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幕間

 戦っている者たちがいた。


 それは瞬きする間の一瞬のことだったのか、それとも幾千幾万年に及ぶものなのか、それは今となっては分からない。


 そんな戦いをずっと見ているものがいた。


 この星。


 この星そのものに宿る意思そのものが、ずっと見ていた。自分が手を下す前にこの戦いが終わってくれと。


 しかしその望みは絶たれた。


 この星を守るもの達は、倒すべき相手を倒せず、皆膝をついた。


 もうどうにもならない。


 星の意思は思考した。


 あの相手はこの星もろとも倒さなければ倒れない相手だと。


 星の意思は失意した。


 この星に生まれ、生き、そして想い伝えて行くものたちが、一体どれだけ失われるのか。それだけの消失と引き換えにしてでも、倒すべき相手なのか。


 星の意思は決断した。


 あの相手は、ここで食い止めなければならない相手だ。他の世界に被害が及ぶ前に、ここで倒さなければならない。この星に生まれた者達が作った防人との戦いで力を弱めているこの時機を逃してはならない。


 絶望の後に訪れる希望を願いながら、その力を振るった。




 戦いの場から少し離れた海面から水の柱が天に向かって伸びた。


 それは大気を突き抜け星の海に到達すると、蛇がとぐろを巻くように螺旋の形になった。


 黒き星の海を一つの煌めきが近づく。この星の意思、この星の支配者である水が呼び寄せた黒き星の海の眷属ーー彗星。


 その氷の塊は水の蛇が巻くとぐろの中を突き抜け、月ほどもある巨体を星の表面へとぶつけた。星と星の間に倒すべき相手は挟まれる。


 力を減少させていた倒すべき相手はその衝撃で瞬時にして飛散消滅する。


 戦いはそれで終極する。だからその時点で消えてしまった倒すべき相手にとってはそこから先の事は預かり知らぬことである。




 月ほどもある物体が落下して無事であるわけがない。


 しかもそれは相手を確実に消滅させるべく、星を貫く程の勢いを持って呼び寄せられた。


 倒すべき相手を倒したのと引き換えに崩壊する世界。


 星の意思の想像通りになってしまった世界。


 ――だが、その壊れゆく世界を守ろうとするもの達がいた。


 それは今まで倒すべき相手と戦っていた者たち。


 倒すべき相手との戦いの為の力は残っていなかったが、滅びゆく世界を守れるだけの力は残されていた。


 この星は、この世界はぎりぎりのところで生き残った。




 ――***――




 もしこの黒き星の海の中に自分たちが住んでいる星以外に他の誰かが住んでいる星があるのだとしたら、その星に住んでいる人たちと自分たちの祖先は同じ人ということになる。


 だからこの物語はその星の遠い記憶の中の物語なのかもしれないし、でも、やっぱり自分たちの星の物語なのかもしれない。


 これは、そんなお話し。

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