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アニマ・フェイカー  作者: 柳瀬 真人
3/13

 どこの基地でもハンガー(格納庫)は、にぎやかだ。

 

 にぎやかな雰囲気は嫌いではないけれど苦手だ。  まるで海の底で息を止めているかのような息苦しさを感じる。

 

 特に此処は町からも近いから民間人の出入りが激しいらしい、もちろん民間人は限定された場所にしか立ち入る事は許されない。  

 

 この第3ハンガー(格納庫)もその一つだ。  午後からデモンストレーションのパイロットを任せられていた僕は、ハンガー(格納庫)の隅っこに設置されていた休憩所で出番がくるまで待機していた。

 

 昼食休憩の時間が終了した直後、PR担当の男が社会見学に来た民間人達を引き連れてやって来た。  まるで蟻の行列みたいだ。  

 

 PR担当の男が拡声器を使いながらマニュアル的な説明をはじめた。  「え~~この施設はですね、主に軍事兵器の整備、補給などを行うハンガー(格納庫)という施設であります。  そして皆さんの目の前に立っているのが人型戦闘機、通称ソリッド・ギアとよばれる兵器であります」 民間人達からどよめきが沸き起こる。

 

 「え~~皆さんが目にしている、このソリッド・ギアはですね、今は何も装備していない状態の素体でありまして、この素体からパイロットの戦闘スタイルに合わせて様々なパーツを組みつける事になります。  そして皆さんが安心、安全に、この国で暮らしていけるよう、パイロット達はソリッド・ギアに搭乗して戦地へと出撃する事になるのです」

 

 見学者である民間人達は初めて実物を見たのか、目をまんまるにしながらソリッド・ギアを見上げていた。

 

 もしかしたら蟻も初めて見た人間をこんな風に見上げているのかもしれない。


 説明が終わり、しばらくするとPR担当の男がキョロキョロとしだした。

 

 おそらく僕を探しているのだろう。  これも仕事だから仕方がないと、僕は少し億劫な気持ちでパイプ椅子から立ち上がった。 

  

 PR担当の男は休憩所から出て来た僕を目にすると、察しがついたのか僕に向かって手招きをした。

 

 「え~~それではですね、これから実際にパイロットの方にソリッド・ギアへ搭乗してもらいまして、ちょっとしたデモンストレーションを行ってもらいたいと思います」

 

 民間人達からまばらな拍手があがる。

 

 「え~~これから実際に彼がこのソリッド・ギアのコックピットに搭乗して可動してもらう事になるのですが、コックピット内は軍事機密になっていますので見る事も詳しくご説明する事もできません、どうかご了承ください。  しかしですね一部分ですがソリッド・ギアの操作方法を簡単に説明したいと思います。  え~~それではですね、まずは彼が首にぶら下げている物に注目してください。  これはヘッドマウントディスプレイといいまして、皆さんのご自宅にも似たような物があるんじゃないでしょうか。  特にお子様がおられる方はご存知かもしれません。  ……そうです、ご自宅にあるゲーム機等に接続する事によって臨場感を得る事ができるインターフェイス機器です。  実は皆さんがご存知のヘッドマウントディスプレイはですね、元は軍事用に開発された物なのです、ご自宅にあるゲーム機等に接続して遊ぶ為のヘッドマウントディスプレイは、軍事用を民間に転用した物なのです」 

 

 民間人達の視線が僕に集まる。   

 

 「え~~そしてですね、パイロットはコックピット内でこのヘッドマウントディスプレイを装着します、そうするとソリッド・ギア頭部のメインカメラからの映像がディスプレイに同期しましてタイムラグなしで映像が映し出され違和感なく操縦する事が可能になるのです。  それでは搭乗してもらいましょう、お願いします」 

 

 僕は、軽くうなずいた。

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