第一巻 〜6人の子供〜
前書き
友達は本当に信用できるものなのか・・・
いまだにその答えは出ていない。
しかし根っから信用してはいけないことは確かだ
そのことをぼくは酷く残酷な形で確かめさせられた。
第1章〜友達〜
ぼくの名前は津式光。
埼玉県のとある中学校の2年生で、
1年生の頃は吹奏楽部に所属したがやめて卓球部に入った
成績は中の下位でスポーツはそれなりに出来るけれどヒーローになれるわけども無い。
しかしバドミントンをやっていて瞬発力や腕の力などは皆より勝るものがあった。
そんな僕には何人かのとても仲のいい友達がいる
まず名屋伊吹、彼はサッカー部所属で学年2位の頭を持っている優等生でもあり、
クラス内でも目立った存在だ。
さらに田辺蒼生、斉木翼、彼らも仲のいい友達で
田辺は名屋と並ぶ頭の良さを持ち
斉木は卓球部部長でちょっと抜けてるところもあるが頼りになるやつだ。
この二人はクラスのいじられキャラといったところか。
そしてクラスは違うが加賀裕一と久杉優太もまた仲がよく
加賀は僕の一番の友達で加賀本人も僕には素の自分を見せてくれる
今までこんな良い友達は持ったこと無いと思うほど僕は加賀を信頼している
久杉はテニス部部長で頭も良く、頼りになるかなり精神が大人なヤツだ
そんな友達の中、今日もいつも通りの日々が流れるはずだった
しかし現実では違った・・・
第2章〜すべての始まり〜
良く晴れた日のこと、この日は夏でありながら妙に肌寒かった。
僕はいつも通りに登校し、いつものように授業に励んだ
そして2時限目の社会の授業中、事は起きた。
「ピンポンパンポ〜ン」
突然放送が入った
「校内に侵入者複数発見、ただいまA棟に接近中、A棟の生徒および教師は侵入者に備えるように」
突然の放送に皆動揺していた
「ガラガラガラ」
クラスのドアが開いた
と同時にすさまじいスピードで何かが入ってきて先生を襲った。
クラスの女子が何人か黄色いこえで絶叫したが
それ以外は何も音を立てず、皆硬直していた
ふと我に返った男子が何人か先生の元に行ったが
先生はすでに息絶えていた
「外に出てもらおうか」
侵入者の声が静かに響いた。
クラスの空気が緊張感でピンとはりつめる
突然の事に動揺しているせいもあるが
何より皆、侵入者の格好に驚いていた
侵入者はジーンズをはきボロボロの服に炎のような真っ赤なマントを羽織っていて
髪はとても長く、表情は格好とは裏腹にとても落ち着き払っていた
「何をしている。早く外にでろ」
侵入者がまた言った
皆がそれに従い外に出た
外に出ると2年生全クラスが校庭に出ていて、
(どのクラスも先生がいない)
それぞれ侵入者の仲間と思しき人がついていた。
(その男たちはなぜか全員赤いマントを羽織っている。)
「これで全部だな」
中央にいる太った男が言った
彼はこのチームのリーダーらしく
それぞれクラスについている男に命令をしていた。
リーダーと思しき男が立ち上がり叫んだ
「この学校はわれわれが支配した!!これからはわれわれの命に従い雑用から殺しまでさまざまな仕事をこなしてもらう!!」
みんな「殺し」ときいて震えている
太った男が続けた
「しかし全員じゃない!!」
皆が太った男の声に耳を澄ませる
「今からテストを始める!!それに残り見事合格したやつのみこの仕事をしてもらう」
そしてさらに太った男が静かに付け加えた
「それ以外のヤツには死んでもらおう」
第3章〜宣告〜
皆凍りついた
「死んでもらおう」
その言葉が頭を渦巻いた。ココでふと僕は一つの疑問がわいてきた。
『いったいテストとは何をするんだろう?』
凍りついているみんなの中、僕はその太った男に聞いてみた
「あの・・・テストとはいったい何を・・・するん・・・ですか?」
皆が僕を見た
(言葉に出さずともみんながぼくに対し何を思ったかすぐ分かった
「こんな状況で・・・頭おかしいんじゃないか?」)
「はははいい質問だ小僧!!」
さも嬉しそうに太った男が言った
そしてその低い声でうなるように言った
「殺し合いさ」
凍り付いていた皆の顔にさらに恐怖が浮かんだ
そんな中、久杉が言った
「殺し合いとは相手は勿論だがこっちもその気になら無きゃ意味が無い。
僕はそんなことしないよ」
落ち着いた声だ
「ふふふ・・・嫌でもそうなるのさ」
太った男が言った。
「僕はそんな事はしない!!」
久杉がさらに言った
「黙れ!!」
太った男が叫んだ
「俺に反抗するとはいい度胸だな小童が!!言いか俺の言う事に間違いはない!!
