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第十一巻 〜同士討ち(前編)〜

序章

おい・・・

今なんて言った・・・

そんな、名屋・・・名屋

お前まで

お前まで敵になっちまうのかよ・・・

よしてくれよ

そんなの聞きたくもねぇよ



第1章〜裏切り〜

「おいおいカオス・・・話が違うぞ・・・」

そういってスコルが屋上の暗い隅のほうから出てきた

「すみませんスコル様、この者たちの生命力はゴキブリ並みのもののようで」

荒口が答えた

するとスコルは

「言い訳なんていいんだよ、任務失敗は許されんぞ」

と、声を張り上げた

「えぇ、承知しておりますとも」

「ならばこやつらをどうする気だね」

スコルが問う

すると荒口は思いもよらぬ言葉を口にした

「ここで殺します」

僕らは互いに見合った

この状況を理解できてないからだ

名屋は荒口に聞いた

「どういうことなんだよ・・・意味分からないし・・・ってかなんで・・・お前がスコルとそんな親しげに喋ってるんだ?」

荒口は

「見て分からないのか?」

と、軽い口調で答えた

「見て分からないのかって・・・まさか・・・裏切ったのか!!!!」

名屋の声が大きくなる

「裏切っただと?・・・オレはシャイターンだぞ、お前らの仲間になるほうがおかしいだろ」

荒口が確信をつく

「そりゃそうだけど・・・」

名屋が言葉にいきづまった

ここでスコルが口を挟んだ

「全く話が長くなりそうだな・・・おいカオス!!!私は向こうで休んでるぞ」

荒口がうなずいた

名屋が

「おい待て!!」

と、ひき止めようとしたがスコルは行ってしまった

草羅は名屋の代わりに荒口に向き直って言った

「そりゃぁ、あんたはシャイターンだからスコルの味方でもおかしくはない、でも今まで助けてくれたりしたのも事実だ。あれも芝居だったとか言うのか?」

「あぁ」

荒口がそっけなく答える

草羅は

「お前・・・ほんとうに・・・もうスコル側のものなのか?」

と、聞いた

「さっきからそう言っているだろうが」

荒口が答える

すると草羅は笑いながら言った

「そりゃぁおかしいな!!何で敵なら俺らに修行なんかさせて強くさせたんだ?」

(確かにそうだ。殺したい相手を強くしたのではただのバカだ)

「強くさせる・・・か、あの修行はな、お前らを強くさせるために与えたんじゃない。お前らを殺すために与えたんだ。スコル様の命令でな」

荒口が言った

「さっき言ってた任務ってそのこと?」

加賀が聞いた

「そうだ、オレはお前らに過酷な修行を与えて「修行中に死んだ」というお前らに疑われない形で殺そうとしたんだよ」

そういわれると加賀は

「じゃぁなんで僕達は今ここにいるわけ?殺したかったんじゃないの?それに殺したかったのなら途中で修行をやめるなんてことしないよね?」

荒口は眉毛をゆがめて

「あぁ、それは計算違いだった。お前らがあの修行に耐えてくるとは思わなかった。修行を途中でやめたのはもうお前らが全員死んでいると思ったからだ、だが、本当に計算違いだった」

と、言った

草羅は

「それで今これから俺らを殺そうというのか?」

と、荒口に迫った

「モチロンだ!!!」

荒口は即答した

すると名屋が

「お前は今まで行動をともにしてきた仲間をそんな簡単に殺せるのかよ!?そんなにスコルの命令は大事なのかよ!!!!」

と、大声で言った

この緊迫した空気の中荒口は笑って言った

「確かにな!!!仲間は殺せねぇよ!!!だがお前らを仲間だなんて思ったことは一度もないんだよ!!!!」

「てめぇ!!!」

と、名屋が攻撃を仕掛けようとする

しかし荒口が次にはなった言葉で名屋の動きが止まった

ぼくらも漠然とした

「それとスコル様の命令がそんなに大事なものかって?そんなの当たり前だろう!!!それにそのことはお前も良く知っているはずだ!!!!そういやさっき仲間は殺せないとか言ってたな。この事実を知ったらお前は俺を殺せるかな?」

荒口がおぞましい笑みを浮かべた

元IVクアールトシャイターンの名屋・・・いや、ギリアさんよぉ」



第2章〜名屋の過去〜

名屋が・・・シャイターン?

