表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/5

03 通達

一章第3話です!!

よろしくお願いします!!


〜前回までのあらすじ〜

法界使の要望より、作戦の最前線を担う事となった第二部隊。

大天使に関する数々の謎。

リオたちの不安が募る中、作戦内容が全部隊へ通達がされる。


遂に、全634部隊に任務の通達が為された。


その内容は以下の通り。


『魔導正教会本庁より通達する。


次の十五夜より新たな作戦を開始する。

該当部隊はすぐさま相応の準備を整え、提示時刻に第一関門へ集合せよ。

(作戦名)

天使狩り

(作戦内容)

アマツカゼ王朝に奇襲を仕掛け、天使を駆逐する。

(作戦時刻)

十五夜20時

(該当部隊)

第一部隊、第二部隊……(略)……総勢420部隊


本任務は奇襲のため、口外無用とする。

情報漏洩は敵国スパイと見なし、生半可な処罰では許されない事をゆめゆめ忘れぬよう。


上記を以って、任務通達とする。

誇り高き人間諸君ら、豪然たる獅子の姿を常に思案し、実行せよ。』



「ふーむ、420とはやけに少なく出たね」


久しぶりに第二部隊全員で集まっての昼食中、この通達にまず声をあげたのは、黒の長髪が似合う第二部隊所属のシーア=ディアストム。

国内でも僅か六人しかいないと言われるとても希少なな"精霊使い"である。


その言葉を聞き、カルマも同意するように頷き、


「やはりそこだよな。奇襲っつーのはまだ良いが、少し天使を舐め過ぎてる気がする」


一桁部隊、つまり第一部隊から第九部隊までは、各五人編成。

二桁部隊はその倍の十人編成。

三桁部隊はさらに増えて十五人編成。

今回の任務は単純計算で、総勢六千人弱といったところだ。


「まぁ確かに三十年前に比べれば少ないけど、奇襲ってバレたらおしまいでしょ?法界使様もそれを危惧してのことだと思うんだよね」


「そうは言ってもよー隊長。相手は天使、数で大きく勝ってなきゃ勝ち目はないと思うが?」


正論を返すコスリグトに対し、再度正論を返すカルマ。

こうなると議論は収束がつかない。

それを理解したコスリグトは、笑ってごまかす。


「んま、リオくんがいれば何とかなるって!だいじょぶグッジョブ!」


「この人の指揮とか心配で仕方ねーわ俺」


「あっ、ひっどーい!カルマっち、今のは流石のうちも傷付いたよ⁉︎」


コスリグトがボケてカルマがつっこむ。

そんな和やかな雰囲気の中、リオだけは浮かない顔をしていた。


「リオにぃ。やっぱり不安ですか?」


「ん、まぁ。勝算がないのが現状だからな」


リオは素直にそう答える。

それを見たエレミヤは純粋な目でリオに尋ねる。


「リオにぃの力でも勝てない、と?」


「敵が一体や二体なら僕だけで何とかなるかも知れないけれど……カルマの言った通り、他の部隊の連中は天使の力を侮ってる。その緩みが敗北に繋がりそうでとても怖い」


実際、周囲は先程からお祭り騒ぎである。

武器屋や装備屋が部隊の人間で賑わいを見せ、この食堂といつもより嬉々としている。

戦う前の雰囲気として、それほど悪いわけではないが、どうも彼らが油断しているような気がしてならない。


「まぁリオもそう堅苦しくなるなって。別に彼らも天使の怖さを知らないわけじゃないさ。三十年前の悲劇を聞いたことがあれば、誰でも怖い。それでも明るく振舞おうと努力しているんじゃないのか?」