俺は神になるのだ。その神に反抗するなど許されることではないぞ!!今回は許すが今度やったら絶対に許さんからな」
久杉は何か言いたげだったが相手が本気だと分かったのか、言うのをやめた
「さぁ!!話し合いはこれで終わりだ!!そろそろテストを始めるとしよう!!」
そういうと太った男とその一味が突如空中に浮かんだ。皆が一斉に息を飲む。
(僕の見間違いかもしれないが空中にいる男たちの下の風景が微妙にゆがんで見えた)
そして男たちはそのまま屋上へと上がっていった。
訳の分からない呪文のような言葉を発して・・・
第4章〜開始〜
男が屋上へと上がってから1分位たった
今はまだ何も起きていない
第一殺し合いなどどうやったら始まるのだ?
この中に、誰かを本気で殺したいなどと思うやつがいない限り、始まるわけが無い
と、突然後ろから女子生徒の叫び声が聞こえた
何事かと後ろを振り向くと、なんと一人の男子生徒が女子生徒に襲い掛かっていた!!
周りの男子生徒が必死に止めに入った。そのとき
なんと襲い掛かった男子生徒のつめがにょきにょきと伸びてきて、止めに入った男子生徒の首を一気に切り裂いた!!
血が噴火した火山のように飛び散った!!
女子生徒が絶叫した
目の前で人が・・・それも首を切り裂かれるという残酷な殺され方をしては当然の反応だ
屋上にいた太った男が笑いながら言った
「殺し合いの開幕だぁぁぁ」
その声と同時に160人中の70人程度の体に異変が起きた
つめがかなり長くのび、髪の毛が伸びてきて、筋肉が膨れ上がり、目が白目をむいた。
その後、なんと変化が起きた70人が一斉に変化の起きなかった生徒に襲い掛かった!!
「名屋!田辺!斉木!加賀!久杉!」
僕は5人の名前を咄嗟に叫んだ
幸い5人はおかしくならないでいてくれてすぐに僕の元に来てくれた
「とりあえず校内に入ろう」
僕が言うと皆うなずいてとりあえず校内に入った。
第5章〜状況〜
僕らは今、2階の家庭科室にいる。
ココなら校庭の様子が良く分かるし、いざというときは包丁や伸ばし棒があるから都合がいい。
校内に入った後、しばらく僕らは喋らなかった。
というより喋れなかった。
あまりに突然すぎることに困惑し、恐怖しまともに口が聞ける状態ではなかった。
そんな沈黙を破ったのは田辺だった。
「いったい・・・どうなっているんだ?」
不安そうな声で言った
「何が?」
斉木が言った
「だからあの男たちのことさ。おかしくなっちまったやつのことも・・・。今こうしてここにいることだって俺には何がなんだか・・・」
斉木は1回区切った後また言った。
「第一何で校内に誰もいないんだよ。1年生や3年生、先生がいてもおかしくねぇだろ」
「そんなの俺にもわからねぇよ」
名屋も不安そうだ
「焦るな、まず一つ一つ解決していこう」
相変わらず久杉は冷静だ
「俺は今ほんの少しだが分かってきてることがある」
みんなが久杉のほうを向いた
「まず、校内に誰もいないってことだけど、あの太った男が屋上に上がるとき何か呪文みたいなのをいっていたよな?多分アレがこの状況を作り出しているんだと思う。それと関係ありそうなことをさっきココに来る途中みつけたんだ。来てくれ」
僕らは言われるがままついていった
そしてたどり着いたのは一階の保健室だった
「ココがどうかしたのか?」
斉木が首をかしげた
「それはだな!!」
