三話 「冒険者登録の前に軽くお助け」
馬車に乗ってから3時間ほどがたった。あたりは緑が広がっている。モンスターのモの字すらなく非常に平和な時間が続いていた。にしても遠いな、暇だ。馬車の人曰くこれでも近道らしい。早く冒険者登録したい俺はウズウズしていた。まじはよして。
「おーい、冒険者!ここから先はモンスター出るから構えておけよ」
馬車の人が言う。そう、ダンジョン以外にもモンスターは出るのだ。主に雑魚ばかりなので囲まれなければ楽に倒せる。いやまぁーこれぐらいは学校で習ったので知っている。
基礎知識はある程度学校で教えられたのである。実戦でも幾度かゴブリンと戦ったこともある。
モンスターが出るとは言ったものの全くでない。暇and暇。最早モンスターの1匹や二匹でてこないかと思っているぐらいだ。
「平和だなぁー」
俺が暇を持て余していると…
「キャア!」
前方から悲鳴声が聞こえる。俺はすぐさま声が聞こえた方を見る。どうやら少女がゴブリンに襲われている。しかも数が多い。俺は馬車を飛び出して助けに向かう。
「お、おい」
「すいません、少しの間止めてください」
俺馬車の人にそう言いゴブリンの大群に突っ込む。何体かのゴブリンがこちらに気づく。ゴブリンにまじまじと睨みつけられる。結構きもいな…俺はゴブリンに向けて閃光弾を投げる。その閃光弾が見事にゴブリンの大軍に命中する。
「グエェェ」 ゴブリンが怯んでいる、俺は隙を見逃さず剣でゴブリンを斬る、1匹…また1匹と…
「はああぁぁ!!」 俺は最後のゴブリンを捉える。そして…最後のゴブリンが塵となり四方に散る。ふぅー疲れた。
「大丈夫?怪我はない?」 俺は少女に問いかける。
「あ、あの、ありがとう。」
。金色の髪の毛はツインテールを作っている。彼女はその髪をいじりながらお礼を言ってくる。その姿に俺は少し見惚れてしまう。この出会いも運のおかげなのだろうか。
「いや、気にしないで。それよりもその左手の紋章…もしかして魔法師?」
魔法師には様々な魔法の使い方があるが、その一つが手に直接魔法陣が組み込むものであり、コレは魔法の高速起動に役立つ。一瞬、それが彼女の手にあるのが俺の目に映ったので聞いてみた。
「あー、よく気づきましたね。とは言っても回復魔法しか使えないんですよ、私。」
あー。道理でゴブリンに囲まれても抵抗できなかった訳か…。でもたしか、回復魔法を使える人はレアって学校で習ったような気がする。ならこの女の子…結構すごいんじゃ…。
「そういえば、冒険者さんですよね…あの、もし良かったら…私とパーティ組んでくれませか?いや、まだ会ったばかりで大変おこがましいんですけど… 前衛で戦ってくれる人がどうしても必要なんです。」
って先越されたし。まぁーいいや。パーティ組むときは慎重に冷静にって学校で念を押された気もするが、実際この子素直でいい子そうだし、何より回復持ちは強い。 てか野郎と組むよりはいい(本音)。
「うん、いいよ。これからよろしく。」
「ほんとですか!、ありがとうございます」
ざ、あっさり承諾しました。
てな訳であっさりと女の子(美少女)とパーティを組むことができた。 めでたし。めでたし。
*****
さらに一時間が経過した。馬車の人によるともうすぐつくそうだ。そういえば早速仲間?ができました!しかも女の子!どうやら馬車を待っていた所をゴブリンに襲われたらしい。
「そういえば、名前聞いてなかったね、俺はセナ・ディーゼルド、君は?」
「うん、私はねティアラ・クインテット、ティアラでいいよ、宜しくね!セナ君!」
いきなり呼び捨てにされるとは…気恥ずかししいな…俺もここは男らしく行こう!
「ティアラはどうして馬車に?ちなみに俺は冒険者登録しに来たんだけど…」
「え?セナ君も?だから強かったのか〜
実は私もなんだ〜まだ弱いけどね〜」
どうやら彼女も冒険者登録しに行くらしい。これも何かの縁だ。俺は提案を持ちかける。
「よ、良かったら一緒に行かないか?俺、その街にに行ったことないからさ迷いそうだし、一緒に行ってくれると助かるんだが」
「うん!いこ!てか私達パーティ組むんだから当然でしょー。あっ、てか私案内してあげる。一度行ったことあるからさ、」
「おーい、君たち、もうすぐ着くぞ〜」
どうやらもう着くらしい。
「わくわくしてきたね、セナ君!」
同感だ。マジわくわくぱない。これから俺は冒険者として一歩を踏み出そうとしている。
*****
「んっじゃあ少年は10000Jで少女は途中からだから5000Jな」
俺とティアラは馬車の人に代金を渡す。あっそういえば、説明しなきゃ!
