第二話 世界よ、僕は帰ってきた!
次に目を開けた時、僕はパニック状態となっている教室に戻ってきていた。教室どころか、学校の至る所から悲鳴が上がっているのが聞こえてくるし、数キロ先で人がゴブリンに襲われている光景が見えた。
「……」
いや怖ぁ! さも当然のように言ってるけど、どうして学校中の悲鳴や数キロ先の景色が見えるんだよ! これ、絶対に五感も強化されてるよね!? 少なくとも、以前の僕は、メガネが必要ない程度の視力しかなかったはずなのだ。間違っても、数キロ先の景色や音が拾えるような五感は持っていなかった。
「何してるんだよ、御手洗! さっさと逃げるぞ!」
神城くんの慌てた声が聞こえる。やっぱり、彼は優しいな。
「大丈夫だよ……神城くん。それにみんなも。そんなに慌てないで?」
僕の声が教室中によく響いた気がした。みんなが僕のことをギョッとした目で見ている。そんなに見ないでよ……緊張しちゃう……。そんなことより、早速この力を使ってみよう。使い方と能力の詳細はさっきのとんでもない頭痛に耐えている時に理解した。僕の固有能力【極星魔法】の力は……
《《魔力を用いた、星の力の再現》》だ。
「まずは軽く挨拶からだ。【極星魔法】一式:太陽」
僕の頭上に太陽のように赤く輝くサッカーボールほどの大きさの球体が現れた。不思議なことに、全く暑さを感じない。それをゴブリンの群れに向かって軽く投げてみた。その球体が地面に触れた瞬間……
轟音が轟いた。
それはまるで、太陽フレアを思わせるような大爆発だった。その爆発に巻き込まれたゴブリンたちは、悲鳴を上げる暇もなく消し炭に変わっていた。爆発が起きた場所には巨大なクレーターとかつてゴブリンだったモノだけが残っていた。
「……」
いや威力凄すぎでしょお! 驚きすぎて、僕も何も言えなくなったわ! これで初級クラスのレベルなのだから、この能力のイカれ具合がよく分かる。これ以外にもできることがあるし、応用も効くみたいだけど……
そんなふうに唖然としていると、クラスメイトがザワつき始めた。あ、ここにいるの僕一人だけじゃないんだった。
「なんだよ今のは!」「あれ御手洗くんがやったの?」「よく見たらあいつの髪の色変わってんじゃん……」「何者なんだよ、アイツは……」
といった声が聞こえてくる。すると、いきなり何者かが僕の肩を叩いてきた。
「御手洗、お前スゲーじゃん! あの化け物どもを一瞬で倒しちまうなんて! あとお前のその髪の毛と目はどうしたんだ? 突然イメチェンがしたくなったのか?」
「僕はそんなに急な心変わりをするタイプじゃないよ……。これには色々と訳があってね?」
そんなふうにわちゃわちゃしていると、突然僕の頭の中に声が響いてきた。
『聞こえるか……人間たちよ。』
これは誰の声だ? アテナ様とは違うみたいだけど……
「なんだよ……この声……」 「耳を塞いでも聞こえるんだけど!」
教室中から戸惑いの声が聞こえてくることから察するに、この声はみんなにも聞こえているようだ。
『我はクライ。世界を見守り、管理する者なり。今から貴様らに力を授けようと思う。』
管理する者だって!? もしかして、このクライって言う人……いや、推定神様が管理神なの!? だいぶ高圧的な神様っぽいな……僕達のこと貴様らって言ってるし……。僕こういうタイプの人苦手なんだよなぁ……
『今この世界は未曾有の危機に瀕している。貴様らも知っての通り、この世界にダンジョンが出現した。すでに何千人もの死者が出ているようだ。』
何千人もの死者?と言うことはダンジョンが出現したのはここだけじゃないってことなのかな? この辺りで魔物に襲われた人は、多く見積もっても10人ほどだ。
『この危機に対応するため、我らは高い適合率をもつ者たちに力を授けた。そして力を授けた者たちはダンジョンから魔物が湧き出てきている地点の近くにいる。貴様らもみたはずだ。圧倒的な力を有する者たちを。』
多分、僕のことだよね……。褒められたみたいでちょっと嬉しい。
『世界中に出現したダンジョンを管理するには我らが力を与えた十人程度の人員では到底足りないだろう。だからこの十人以外に30%以上の適合率をもつ者たちにも能力を与えることにした。この地球の総人口のうちのおよそ6割程度の人間が対象となる。対象となった者もこの危機を乗り切るために十人に協力してやってくれ。』
総人口の6割ぐらいってことは、このクラスに所属する30人のうち、18人くらいが対象になるのかな? 思ったよりも多いね。
『それと、これから先に誕生する新たな生命の中で、適性があるものにも能力が発現するだろう。我からの話は以上だ。頑張ってくれ』
『頑張ってくれ』って……。随分と軽く言うなぁ……。さて、一体誰が力を与えられる対象になるのかなぁ。あと、どんな能力が与えられるんだろう。優秀な力を与えられた人がいるなら、ぜひ一緒にダンジョンに潜りたいな……
あと、できるだけ話しやすい人がいいな。さっきのクライっていう神様みたいな高圧的な人は嫌だなあ。例えば、神城くんとか……
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