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旅立ちの日





家族と認めるのは怖かった。大切なものを作ると、手からこぼれ落ちた時、どうしようもない喪失感に襲われるから。














「お手を拝借」

「お願いするわ。スザク」


馬車に乗る前にエスコートを申し出た、漆黒の服に身を包んだ男に手を差し出す。

スザク・ルーベンスは、自分の風貌を知っていてなお黒を好んだ。襟詰の軍服のような服は、彼が着るとまるで青年将校だ、長身で無駄のない引き締まった体つき、しなやかな指、伸びやかな足、彼のなにもかもが漆黒に似合っている。例え、この国の人に恐れられようとも。


「元気で暮らしてね。手紙を書くから」

「仕事で近くに行くことがあれば、立ち寄るからな」


それぞれの別れの言葉に、振り返り頭を下げる。


「今までありがとうございました。お父様、お母様」


次々に顔を眺めていく、父に寄り添う母は泣いており、慰めるように腰に手をやる父は深く頷く。そして。

些か顔色が悪いガイを見つめた。じくじくと傷口は痛むが、言わなければ後悔するだろう。





「さよなら………お兄さま」


ちゃんと笑えているだろうか、口許を緩めたが、確かではない。

告げられた内容に一瞬固まったガイだったが、歩き始めた二人に慌てて声を掛けた。


「スザク!ダリアを頼む!!」


あぁ、背を向けていて良かった、とっさに反応できない私とは違い、意気揚々と男は振り返る。


「任せろ!幸せにしてやる」


絶対面白がっているんだろうなぁと思いつつ、共犯者に感謝をした。彼の顔を見たら、自分でもどうなるか予測不可能である、変なことをしたらこの舞台は台無しだ。

涙はふさわしくない、だって幸せになるための儀式だから。















「甲斐甲斐しく俺に世話をさせる気分はいかがかな?」

「・・・好きで世話させているんじゃないわ」


装飾が豪華な馬車に乗り込んだら、互いに仮面を外す。

笑みだけ作ってあれば、内容までは誰にも届かない。


「まぁ、これからが正念場だからな。よろしく頼むよ、婚約者殿」

「こちらこそ、ふつつか者ですがよろしくお願いしますわ。次期皇帝陛下」



にっこりと微笑む二人、はたから見たら幸せそうに見えますか?


ブクマ等ありがとうございます。

ようやくシステムにも慣れてきました(*^∞^*)


ご指摘により、語句を直しました。

ありがとうございます!

2015/2/19

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