僕らは名屋に視線を向けた

名屋は目を丸くして硬直していた

「本当なのか・・・名屋・・・」

僕は恐る恐る聞いた

すると名屋は

「いや・・・違う・・・なに言ってんだよお前ら、オレがシャイターンだって?そんなわけないだろう・・・。おい荒口、お前頭までいかれたのか?」

「いいや、俺は正常だし冗談で言っているつもりもない」

荒口が冷静に答えた

「そんなわけあるか!!!!!」

名屋が絶叫した

それを聞いた荒口が言った

「お前は記憶がないだけだ」

「記憶にないだと?」

名屋が冷静さを取り戻して言った

「あぁそうさ、なにせアレはお前がまだ4〜5歳のときだったからな」

荒口が言った

すると名屋がふきだした

「バカ言ってんじゃねぇよお前、4〜5歳?オレがそんなちっこいときにシャイターンだったって言うのかよ」

「あぁ」

荒口は答えた

(どうやら大真面目らしい)

しかし名屋はその事実を受け入れようとしない

「ふざけるなよ!!!オレがシャイターンだって?しかも4〜5歳なんてあるわけないだろ!?シャイターンだったってことは力もつかえたはずだよな!?でもオレはついこの前アビリティーカンセルがでて力が使えるようになったんだぞ!!」

と、真っ向から反論する

「それはスコル様が記憶と同時に能力を消したからだ、いや・・・正確には「奪った」と言ったほうが良いか」

荒口はいたって冷静だ

「そんなばかな・・・」

名屋がうなだれるような声で言う

その様子を見た荒口がこういった

「信じられないというなら教えてやろう、お前の過去をな」

「俺の過去・・・・・・・・」

しばらく皆黙った

しかしその後

名屋が話を聞く体勢に入ったので僕らもとりあえず荒口の話を聞くことにした

「アレは確か10年前・・・スコル様の計画が仕上がってきた頃のことだ」

荒口が過去を振り返って淡々と話し始めた

「スコル様は計画の最終段階であるこの「学校立てこもり事件」について考えているときにあることに気がついた、これは当時のラストフォートレスしか知らないことなんだが、スコル様は我らシャイターンを取り込んで自分の力にしないと時間を移動できないということに気がついたんだ。しかしその時ちょうどVIクアールトの席が空いてしまっていてな、スコル様は当時のIプリーモだったザンバスにシャイターン候補を連れて来いと命じたんだ。そしてそのザンバスに連れてこられた者・・・それがお前、「名屋伊吹」だ。無論、スコル様もシャイターン全員も動揺したさ、なにせまだお前はほんのガキだったからな、それからシャイターン達で「名屋伊吹」を仲間として認めるかどうか議論した。しかしそれは思いのほか長引いてな、何ヶ月も何ヶ月も議論を繰り返していった、そしてお前を「仲間として認めない」という結果が色濃くなってきたときに事は起きた、なんとそれまでII(セコーンド)が覇者として名をはせていた空間が壊滅したというのだ!!!!モチロンその事件でシャイターン達の頭はいっぱいになり、一人のガキのことなんて構っていられなくなった。しかしその事件を調べていくとな、そのガキを無視出来なくなってきたんだ。調べに調べて俺らが出した結論・・・それは「この事件は『名屋伊吹』という個人の意志で引き起こされた」というものだった。俺らシャイターンはこの真実を受けたその直後に会議室へお前を呼び出した。そしてお前から事情を聞いたんだ。そしたらお前はなんていったと思う?」

荒口が一度話を切った

名屋は

「さぁ?」

と首をかしげる

「お前は「僕は仲間はずれにされるのは嫌だから・・・力を見てもらえば・・・強いって証明できれば仲間にしてもらえると思ったからやったんだ」そういった。俺らは硬直したよ・・・IIセコーンドが統一していた空間はな、本当にレベルの高いつわものぞろいで5番手くらいのヤツでもVIIIオッターヴォくらいにはなれるという報告まであった。それを一人でしかもその年で壊滅させたとあってはお前は末恐ろしいとしか言いようがない、しかし強い力を求めてたスコル様にはまたとないチャンスだった。これだけ幼いと鍛えれば鍛えるほど強くなる、まさに可能性は無限大!!!吸収するに当たってはこれほど格好な獲物はいないだろう。そしてスコル様はお前をIVクアールトの座につけてありとあらゆる命令を出した、お前を鍛えるためにな。案の定、お前は鍛えれば鍛えるほど強くなった。しかしそれを面白く思わないやつがシャイターンの中にいたんだ。まぎれもない・・・IIセコーンドさ、自分の空間を壊滅させられた上にスコル様にまで気に入られたお前・・・IIセコーンドが恨まないわけがない。でもまぁ、IIセコーンドもガキじゃない。スコル様のお気に入りだったお前を殺そうとは思わなかったらしいな、嫌がらせはしていたようだが・・・」

名屋が体勢を崩した

リラックスしたような体勢になり話を聞き続けた

「それから2年後、時が経つにつれIIセコーンドの嫌がらせもハードになってきてな、とうとうお前は耐え切れなくなった。それを聞いたスコル様は名屋伊吹がシャイターンを抜けてしまうことを恐れて当時のIIセコーンドをシャイターンから追放した、スコル様にはIIセコーンドの力も魅力的だったろうがお前の力のほうが上だと確信したんだろうな。もちろんIIセコーンドは抵抗した、『俺は悪くない!!!だんだん調子に乗ってきたあいつが悪いんだ』てな、でもスコル様はそれを聞き入れなかった。お前はIIセコーンドがいる限りシャイターンをやめたいと言い出したからな。とうとうIIセコーンドは折れてシャイターンをやめた。やめる寸前IIセコーンドはシャイターン全員の前でお前にこういった「絶対お前を殺してやる!!!いつでも気を抜くんじゃないぞ!!!!オレはどんな手段を使っても、どんな状況だってきにしねぇ!!!お前を殺す!!!!!」てな、そしてIIセコーンドは出て行った。そしていまのIIセコーンド、スモールが仲間に加わった」

