り上げていった

みんなが「信じられない!!」という顔つきで斉木を見る。

「絶対に渡すもんか」

また斉木が言った

「ほう・・・その方は死を選ぶか、他のものはどうなのだ」

男が言う

「お・・・俺たちは・・・」

久杉が反応した。みんなは久杉の判断に任せようと次の久杉の言葉を待った。

きっと今、久杉はいろんなことを考えているに違いない

と、そのとき、久杉が僕らのほうを見て少し笑った。その顔には間違いなく『戦うぞ』とかいてあった。そして久杉が言葉を放った

「渡すもんかぁぁぁぁぁ」

僕らは一斉に男に向かっていった。1番早く飛び出したのはモチロン斉木で、久杉がなんと言おうと飛び出す気だったらしい。ものすごいスピードだ

「フン・・・貴様らは愚か者だな」

そういうと男は黒い穴の中に入っていった

「どういうことだ?」

斉木が言う。

僕らは訳が分からずその場で止まった。

そのときだった。

何かが黒い空間の穴から出てきた。

僕らの3倍はあろうかというその巨体がこっちにむかってくる。そいつの肌は不気味なほど光っている紫色の肌で、爪は鍵爪のように曲がっていて、口からはキバがでている。

(モチロン足や腕の筋肉の量も半端ない!!)

そして後ろから何匹かのスローター達と、さっきの男が現れた

僕らはその男たちよりも巨大な生物のほうに目が行った

「そいつはな・・・」

と男が口を開いた。みんなが男の言葉に耳を傾ける

「そいつは『オウディウス』と言う生き物だ。お前らの言う『スローター』を作るときに普通の人間にくらべて憎しみや怒り、妬みなどが大きいとその姿になる。大きさや戦闘能力には個体差があるが、鼻のよさや好戦的な性格は『スローター』の非じゃないぞ」

僕らは骨の髄から震え上がった

「さらに・・・」

と男が続けようとしたが、オウディウスという生き物がそれを遮るようにものすごい声で吼えた

「おっと、これ以上はヤツが待ちきれないか・・・暴れてしまっては取り返しのつかないことになるからな、話はここまでとしよう」

そして男が口の端を吊り上げながらパチンと指をならした。と、その瞬間、スローターとオウディウスが僕らに襲い掛かってきた

男が

「カノン様には傷をつけるな!!」

と命じる、いよいよ戦闘開始だ!!


第5章〜VSオウディウス〜

男が楽しそうに戦いを見物している中

まず僕らは周りのスローター達からかたづけることにした。

久杉と名屋がオウディウスの注意をひきつけている間に僕と加賀と斉木とでスローターを倒していく。

(カノンはわきにあった安全そうな部屋にいた)

僕らがスローターを次々と倒していっているとき、オウディウスの相手をしている久杉たちはまさに一進一退の攻防を続けていた、初歩的なミスがオウディウスとの戦いの中では命取りになる、脚力も、パワーも僕らがかなうレベルじゃない、ただ頭脳だけは僕らのほうが上だ!!この頭脳をフルに使わなければ勝ち目は無い。

とりあえず僕らはスローター退治を終えた。つぎはあのオウディウスだ!!

僕らが久杉と名屋の元に行こうとしたら

「お前らは来るな!!」

と名屋が大声で叫んだ。

ナゼなんて聞かなくても分かる。ぼくらじゃ足手まといになるだけで、何のプラスの力にもならない。

そこで僕と加賀と斉木はカノンの元へと行き戦いを見守ることにした。

久杉と名屋の戦いは見るだけで冷や汗が出る。

オウディウスが久杉に向かって手を振り下ろした。間一髪のところで久杉は避けたが久杉に隙が出来た。そこを狙いオウディウスが足で久杉を思いっきり蹴り飛ばそうとする。

そこに鋭いナイフが4,5本飛んできた。名屋が投げたナイフだ!!ナイフはオウディウスの足にグサリとすべて突き刺さった。オウディウスが思わず声を上げる。オウディウスは狙いを名屋に変えて突進しようとした!!しかしそんな攻撃の隙を久杉は決して見逃さなかった。オウディウスが方向転換した隙に日本刀を取り、腹をおもいっきり切り裂こうとするとする。それに気づいたオウディウスは得意の脚力で数メートル後ろに下がり、久杉の攻撃をかわした。そして次の攻撃を仕掛けようと身構える