「それならいいんだが……」


シーアの宥めで少し堅さの取れたリオだが、やはり完全に拭い去るには至らなかった。


結局眠れないまま、夜も情報収集に時間を費やした。


本来、図書館の営業は18時まで。

しかし今夜は、次の休みに本の整理を手伝うということを条件として、特別に開けてもらった。


「やはり八体目の存在がいる」


山積みになった文献を漁り、そう確信したのは22時を過ぎたあたりだった。


急いで帰る支度をし司書さんにお礼を言って図書館を出たリオは、夜風に当たりながら先ほど得た情報を整理する。


これまでは全ての大陸を一つに総括した文献を読んでいたが、今日は一つの大陸について書かれたものをそれぞれ二冊ずつ、全大陸分十六冊読了した。


通常であれば2、3日を要するこの作業がたった一晩で終わったのは、リオの読む速度によるものではない。

一桁部隊専属の技術者から試供品として提供された、読む速度が格段に上がる特殊な眼鏡を使用したからだ。

リオにこの仕組みは理解できないが、提供者と性能の良さは信用できるため、情報収集の際は必ず持ち歩き、愛用している。


その中で今日得た情報は大きい。

"天使狩り"と深く関わりがあるわけではないが、何とか大天使の謎を一つ解くことができた。


八つの大陸に、七体の大天使。


まずリオが調べたのは、この世界で最も小さい大陸、アルカナ。

アルカナ大陸に関する文献で、最も記述される頻度の高い大天使の名を"ラグエル"と言い、今でも神々しい壁画などが残されているという。

おそらく"ラグエル"と呼ばれる大天使が、アルカナを支配していたと見て間違いはないだろう。


その次に小さい大陸、カッシリーナ。

この大陸では"ゼラキエル"と呼ばれる大天使が支配していたようだ。


そのように見ていくと、


三番目に小さい大陸、レグルスには大天使ウリエル。


四番目のマリスリーズに大天使レミエル。


五番目のスズラミオンに大天使ミカエル。


六番目のヨーメルファに大天使ラファエル。


そして、七番目のキルスリーゼに七体目の大天使ガブリエル。


つまり残されたサザンクロスは。


「サザンクロス大陸を支配していたのは、大天使じゃない……」


そこまでは辿り着くことができた。


文献によれば、他のどの大陸でも僅かながらに大天使の痕跡が残されている。

それは、大天使の描かれた壁画や、五百年前に直接恩恵を授かったと言う部族など、様々な形で語り継がれている。


それと比較すると、確かに人類種と天使族が暮らす大陸、このサザンクロスでは大天使の話を聞くことが少ない。

やはりサザンクロスに八体目の大天使がいたとは考えにくい。


「この大陸を支配していた、大天使以上の存在……」


これを以って、八大陸と七大天使における、不可解な数の誤差に関する疑問は解けた。

しかしこの解決を果たしたリオは、また新たな疑問にぶつかる。


ーーだとしたら、アマツカゼ王朝が復活させようとする大天使は誰だ?この土地に大天使がいなかったと仮定するならば、それは復活ではなく新たな天使の創造。だが、そんなことが可能なのか?自分たちより強大な力を創造するなんて、いくら天使でもチートが過ぎるだろう。


では創造でないとするならば、の可能性をリオは考える。

そうなるとやはり、この話自体がでまかせだった、というのが有力だ。

法界使の話すことはほぼ全てが裏付けありきだが、今回はそういうわけではないとリオは思う。

グロネウス様は本当に確証を持っていない反応だった。


だが、例えその噂が本当に嘘だったとしても、現時点でそう断定するのは早計な気がしてしまうのは、自身の性格故だろうか。



突然通り過ぎた冷たい風に吹かれ、リオは小さく身を震わせる。

風邪をひくわけにはいかないと思い、閑散とした寮までの道を歩き出した。


ーーまだ抜けている部分が何処かにある。


そう思うリオだが、その鬱積した気持ちを晴らせぬまま、その日も幕を閉じるのだった。


一章第3話、御読了ありがとうございます!


ここまで読んで頂けて感無量です……m(._.)m

一章も残り僅かですので、もう少々お付き合い下さい。


あと、参加された方々、コミケお疲れ様でした!

ちなみに私は参加できませんでした……(>_<)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