第四話 話をしよう
「はい……そうですけど。どちら様ですか?」
「失礼。ご挨拶が遅れました。私は天野というものです。総理大臣の指示を受け、この国で最初の《《覚醒者》》である御手洗さんにダンジョン攻略に協力していただきたく、参上いたしました。」
「はあ、そうですか……。っていうか、覚醒者って何ですか?」
「この後行われる総理の記者会見で発表する予定でしたが、能力やジョブが発現した者たちの総称でございます。これは総理自身がそう呼称することを決めました。総理曰く、『響きがかっこいいから』とのことです」
総理大臣さんってもしかして……、僕の中学生時代と同じタイプの人間なのか!?
「分かりました。ご一緒します」
「感謝いたします。それではこちらへ」
「もう行くんですか!? 僕学校があるんですけど!?」
「ご心配なく。学校側に話を通しておきますので。単位や授業の心配はありませんよ。まあ、後で補習が行われると思いますが」
補習だって!? え、普通に嫌なんだけど!
助けを求めるように神城くんたちの方を見た。
ぐっ 「頑張れよw」
見捨てられた。
鈴木先生の方を見てみる
「どうなっているんだ! この電話も繋がらないぞ!」
まだやってたの!? 今度は教科書を耳に当てていた。逆にすごいよ……こんなに電話と電話っぽいものを間違え続けるなんて。先生も役に立たなそうだな……
「では、行きましょうか」
天野さんにそう言われ、僕はおそらくお偉いさんたちが待つであろう場所へ連行されて行ったのだった。
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天野さんに連れられてきたのは巨大なビルの一室だった。そこに用意された机にはすでに数人のお偉いさんたちが座っていた。何やら張り詰めた雰囲気だ。誰も一言も話していない。
……ゑ? 僕は今からこんなところに入ってくの?
「入りますよ、御手洗さん」
……ゑ? 天野さんは何で普通に入ろうとしてるの?
これが政府の高官であろう天野さんと逸般人である僕の違いなのかっ! ……なんか字が違った気がするな……。気のせいか
僕は覚悟を決めて部屋に入って行った。足を踏み入れると同時に、お偉いさんたちの視線が僕に集まってきたのを感じる。 アッ……無理かも
「天野さん、すみません。僕帰ってもいいでs『ダメですよ』……はい」
デスヨネー。はあ、覚悟を決めるか……
「は……はじゅ……は、初めまして、御手洗奏真でしゅ……です」
とりあえず、当たり障りのないような自己紹介をしておいた。僕は噛んでなんかない。ないったらない。
真ん中の席に座る優しそうなお爺さんが言った。
「そんなに緊張しないでください御手洗さん。初めまして、現在の総理大臣を務めている五十嵐光雄です。そんなところに立ってないで、どうぞ席に座ってください」
この人が総理大臣だったのか。てっきり右隣に座っている眼光の鋭いおじさんが総理大臣だと思ってた。
「初めまして、御手洗くん。私は三谷幸夫。未発表だがまもなく設置される予定の覚醒者ギルドの長官を務める予定だ」
総理大臣さんの左隣に座る筋骨隆々なおじさんが言った。というか、覚醒者ギルドだって……? これも総理大臣さんが名前を決めたのか? さては総理大臣さんってば、ラノベとかを読んだことがあるな?
そんなことより、覚醒者ギルドってなんだ?
「覚醒者ギルドって何ですか?」
「覚醒者ギルドとは、『ダンジョンの出現』そして、『日本各地に覚醒者が誕生した』という異常事態を受け、総理が設立を決定した覚醒者を取りまとめると共に、ダンジョンを管理するための機関だ。主な役割としては覚醒者カードの発行、パーティを組む際のメンバーの募集、能力に応じた適正なダンジョンの斡旋だ」
情報が一気に増えたぞ。僕が読んだことがあるラノベの通りなら、覚醒者カードは冒険者カードみたいなものなんだろう。でも、どうやってそんなカードを作るのだろう
「覚醒者カードってどうやって作るんですか?」
「実は、覚醒者ギルドの職員となる予定の者に製作者というジョブを発現させた者がいてな。そいつに頼もうと思っている。」
そんなジョブもあるのか……。というか、今回は珍しく政府の対応が早いなぁ。いつもは『検討に検討を重ね……』とか『誠に遺憾であります』とか言ってなかなか行動しないのに……。今回の事態が余程重大だと考えたんだろうな。
「なるほど。ところで、何で僕をここに呼んだんですか? そのことだけを話したいだけならわざわざ呼ぶ必要はないと思うんですが……」
それだけだったら、記者会見の時に話せばいいだろうし、何なら電話とかでも伝えられたはずだ。
「そうだったな。今日君をここに読んだ理由はちゃんとある。実は覚醒者の能力をわかりやすく示すための指標として八段階のランク制度を作ろうと思っていてな。ほら、ラノベとかでよくあるだろ? FランクやAランクみたいなランク制度が」
この人もラノベを解する者だったのか……
「一番上はやっぱりSランクなんですか?」
「おお! 君もその要素を知っているのか! それなら話が早い。その通りだ。普通はSランクが一番上だ。もちろんランクの昇格もある」
やっぱり。……ん? 普通は? あの言い方的に例外があるのか? っていうかFランクからSランクまでのランクって七段階しかなくないか? さっき三谷さんは八段階のランク制度って言ってた気がする……
「FランクからSランクって七段階しかなくないですか?」
「君も気づいたか。実はSランクの上に特別なランクを設けようと思っていてな。SSランクというランクなんだが……。このランクには普通の覚醒者は到達できない。」
「じゃあ、何のためにそんなランクを作るんですか?」
「このランクは、日本で最も強い覚醒者に与えるランクだ。万が一、SSランクの覚醒者に何かあり、ダンジョン探索をやめる事態となった場合は、探索を続けている覚醒者の中で最も強い者にこのランクを与える予定だ」
日本で最も強い覚醒者、ねえ……。なんか嫌な予感がするなぁ……
「御手洗くん、そこで提案というかお願いなんだが……」
もうすっごい嫌な予感がするなぁ……
「どうか、君にSSランクの覚醒者になってもらいたい」
……嫌な予感って、当たるんだなぁ
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