名屋と久杉もその攻撃に備えるべく立ち上がりそれぞれ武器を構え、オウディウスのほうを向く。

オウディウスは口元をニッっと吊り上げた。

見たら男も口元がゆがんでいる。

そして次の瞬間、オウディウスが一瞬にして消えた!!僕らは戸惑いながらオウディウスの姿をさがした。すると久杉と名屋の後ろにオウディウスの姿が見えた。どうなっているんだと僕らは頭をフル回転させた。

と、そのとき久杉と名屋の腹からものすごい量の血が噴出した!!名屋と久杉がその場にドサッと倒れる。

何が起きたか分からない僕らはその場に立ち尽くしていた。

ふと我に返った僕は久杉と名屋の元に駆け寄った。

「名屋!!久杉!!」

僕が大声で叫びながら名屋たちのもとへ行く

その声に気づき、斉木と加賀も我に返りこっちに駆け寄ってきた。

2人ともものすごい傷だが名屋の方がふかでだったので、僕は名屋に駆け寄った。

そして初めての戦闘のとき斉木を治したように手際よく治療を行った。

久杉はまだもがいていた。加賀と斉木が必死で治療しているが、あいつら2人だけじゃどうにもならないだろう。早くこっちを片付けて久杉のほうへ行かないと!!

そこで男の笑い声が聞こえた。「良くやったぞオウディウス」と言わんばかりに笑い続けている。

「ハハハ!!どうだ!!見たかオウディウスの力!!」

「なんのことだ!!どうやって攻撃したんだ!!」

僕は大声で言った

「ハハハ!!いいだろう教えてやる!!オウディウスはスローターとか言う雑魚とは違い、一体一体、特殊な力を持っているのだ!!このオウディウスの場合は『超高速移動』!!そいつらはその餌食になっただけだ!!」

男が嬉しそうな声で言った

『超高速移動』そんなことがありえるのか?だが空間移動だってあったんだ。それくらいあってもおかしくない!!

そんなことより早く治さないと!!

そのとき、男がオウディウスに命じた

「やれ!!オウディウス!!」

『まずい!!もうだめだ!!オウディウスにやられ・・・』

僕はこれこそ自分の本当の最後だと思った。もう田辺のように僕を守ってくれるやつはここにいない。もうどんなにもがいたって助かる見込みなど無い・・・そう思ってた。

緊張感で薄れゆく意識の中で僕は何かを見た。

オウディウスの叫びが聞こえ、黒いマントを羽織った人が現れた気がした。

『これは幻覚か?そうだ。頭の中でこうなったらいいと勝手に作られたただの妄想なのだ』

僕は自分にそう言い聞かせた。そしてそんな意識の中、声が聞こえた

「しっかりしろ!!大丈夫か?」

この声には聞き覚えがあった。

これは・・・確か・・・4組の・・・

そこで僕の意識は完全に闇へと落ちた。


第6章〜草羅拓人〜

徐々に意識が回復してきた・・・

『ここは一体何処だろう・・・』周りではかすかに人の話す声がする。火のパチパチという音や風が吹き抜ける音もしたがとりあえず人の声に耳を傾けることとした

「そうか・・・そんなことが・・・。お前らも苦労したんだな・・・」

誰かの声がする

「うん・・・でももう草羅がいれば大丈夫だ!!」

この声には聞き覚えがある・・・斉木だ!!

それより草羅とはどっかで聴いたことのある名だ

「ハハハ・・・そんなこというなよ・・・照れるじゃないか・・・」

草羅という人物の声か?

「そんな・・・でも事実だよ!!こんなに頼りになる人他にいないさ!!」

この声にも聞き覚えがある・・・加賀だろう!!

「ハハ・・・ありがとさん」

どうやらこの人は敵ではないようだ

「ところで津式たちは一体どうなんですか?」

加賀が言った

「津式はもう平気だ。こいつはどうやら気を失っているだけらしいしな。名屋も心配ない。津式の治療が聞いたのかもう完全に傷口はふさがっているよ。まったくあんな大きい傷を・・・たいしたもんだ」

草羅という人物が言った

そのあと少し声のトーンを下げてまた口を開く

「問題は久杉だ。傷も深いし処置も全然行われていなかったようだし。たぶん津式もこっちまで手が回らなかったんだろうな。でも大丈夫さ!!おれが治療しといたからよ!!あとは久杉の生命力に賭けるしかないがな」

ここで僕はむくっと起き上がった

「おぉ津式!!」

加賀と斉木が言った。

ここは・・・どうやら理科室のようだ・・・

僕はふと草羅と呼ばれていた人物にめをやった

「おっす!!大丈夫か・・・」

その言葉を聴いて僕ははっとした

草羅・・・草羅拓人か!!

