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遊星からの悪徳領主X

今話は某ゲームをすさまじくリスペクトした詠唱が出てきますが、リスペクトです。

「た~りら~りら~っと。」


 どうもこんにちわ。初月緋色です。

 さきねぇは女性冒険者の会にお呼ばれしているので、終わるまで俺一人でギルド内でブラブラしております。

 するとマリーシアさんが近づいてきた。


「ヒイロさーん! 何してるんですか? 暇だったら一緒にお仕事しませんか?」

「あーすいませんマリーシアさん。今忙しいんですよ。」

「え、何もしてないように見えますけど・・・」

「いやいや。暇そうに見えるだけでけっこう頑張ってるんですよ。あれ、見えます?」


 俺が指差した方向には椅子用と思われる小さな丸太があった。


「? 丸太、ですか?」

「はい、そうです。」

「あれが何か?」

「今あの丸太の年輪の数を数えてるんですよ。」

「それめっちゃ暇じゃない限りやらないやつですよね!?」


 マリーシアさんのつっこみはなかなか鋭くて好き。


「あはは。冗談です。実は新魔法の構想を練ってまして。いわゆる瞑想ってやつです。」

「・・・年輪を数えながら?」

「こういった単純作業をしながらのほうがヒラメキがあるんですよ。」

「はぁ。魔法使えないんでよくわからないんですけど、そんなもんですか。」


 ハテナ顔のマリーシアさん。

 まぁぶっちゃけ俺も適当にいっただけだけど。


「・・・ふむ。ちょっとイメージが沸いたので練習してきます。このへんで魔法の訓練できそうな場所ってあります?」

「ギルドの訓練場は人いっぱいいますしねぇ。このへんだと西の岩場とかどうですか? 人通りも少ないですし。」

「なるほど。じゃあちょっとそこいってきますね。」

「いってらっしゃーい。あ、今のちょっと新婚っぽくありませんで、ってもういねぇ!」




「なんか微妙だな、納得できん。何が足りないんだ・・・」


 西の岩場にきて新魔法開発特訓するも難航中です。やっぱ魔法って難しいわ。

 今日中にパッとできればよかったんだがなかなか難しい。

 今日思いついて今日できたらかっこいいじゃない?

 そしたらさきねぇから『いつのまにこんなの作ったの!?』って褒められるじゃない?

 嬉しいじゃない!


「・・・もしやアレか。姉への愛が足りないとでもいうのか。精霊王よ! ならばかつ目せよ、我が魂の叫び!」


 目を閉じ、集中する。


「どうか聞き届けてほしい。世界は姉とともに穏やかに安らげる日々を願っている。 自由な姉弟と自由な異世界で、どうかこの瞬間に言わせてほしい 。時よ止まれ。君は誰よりも美しいから。永久の君に願う。俺をいただきへと導いてくれ!萌えあがれ、至高のアァァァネェェラァァァヴァァァァァ!!」


 俺の両手の指から水が糸のように細く流れ出て、計十本の水の鞭が出来上がる。


「ふんっ!」


 腕を動かすと全ての水の鞭が蛇のように目の前の大岩に向かい、嵐のような凄まじさで岩を切り裂く。

 そして、目の前の大岩には『姉』『弟』『愛』という文字が大きく刻まれる。


「ふ・・・決まった」


 ゲームとかマンガでよくある『全てを切り裂く単分子ワイヤーだ!』的なイメージでやってみました。

 詠唱は適当にパk、リスペクトしました。雰囲気出るかなって。


 パチパチパチパチ


 すると、突然拍手が聞こえた。

 え、今この辺には俺しかいないはずなんだが・・・てか今の聞かれてた!?


「ななななな何者! 殿中でござるぞ!」

「時よ止まれ。君は誰よりも美しいから。永久の君に願う。…………姉・LOVE!!だったか?……見事な物だな」


 なぞのおとこ の せいしんこうげき !

 ひいろ に こうか は ばつぐん だ !


「ひぃぃ! 改めて他人から聞かせられると痛すぎるし恥ずかしすぎる!!」


 顔を両手で覆ってしゃがみこむ。

 恥ずか死しちゃう!