荒口は疲れたような表情を見せながら話を続けた

「それからさらに3年後、とうとうその時が来た。お前が任務でこの津式や加賀なんかがいる空間にやってきて東京を捜査していた時のことだ。前のIIセコーンド、ジードがお前を襲ったんだ!!!お前とジードは都会のど真ん中で戦闘を開始した。そのとき、お前と一緒にバイストも来ていたそうだが何せお前はランクこそIVクアールトだがそのときの実力はすでにIIセコーンドくらいはあったといわれている。故にIIセコーンド同士の戦いにバイストが追いつくわけもなくお前らは姿をくらましたんだ。俺らシャイターンは血眼になってお前らを探した、こんなところで俺らの存在に気づかれスコル様の計画が台無しにでもなったら一大事だからな。だがなかなか見つからなかった・・・・・・それから2ヵ月後・・・・・・中国を探索していたクイーントの部隊がとうとう見つけたんだ、ジードの死体をな。ジードは五体をばらばらに切り裂かれてもう誰だか区別がつかない状態になっていたらしい。だが唯一残されていたジードの首飾りで本人だと確定した。モチロン、ジードの死体の状態にも驚いたが何よりその場所に驚いた、中国というのはモチロンのことだがその場所は空間が捻じ曲げられて上と下との区別が難しいくらいの状況だったんだ。おそらくお前が「物質変形」の力を使ったんだろうな。しかし当のお前の姿が何処にもなかった。IIセコーンドを倒した相手を野放しには出来ない。また俺らの捜索は始まった、今度はすぐに発見できた、というよりお前の方からシャイターンの元へと来たんだ。だがその風貌と目つきは豹変していた。まだ幼いのに殺気が見るだけで感じられるほどになっていた。だが俺らはほっといた、これで外部に情報が漏れなくなったからな。しかし、お前はジードに何かを吹き込まれていた様でシャイターンに恨みを持つようになっていた。そして闘技場にプリーモのザンバスを呼び出してスコル様やシャイターン全員の目の前でザンバスを殺した。まさに一瞬だったよ・・・ザンバスは瞬殺された。お前は空間を一気に捻じ曲げてその空間にザンバスを放り込み、ザンバスごと空間をはじけさせたんだ。ザンバスは跡形も残らず消えた・・。それをみたスコル様は力を持ちすぎたお前を危険視しお前だけ最初に吸収することを決めた。そして今度はスコル様がお前を闘技場に呼んだんだ、この戦いもすぐにケリがついた。お前はザンバスのときと同じようにスコル様を葬ろうとした。しかしスコル様の『思い込み』の力はそう簡単に倒せるものではない、スコル様はお前の頭に「力を使えなくなる」という強い思い込みを与えた、お前は必死に抵抗した、力の限り・・・気力の限り抵抗した、しかしスコル様には勝てなかった。お前は力を使えなくなってしまったのだ。その気を逃すまいとシャイターンたちで瞬時にお前を取り押さえた、そして・・・吸収を始めた。スコル様は「ディノース」と呼ばれる、力を強制的に引き出す道具を使ってお前の力を吸収した。そして・・・お前はその場で気を失った。スコル様はさらにお前に「自分に記憶は存在しない」という思い込みを与えた、お前は記憶までもを失ったんだ。そしてスコル様はお前をある一般の家庭に引渡し、その家の住民に「名屋伊吹は自分の子供だ」という思い込みを与え「名屋伊吹」から情報が漏れることを阻止した。そして今に至る」

荒口が話を終えた

名屋は相当衝撃を受けたようだ

何分間か言葉を発せずにいた

すこしショックが収まってきたのか名屋が言葉を口にした

「じゃぁ・・・オレは・・・殺し屋集団の仲間で・・・今の家族は偽物だって言うのか?」

「あぁ」

荒口がうなずいた

「そんな・・・・・・・・・・」

名屋は泣き出した

これでもかというほど泣いた

名屋の泣き声は屋上いっぱいに広がり僕らの心までをも悲しくさせていった・・・



第十一巻〜同士討ち(前編)〜   END


更新が遅れてすみません。作者にも都合がありまして・・・(作者はちーさんです)

あ、ちなみに編集者は私ジョンですので。

編集者である私は今後の内容を一切知りません。

以後お見知りおきを。


さて、内容ですが、荒口は完全に戻ってしまったようですね。個人的意見では「スコルに再び洗脳された」と思いたいところですが・・・・

それに、名屋の衝撃の真実までもが明らかになってしまいました。

次回はどうなるのでしょうか!


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