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第十巻 〜突如の帰還(前編)〜

〜序章〜

なんだこの生き物は?

さっきの幻に出てきた生き物に似ているが・・・

今まで見てきた生き物とはなんというか・・

風格が違う!!!

底知れぬ強さも感じるし

オーラも全くの別物だ

大蠍のような荒々しさも

オオワシのような強さを秘めた感じも兼ね備えている

なんなんだ・・・こいつは・・・



第1章〜力のMAX値〜

迫りくる溶岩が目の前にはある

もう助かる道など何処にもない

ただたじろぐばかり・・・

周囲を溶岩に囲まれ死を覚悟せざるを得なかった

僕は心を落ち着かせた

もう助からないと自分で分かったからだ

周りでは他の動物達がもがき苦しむ声がする

どうせ死ぬなら一気に死んでしまいたかったがもうどうすることも出来ない

僕は修行中に、しかも溶岩に呑まれて死ぬという最悪の死に方をするのだ

溶岩が足元まで来た

『もう・・・終わりだ』

僕は死を覚悟した

生という意識を完全に消す

そして・・・・・・・

溶岩に僕は呑まれた

自分の肌が、骨が、内臓が・・・焼けていく感じがひしひしと伝わってくる

意識も遠のいていく

頭が真っ白になった

僕の心が絶望という真っ暗な闇に満たされていく

溶岩に呑まれる前に覚悟したつもりが

まだ生きたいという意志があったらしい

涙が出てくる

無性に悲しくなる

いままでの記憶が走馬灯のように流れていく

人間死ぬときはそれまでの記憶が蘇るという話しは本当らしい

もう意識も保てなくなった

ついに・・・終わりのときが来た

意識が完全に闇に落ちようとしていたとき、まぶたの裏で一匹の虎のような姿をした生き物が見えた

その生き物には王たる風格を感じた

堂々としたその姿に僕は圧倒された

そしてその生き物が言葉を口にした

「お前は・・・生きていかなければならない」

僕は虎のようななりをした生き物を食い入るように見た

「お前は運命を・・・悲惨な現実を変える力を持っている。ここで死ぬようなうつわの小さき男ではない、生きるんだ!!諦めてはならん!!生きて、運命を変えるのだ!!」

その言葉を最後にその生き物の姿は消えた

しかしその虎のたわいもない言葉が

僕の心の中に希望という光を植えつけていった

「生きる」

心の中で1度、言った

普通の何の変哲もない言葉だがそう思うたびに希望があふれ出てくる

すると僕の体の中からやさしくて温かい光があふれ出してきた

僕は拳を強く握り締めた

そして自分に言い聞かせるように言った

「僕は・・・生きるんだ」

光がさらに眩しくなった

そして次は大声で言った

「僕は!!!!生きるんだぁぁぁ!!!!!!」

そういうと体全身をまばゆい光が覆った

周りの溶岩がどんどんひいていく

というより、溶けていっている!!!

僕は僕自身の体を見た

すると僕の体はどこもかしこも炎に包まれていた

この炎にはなにか安心感を覚える

荒々しさや強大な力もものすごく感じるが守りたいという意志が炎から感じる

まるで炎が生きているみたいだ!!!

そして周りにあった溶岩がすべて、完全に溶けた!!!

それと同時に僕の周りにあった炎も消えた

僕は何よりも先にホッとした

何せ自分が生きているんだ

本気で死を覚悟した僕が生きているんだ!!!

皮膚も、骨もすべて異常なし!!

足も手も頭もすべてちゃんと付いている

しっかりとした人間の形をしている!!!

僕はあまりの喜びに走り回った

今を生きていることが、今ここにいることが何より嬉しい

僕は、生きているんだ!!!!



第2章〜僕の力〜

ひとしきり走って喜びを感じたところで僕はさっきの現象について考えた

さっき現れた虎のような生き物は自分が見た幻として

なぜさっきの溶岩から僕が抜け出して来れたかだ

あの溶岩は生き物の骨をも溶かすほどの高熱だった

現にここ一帯には溶岩に飲み込まれたはずの生き物の痕跡が全くない!!

ということはすべて溶かされたということだ

それなのになぜ僕は助かったのだろう

ふと、僕はさっきの体の周りにあった火のことを思い出した

さっきの火はなんだったんだ?

僕が焼かれて出ていた火ではないし・・・

僕ははっとなった

まさか!!!まさか!!!

僕はおもむろに熱量増加の力を発動させた

最初は何の変哲もないただの力だ

だが僕が僕の出せる限りの力をその熱に加えていくと・・・

なんと体から炎が出た!!!

さっきの炎とは似ても似つかない炎の威力だが出ることは出た

おそらくコンクリートを溶かすくらいのことは出来るだろう

やっと僕の力のMAX値に到達したのだ!!!

しかし威力がまだまだ弱い

おそらく力のMAX値にはその中でも弱いものと強力なものがあるのだろう

おそらく今の僕の力は強さで言うと『弱の弱』といったところか

このままでは戦力にはならない

もっともっと強力な火が出せなければ!!!

僕はセーブエリアが現れるまで必死で特訓した

力のコントロール、力を集中させる練習、火を帯びるまで熱を加えていく練習

さまざまな練習をした

おそらく5時間くらいはやっていただろう

しかし強力な炎を出すことは出来なかった

セーブエリアが現れた

僕は休みがてら修行のことについて考えた

『何か間違った修行方法で修行しているのか?まぁ自分が即席で決めた修行方法だからその可能性も十分あるだろう。しかしそうじゃない気がする。それよりももっと根本的な何かが・・・足りない気が・・・』

僕は考えに考えた

しかしいい案など思いつくわけもなかった

何せ僕はこの自分の力についてほとんど何も分かっていないのだ!!