「フハハハ!何を恥じる事がある、胸を張るといい」

「・・・たしかに。」


 たしかにかぞくへの愛を叫ぶ男がかっこ悪いはずはない。

 セカチューだって十代を中心にあんなにブレイクしたのだ。

 イセカチュー(異世界の中心で姉への愛を叫ぶ)だってブレイクしてもおかしくないな。

 それが理解できるということはこいつもシスコンなのか?


「私の名はルドルフ=ファーゼストだ。貴殿が、ヒイロ=ウイヅキだな?」

「え、はい、そうで……ってイケメンだなおい! なぜ異世界にはイケメンが多いのだ!」

「私の顔に何か?」

「ああ、いえ、取り乱しました。こっちの話です」


 クソッ、クソッ。

 クリスもイケメンだし、スレイもなんだかんだいってかっこいい系だ。

 異世界の顔面偏差値高すぎてさきねぇがいなかったらあまりの絶望で憤死してたわ。


「まぁいい。少々貴殿の時間を私に頂けないだろうか?」

「え? えぇ、構いませんよ。」


 珍しく紳士だな。

 やはり俺の知り合いには変態よりもこういった紳士がお似合いですね!


「それにしても、貴殿の姉・LOVEは見事な物だな。私が見るに、相当な想いが込められていると見た」

「分かりますか!」


 やはりシスコンか!仲間発見!


「あれはですね、私の中に長年降り積もったラブとか尊敬とかラブとか友情とかラブとか憧憬とかラブとかを一気に爆発させたものなんですよ! 一言で言うなら……人生、ですかね?」

「つまり、ラブこそが全ての源、姉・LOVEとは貴殿のラブの結晶が具現化した物だと言う訳だな・・・興味深い。姉についても詳しく教えて貰えないだろうか?」


 うん? どういうこと?

 ああ、つまりあれか。ハンターハンターでいうところの『練を見せろ』みたいなもんか。

 お前の今までの人生で培った姉論を説け、と。


「またまた~、何を仰いますやらイワナやらですよー。まぁ私にとって姉っていうのはなんつーか、アレですよ。この世に昼と夜が訪れるのも、空に星が輝いているのも、大地に花が咲くのも、海が青くて大きいのも、雲が白くてふわふわなのも、あー洗濯物干してたのに雨降ってきちゃったよーと大急ぎで家に帰ったらお義祖母ばあちゃんが洗濯物を取り込んでくれてて無事だったのも、全て姉・LOVEによってもたらされたものです。全て姉LOVEで説明できます。つまり、姉は世界を構成する全てと言っても過言ではないのです!!」


 言ってやった言ってやった。

 ふっ、さぁどう返すイケメンシスコン!


「なんと、それほどまで!?・・・素晴らしい、姉とはなんと素晴らしいのだ!このような者がまだ世に埋もれていたとは!!・・・よかろう、ヒイロ殿には、私に姉を捧げるという栄誉を授けようではないか。貴殿の姉は私にこそ相応しい!」


 ・・・・・・・・・あ?


「・・・え、なんだって?」

「いくらだ? 今の給金の三倍は払ってやるぞ?」

「・・・俺、鈍感難聴系男子だからもう一回言ってくれない?」


(#^ω^)ピキピキ ←今の俺の心情


「ん? 納得がいかぬか? ならば、好きな金額を言え。いくらでも出してやろう」

「・・・金の問題じゃねぇんだよぉぉぉぉ!」


 怒りに身を任せて思い切り≪水鉄球アクアモーニングスター≫を叩きつける。

 ぺしゃんこにしてやんよ・・・


「そう言った戯れ言は、この俺を倒してから言ってもらおうか・・・シュコー、シュコー」

「フハハハハ! 良かろう、ならば力尽くで頂くとしよう!!」


 死のパーティーの始まりだ・・・!



master1415先生のほうでは今話のルドルフ視点でのお話が楽しめます!ぜひ今話と一緒に読んでみてください!

検索ワードは『あくおれ!』なんじゃないカナないカナ?


あの凄まじいまでの厨二感には痺れて憧れますよね。

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増田 匠見(旧master1415)先生の【あくおれ!~悪徳領主な私(おれ)の楽しい異世界生活~】もよろしくね!
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