「おぉ!!」

と僕は思わず草羅に抱きついた

草羅は勘弁してくれよ・・・といった様子だが抱きしめ返してくれた。

この草羅拓人という人物は、サッカー部所属で死んでしまった田辺とここにいる名屋の親友だ!!

そのとき、名屋と久杉も起き上がった

「あは!!久杉!!名屋!!」

草羅が声をかけた

すると名屋が嬉しそうに返答した

「おぉ草羅!!生きていてくれたんだ!!」

2人で抱き合った。ところが久杉はキョロキョロしたまま何も言わない

「どうしたんだ?」

草羅が問いかける

「カノンはどこだ?」

そういえばカノンの姿が見当たらない。

あぁそれならと、草羅が机の下を指差した。あろうことかカノンは爆睡していた

ここで草羅が急にまじめな顔になっていった

「斉木と加賀から話は聞いたよ・・・田辺・・・本当に死んじまったんだな・・・」

あぁと名屋がうなずく

「あぁ見えてあいつ・・・いいやつだったのにな・・・」

泣きながら言った。

僕らはうんうんとただうなずくことしか出来なかった

「でもいつまでたっても後ろ向いてちゃ田辺に叱られる・・・しっかり前向かなきゃな・・・」

草羅は立ち直りがものすごく早かった。この話題が終わったとき僕は草羅に聞いた。

「あの後どうなったんだよ・・・僕達確か・・・オウディウスに殺されたはずじゃ・・・」

『おっいい質問だ』と草羅が説明し始めた

「あのときは俺も流石に焦ったぜ。あと俺がコンマ1秒でも遅れてたらお前ら死んでたぜ。」

僕はそんなことよりも一体どのようにあの場を切り抜けたのか気になって草羅に聞いてみた

「いいだろう教えてやるよ」

草羅が自慢げに説明し始めた

「あのオウディウスの力は『超高速移動』だっただろ?そんな力を持ってたんじゃ普通の人間じゃどうあがいてもかなう相手じゃない。でもな、もしもこっちがそのスピードに目だけでもついていくことが出来たら話は別だ!!『超高速移動』には大きな落とし穴がある。それはいちどトップスピードに達しちまうと方向転換が出来なくなることだ。だから上手くタイミングを合わせてやればたとえ木の切れ端だって十分殺傷能力を持ったものになる」

まだ僕は良く分からなかった。

すると草羅が

「じゃぁ例えば・・・高速道路を走っている車があるとする。その車が走ってる最中に、前方からその車の窓ガラスめがけてビービー弾の鉄砲の弾を発射したらどうなる?もちろん窓ガラスが割れる。普通、止まってる状態の車の窓ガラスに、何の改造もしてないビービー弾の銃を発砲したってガラスは割れないだろ?それとおなじだ。少ない力でも相手の力を利用すればそれこそ膨大なエネルギーが生まれるってことさ!!」

なるほどそういうことか!!

ところが

「でも・・・」と加賀が言った

「あのオウディウスを倒せたとしてもあそこにいた男はどうしたんだよ!!あんな怪物を従わせていたんだ。相当腕が立つだろ?」

「あぁそれはな、逃げてきたんだ。このマントについている睡眠ガスを撒き散らしてな!!」

僕はマントを見た。たしかにところどころ気体が噴出すのにはちょうどいいくらいの大きさの管が通っていた。

「こんなもん・・・何処で手に入れたんだ?」

名屋が聞いた

「これは前に倒した『催眠』系の能力を持ったオウディウスから頂戴したんだ。ヤツは睡眠に頼るだけで、攻撃能力は低かったから簡単に倒せたんだ」

草羅がまた自慢げに言った

「やるなぁ」と名屋と久杉が感心する

「あとは・・・」と久杉がさらに言った

「カノンが目を覚ましたら色々聞かなきゃならないな」

僕らは深くうなずいた

そのあとカノンが起きるまで僕らはたわいも無いおしゃべりをした

つかの間の幸せにどっぷりとつかりながら・・・

第3巻〜新たな敵、新たな仲間〜END


〜編集者後書き〜

新しい仲間はどうでしたか?田辺以上に活躍していると思います(笑

今回はあまり大きな変化はおきませんでしたが、次回は衝撃的なことが待ち受けている予定です。

次話もぜひ読んでくださいね。

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