名屋が久杉を退け説明し始めた
どうやら名屋は意味が分かったらしい
その後ろで久杉の舌打ちがかすかに聞こえた
どうやら自分で説明したかったようだ
「見てみろよこの保健室、知ってるか?保健室は前ストーブを出すからって模様替えしたんだ。でもこの保健室は模様替えする前の保健室になっている、これがどういうことか分かる?」
そう言われても僕らはピンと来なかった
「全くにぶいやつらだナァ・・・。つまり久杉はこう言いたいんだろ、ここは別の空間だってさ」
「まぁそういうことだ」
久杉がいった
「何でそうなるんだよ?」
まだピンと来ない僕はきいた
「はぁ?ホント鈍いナァ、だからさ模様替えされたのに何でココはそれ以前の形なんだよってことさ。おそらく奴ら前にもココに来たことがあったんだ。ここが模様替えされる前に、で、ココの空間にそのイメージを付け加えたからこうなった」
でも・・・とぼくはまた質問した
「何でそれが空間移動したってことになるんだよ」
お前見なかったのか?
今度は久杉が言った
「あいつがさっき空中に浮いたとき下の景色がゆがんでいただろ?アレが証拠なんだ。いいかよく聞けよ」
久杉が深く息継ぎをした
「ココの空間に別の時代の空間、つまり別の空間を持ってくるとわずかにゆがみが出来るんだ。さらにその別の空間はココの空間と質量が違うからその空間に乗ることも出来る。だから奴らさっきは飛んでいたのではなく、その空間に乗っていただけなんだ。」
なるほど、それなら筋は通る!!
しかし
「そんな・・・空間を持ってくるだなんて・・・そんな神みたいな技が出来るわけないじゃないか。そんな非科学的なこと僕は絶対認めない」
現実主義の田辺が言った
すると久杉が
「それがいるんだよなぁ・・・この世にはそういう力を持って生まれてくるやつらが、
数は少ないけどな・・・。それにお前だってエスパーって言葉を聞いたことがあるだろ?
それがまさにあいつらって訳さ。それにこれは国も認めてるから、俺らも認めざるを得ない事実なんだよ・・・。」
そういわれてもまだ田辺は納得がいかないようだった。
でも・・・と僕が続けた。
「何で2人はそんな空間だのエスパーだのにくわしいの?久杉は勿論だけど名屋だってそれを理解できたってことは相当詳しいはずだよね?」
「それは・・・」
2人が意味ありげに一瞬目を合わせた
「本で見たんだ」
嘘くさい台詞をはいた二人にまた質問しようとした
しかしそのとき加賀が声を張り上げた
「あれ!!」
加賀は校庭を指差していた。
その指をたどり校庭に目をむけるとそこには信じがたい光景が広がっていた
なんと校庭にいた90人のほとんどがすでに殺されていたのだ!!
かろうじて生き残ったり、校内に逃げたものもいるがもうあと数時間でやられてしまうだろう
「僕達はイッタイこれからどうなるんだ?」
加賀が不安そうに言った。
「と・・・とりあえずあいつらが来たら包丁で応戦しつつ屋上にいるヤツの元に言って話を聞くしかない」
久杉が答える
「そうだな」
と僕と名屋が相槌を打った
一巻END
〜編集者後書き〜
ご覧いただき、ありがとうございます。このたび小説を書き始めました。
初めてなのでいろいろあるかもしれませんが、評価、感想などをよろしくお願いします。
さて、内容ですが、「ネバービリーブ」ということで、友情などをテーマに書いていきたいと思います。