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番外編:未来への選択<ガイ視点>

異国の后となったダリアから手紙が届く。ちゃんと両親とガイ用に分けられた二通分の手紙に、律儀な彼女らしいと微笑む。


「そうか。まだ一ヶ月なのか…」


ダリアが旅立ってから、長い月日が経ったと思っていたが、そうでもないらしい。

食事の際、いない席向かって話をしてしまう母もさすがにここ数日はやらなかった。

元気にしているだろうか、と言う疑問に手紙で返事をくれるダリアは必ずスザクの近況にも触れていた。そのことに嬉しさ半分、寂しさ半分。

自分が生まれ育った国は此処だと言うのに、自分一人取り残された気分になる。我ながら子供っぽい感傷だ。

両親はよく手紙を送っている、ガイも一度だけ元気にしているとだけ伝えた。他に思いつかないのだ、ダリアがいなくなってから、家の雰囲気が侘しくなって。特段、告げたいほど嬉しいことも悲しいことも何もない。心にぽっかり穴が空いたようだった。







「誰か探しているの?」


親しい侯爵家より、招待を受けた夜会。付き添いに来てもらったサクラが耳元で囁いた言葉に、首を捻る。


「いいや。知り合いにはもう挨拶したからね」

「そう?なんだかキョロキョロしていたから」

「あぁ、なんだか落ち着かなくて」


黒の色彩が生活から抜けてから。紺などの濃い色を視界に入ると、つい追ってしまうのだ。彼女はよく、原色に近いコントラストの色を好んで身に付けていた。黒髪にはこれが似合うの、そうやって笑っていた。


「ガイ。ダンスの最中に他の人を思うなんて、マナー違反よ」

「え?」


何故、わかったのだろう。

彼女の瞳に写る自分が、不思議そうな顔をしていた。


「まぁ、気持ちはわからないでもないけど」

「どういう意味かな?」

「秘密」


にっこりと微笑む美少女は、ガイのエスコートで華麗に踊り回る。ひらひらとした淡いピンクのドレスが、彼女にとてもよく似合う。ダリアが着なかった色。


「ねぇ、皆が私たちを見ているわ」

「あぁ」

「私たちを祝福してくれているのね」


侯爵家の青年と、神の加護を持った少女。その組み合わせに、周りの人は羨望と感嘆の眼差しを向ける。ダリアと一緒の時はなかったものだ。

彼女の言葉に、そうだね、と肯定しながらステップを踏む。


「あなたに一つだけ、忠告してあげる。ガイ、過去は変えられないの。でも、未来なら変えられるわ」


内容そのものより、どうしてそんなこと言うんだろう、疑問が強く頭に残る。


「私とガイは似てるから」


目の前の、笑みを浮かべる少女は確かに、ガイの知るサクラで。でもどこか違和感を拭いきれない。こんな大人びた表情は見たことがないのだ。

音楽の終了と共に、互いに礼をする。


「ガイの初恋はダリアなんでしょう?」


誰にも聞こえない小さな呟き。

伏せられた瞳に、どんな感情が含まれているのか。


「サクラ?」

「少し、夜風にあたってくるわ」


目線を合わせることもなく、人ごみに紛れていく背中。こんなことは初めてだ。

様子がおかしい、追いかけなくては。そう思うのに彼女の言葉に衝撃を受けた身体は動かなかった。


自分の初恋がダリア?

何を言っているんだ?

冗談だろ、と言おうとして出来なかった自分に、驚く。


「ガイ様、こんなところでどうかしましたの?」

「あぁ、君は…」

「学園以来ですわね。ミリィ・エレコムですわ」


赤髪に似合う紫のドレスに包んだ少女は笑顔でガイに挨拶をした。学園で何度か見かけたことがある少女、いつも数人の友達と一緒に行動していたような気がする。珍しいことに今日は一人のようだ。


「サクラはどうしましたの?会場に着いた時は一緒でしたわよね?」

「あぁ、外の空気を吸いにバルコニーに行ったみたいだ」

「そうでしたの。でしたら、私と一曲いかがですか?」


ちょうどよく流れてきた次の曲に合わせ、人々は踊り出す。

差し出された手に、断ることは失礼に当たるなと思いながら答えた。







→A「もちろん、喜んで」


→B「いや、サクラのところへいかないと…」








ここでまさかの乙女ゲーム仕様w


Aの選択肢→22話

Bの選択肢→23話

※ガイ&サクラルートを見たい方はBの選択肢へ


2015/3/1

報告により、一部表現を訂正しました。

ありがとうございます。

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