こんな力が僕に眠っていたことでさえ知らなかった

「その力を一体どうやって強力にすればいい」

という問いに答えられるわけがない

そもそもこの修行方法はおかしいと思う

何度も何度も死にかけたし・・・

まぁそりゃぁこういった灼熱地獄でも耐えるすべを学んだし、ほかにも色々な成果はあった

しかし、それは偶然、僕が思いつくことによってなしえた成果であって荒口がそこまで見通せるわけがないのだ

いくらあいつが『透視』の能力を持っているといってもここまで人間の考えを読めるわけがない

だとしたらなぜ荒口はここに僕らを送り込んだのだろう

どのような形であっても僕らが成長して出てくるという確信があったのか?それとも僕達の強くなりたいという意志を受け取って信じてくれているのか?

よく言えばこんなところだろう

しかし悪く言えば何とでも言える

スコルの目的の邪魔だった僕らをここで殺すつもりかもしれない

はたまたここに閉じ込めておくつもりかもしれない

もしかしたら最初から帰るすべなどないのかも・・・

いいや、荒口はそんな卑怯な奴じゃない

僕が信じなくてどうする!!!

悪い方に考えたらきりがないではないか!!!

いいほうに、前向きに考えよう!!!

荒口を信じよう!!!

そうやって僕は前向きに、前向きに考えるようになった

しかし心のどこかでは悪い方の可能性もずっと感じていたのかもしれない



第3章〜最後の敵〜

僕はセーブエリアが解けた後もそのことについて色々考えていた

しかしそれでは修行に集中できないため考えるのはやめた

『今は修行をするべきときだ!!!余計な考えはいらない!!!』

と、自分で自分に言い聞かせた

そんなときだった

新手の敵が現れたのは・・・

僕が修行していると前方に生き物らしい影が見えた

僕はナンだろうと思いその生き物の影の方をじっと見た

するとそこには思いもよらない生き物が立っていた

さっき、幻で出てきたあの虎だ!!!!!

僕はあまりの驚きに口を大きく開けた

その顔がとてもあほらしかったらしい

虎は口をゆがませながら僕に近づいてきた

そしてこう言う

「ほう・・・やはり生き残れたか、たいしたヤツだ」

僕はポカーンとしていたが首を振って我に返り

「お前は・・・一体なんなんだ」

と、言った

すると虎はこう言った

「我はこの空間で食物連鎖の頂点に立つ生き物・・・この空間での王だ」

「王だなんて・・・その王が僕に何の用だよ」

僕は単刀直入に聞いてみた

「我は貴方に勝負を挑みに来た」

虎は堂々とした声で言った

僕は慌てて

「そんな・・・突然勝負だなんて・・・」

と、勝負することを否定した

しかし虎は一歩も譲らなかった

なので僕は聞いた

「なんで僕なんかと戦いたいんだよ!!」

すると虎は

「貴方の力と我の力、どちらが強いか見てみたい。さっきの溶岩から抜け出した貴方の力はすごかった、久しぶりに体がうずいたぞよ。この空間の頂点に立つものとして貴方と戦ってみたいのだ」

と、口にした

僕は

「溶岩から抜け出した力って・・・やっぱりあんた見ていたのか!!!じゃぁまさか・・・あの重症の火傷を治してくれたのはお前なのか!?」

と、ありえないとは思ったが一応聞いた

しかし虎からは「YES」という予想外の答えが返ってきた

僕は言った

「自分が助けた相手を殺そうとするなんて・・・一体僕に何の恨みがあるんだよ!!!」

虎は

「貴方に恨みはない。それに我が施したのは本当に簡単な処置のみ。大部分は貴方が本能で治していた、溶岩から抜け出したのだって貴方の力だ。我が助けたという表現は間違っている・・・」

と言った

僕は言葉につまった

こいつとは絶対に戦いたくない

しかしナゼだか体がそわそわする

本能ではこいつと戦いたいのか?それともこいつを倒すと強くなると本能で分かっていて戦いたくてしょうがないのか?

僕は決断するまでに時間が掛かった

その際虎は、何も言わずにただただ僕の決断を待っていた

僕ははぁとため息をついた

そして一気に空気を吸う

そして下した決断を虎に言った

「分かった、戦おう!!!」

虎はにんまりとした

そして僕から数メートル下がった

戦いにおいてこの数メートルの間は戦いが始まったことを意味する

僕は手をきつく握り、拳を作った

山が噴火した

と、同時に僕と虎が走り出す!!

相手はものすごいスピードだ!!!!

僕を睨みつけて向かってくる姿はまさに猛獣

食物連鎖の頂点に君臨するこいつは今まで戦ってきた動物の強さの比ではない

大蠍のパワーと、強固な体

オオワシのスピードと頭脳

それを併せ持った真の強さを持った虎

今、僕はそんなやつと戦おうとしている

この戦いが終わった頃にたっていられるのは

僕か虎か

二つに一つ、戦場では生と死どちらかしかない

僕は覚悟を決めて

「オォォォォォ」

と叫んだ

そして神経を尖らせ非情な自分へと身をゆだねていく

この真の強さを持った敵と全力で戦うために・・・。



第十巻〜突如の帰還(前編)〜   END



本日も投稿させていただきました。

また、裏切りムード(?)になってきてしまいましたねぇ

津式くんはこのあと虎とどうやって戦うのか!

次回もご期待ください!!

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