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戦場のシスコニスト

「おらぁ!」


≪水鉄球≫を振り回しぶちかましをかけるが、一瞬のうちに切り裂かれる。

 よく見るとこいつ刀持ってんじゃねぇか! こわっ!

 まずいな。黒髪×イケメン×刀使い=主人公の法則で考えると、凡人おれでは接近戦じゃ絶対勝てねぇ!


「ならばこれでどうだ!」


 俺みたいな凡人がうまくやるには、相手の得意なフィールドでは絶対に戦わないことが重要!

 中距離からの≪水鋭刃アクアチャクラム≫乱れ撃ちでHPを削り殺してやるわ!


「チャクラム、ゴー!!」


≪水鋭刃≫の八枚セットをプレゼント!

 前後左右から、しかも速度が速いのと遅いのも織り交ぜてるからめっちゃ避けにくいはず・・・って全部避けられた!?


「嘘だろ!? なんでこんな田舎に達人級の人がくるんだよ!?」

「ふん、この程度の物か。大層な事を言っていたが、これでは姉も大した者ではないな。」

「・・・この俺に対して姉で文句つけるとかいい煽り方じゃねぇか。才能あんよあんた・・・ぶっ殺す!」


 一抱えできるぐらいの大きさの≪水球アクアボール≫をいくつも創造して投げつける。


「量より質をとったか? 愚かな、こんなに遅くては簡単に・・・むっ!?」


 ≪水球≫を切り捨てようとしたイケメンが、突然後ろに跳躍する。

 その瞬間、≪水球≫が破裂し、水の散弾がイケメンに襲い掛かる。

 ちっ、気付きやがった。


「質より量で勝負するタイプなんでね! 戦いは数だよ!」


 くそ、どんどん≪水球≫を誘爆させてんのにかすりもしないぞ。

 こいつなんなの。小型のオーラバトラーかなんか?


「フハハハハ、いいぞ、それでこそだ! もっと姉に掛ける情熱を見せてみるがいい!!」

「いつまでも笑っていられると思うなよ!!」


 おいおい、笑とるで。

 戦闘狂かよ。近づかれたら即死しそうだなこれ。

 しかし多くの≪水球≫が弾けたおかげであたりは水っ気たっぷりだ。

 俺はイケメンの周囲に霧を発生させる。


「むっ、まだこんな手札が残っていたとは」

「一粒で二度美味しいってね!策士ってのは、二手先三手先まで考えるもんさ!」


 目くらましオッケー!

 そして俺は右手を前に突き出し左手で右手首を掴む。


「からの~、食らえ!≪氷砲クリスタルバスター≫!」


 俺は拳大の氷の塊を右手から打ち出す。

 ロッ○マンばりの連射を食らえ!ひたすらAボタン連打だ!

 ティウンティウンティウン!ってさせてやるぜ!


「黒い悪魔とまで呼ばれた私を、この程度でどうにかできると思うなよ。」


 黒い悪魔って言われると、アレだな。この素早さといいGを連想しちゃうな。

 しかしこのままじゃ魔力が尽きてじり貧だ・・・しゃーない、勝負をかけるか。

 右手に魔力を注ぎ込むと、フォンフォンフォンと音が鳴りどんどん氷が大きくなる。

 そして!


「くたばれノストラダムス! ≪十全氷砲チャージクリスタルバスター≫!!」


 軽自動車ほどまで大きくなった巨大な氷の塊をイケメンの方角へ放つ。

 が、立ち込める霧の中から、空へと飛び上がる影が見える。

 これも避けんのかよもうヤダ。

 ・・・とみ~せ~か~け~て~!

 すばしっこい様だが空中にいる状態では身動きが取れまい!

 これで王手!


「アァァァネェェラァァァヴァァァァァ!!」


 両手の先から何本もの水の糸が迸り、次々に影へと襲いかかる。


「やったか!? ・・・はっ!?」


 まずい、このセリフが出ると絶対に・・・!


「・・・・・・残像だ」

「やっぱり! 俺のバカ!」


 振り返ると、いつのまにかイケメンが俺の背後に立っていた。


「気は済んだかな?」

「くっ、まさかこれほどの強者が初心者の街アルゼンにくるとは・・・」


 まずいな。どうやってこのダイハードみたいな状況から脱出するか・・・


「フッ、これで私の力も分かっただろう? 大人しく言う事を聞くんだな。」


 ・・・このイケメン、べらぼうに強いが今まで姉原理主義者と戦ったことはないようだな。

 姉原理主義者に説得など無意味。我らは姉のために戦い姉のために死ぬのだ。

 狂信者シスコンなめんな!


「クククク、この俺が他人にさきねぇを渡すとでも思ったか! かくなる上は最後の手段。自爆してでもお前を――」

「・・・待て、さきねぇとは誰だ?何を言っている?」

「・・・へ?」


 お?


「貴殿がそこまで言うのなら、一緒に雇い入れても構わんぞ?」

「・・・・・・雇う?」


 雇う? 野党? 責任をとって辞任しろー?

 はいすいませんなんでもありません。


「一回落ち着きましょう。戦いは何も生み出しません」

「む?そういえば、先に手を出してきたのはヒイロ殿だったような気が……」

「それはすみっこに置いておいて、と。あなたはさきねぇが目当てだったんじゃないんですか?」

「だから、誰だそいつは?私が雇いたいの貴殿だけだぞ?」

「なるほど?」


 俺? さきねぇじゃなくて? なんで?


 なんか意思疎通が微妙におかしいな。

 お互いにハテナ顔になってる。


「・・・はっ!? まずい、俺がそれなりにピンチに陥ってしまった今、その危機をやつが察知しないはずがない!」




master1415先生のほうでは今話のルドルフ視点でのお話が楽しめます!ぜひ今話と一緒に読んでみてください!

元気ないわね、そんなんじゃダメよ! 大丈夫、『あくおれ!』があるじゃない!

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増田 匠見(旧master1415)先生の【あくおれ!~悪徳領主な私(おれ)の楽しい異世界生活~】もよろしくね!
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