1J=1円で硬貨がそれぞれアルミ、銅、銀、金でできていて価値がそれぞれ
アルミ硬貨=1J
銅硬貨=10J
銀硬貨=100J
金硬貨=1000Jとなっている。まぁーワンランクごとに0が増えるって感じかな。
んでそれより価値が上がると紙幣になる。
順番に5000J、10000J、100000Jとある。
ごく稀には1000000J(百万J)あるらしいです。んで最後にJ=ジェルと読みます。まぁーこんな感じ。
「まいどありー!」
俺たちは馬車の人を見送るとすぐさま大都市の一つメイビス・シュトラウスに 向かう。
*****
俺とティアラは町の中に入る。その瞬間とてつもない光景を見る。まずあれだ、クソ広い。
「すげぇー」 俺は思わず口にだす。本当に素直な感想が出た。幾つもの建物が永遠に続くかのように先まで建っているのが分かる。その周りには武具屋や果物屋、カフェ、ギルド、無数の建物が並んでいる…
何しろ一番目立つのが一番遠い所に建っているであろうダンジョンの聖地メイビス・クォーツ塔が見える。ダンジョンの上の方は雲で覆われている。誰もがあの頂上を目指して冒険者となる。
「ティアラ、確かあの塔の近くのクエスト場で冒険者登録できるんだよな?早くいこーぜ!」
「ふふ、セナ君すっごい目が輝いてるよ。じゃあ早くいこっか!」
俺は急かされるままにティアラと冒険者登録しに向かう…
*****
ここがクエスト場か…俺とティアラは早速建物の中に入る。
建物の中に入ると中には結構な人がいた。
正面にはクエストオーダーと書かれた看板がある。ここでクエスト受注するらしい。右手にはキャッシュ・イン・アイテムと書かれていて、男の人がアイテムと引き換えにJをもらっている。どうやらドロップしたアイテムを換金するらしい。他にも武具屋や回復アイテム専用店などが並んでいるがひとまず俺たちはその奥にある冒険者登録と書かれた場所に向かう。
「すみません、冒険者登録したいのですが」
俺が受付のお姉さんに聞くと…
「わかりました、試験通過の確認をしたいのでお名前と合格通知に同封されていたIDカードをお見せください。」
めんどくせぇな…どうやら過去に入れ替わり事件が多発したため結構厳重らしい。俺とティアラは名前とIDを教えた。少し経つと…
「はい、ご確認できました。今から冒険者登録するのでこの石版に左手を添えてください」
受付のお姉さんが石版を差し出してきた。その石版には難しそうな字が羅列されている。俺とティアラは恐る恐るその石版に手を添える…
「こうか?」
俺とティアラが石版に触れた瞬間、青い光で視界が覆われる。どうやら冒険者登録が始まったらしい。眩しいんだけど…。少し経つとその光は消えた。
「更新が完了しました。何か変わった所ありません?」
お姉さんに聞かれる。ん?なんも変わってなくね?俺が疑問に思っていると…
「何も変わってないのですが…」 俺が聞くと色々お姉さんに説明された。まず見た目には特に変化は見られないらしい。しかし、それは中身は変わったということ。俺がそのことを聞いてみると、どうやらダンジョン内に入るための手続きをしていたらしい。俺とティアラは身体に転移するための呪文を埋め込まれたらしい。これにより転移紋章を踏むとダンジョン内へと転移できるとのことだ。
「続いてですがお二人のステータスをお見せします。まだ最初の段階ですので落ち込むことのないように」
受付のお姉さんがコピーした紙を2枚こちらに見せてくる。俺とティアラは緊張しながらもその紙を見る
ティアラ・クインテット
LV1 Gランク
ATK 5 (攻撃力)
DEX 8 (器用さ)
INT 7 (知力)
AGL 7 (敏捷性)
AVO 5 (回避)
GRD 5 (防御力)
REC 18 (回復力)
MP 30 (魔法ポイント)
スキル 回復防御LV2
セナ・ディーゼルド
LV1 Gランク
ATK 17
DEX 9
INT 6
AGL 16
AVO 14
GRD 12
REC 3
MP 30
スキル 剣術LV2 体術LV2
なるへそ、なるへそ、面白くも詰まらなくもないな。まぁ、最初はそんなもんか。そんな訳で俺とティアラは無事、冒険者登録を終えた。