第七話 記者会見
ついにこの日がやってきた。いや、やってきてしまった。今日は記者会見当日だ。僕は慣れないスーツを着て首相官邸にきていた。
「よく来たね。御手洗くん。今日はよろしく頼むよ」
総理大臣さんがやってきた。ピシッとスーツを着こなしている。ほとんど緊張しているようには見えない。全身が小刻みに震えてしまう僕とは踏んできた場数が違うようだ。
「は……はい。よろしくお願いします……」
「そんなに緊張しなくても大丈夫だよ。私や三谷もいるからね」
そう言われても……。全日本陰キャ代表(自称)の僕には荷が重いよ……。記者会見なんて一度もやったことないし。
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記者会見が始まった。司会の男性……というか天野さんが言った。
「只今より、ダンジョンへの対応と覚醒者の出現についての記者会見を始めさせていただきます。後ほど質疑応答の時間を設けますので、今の時点での質問はお控えください。まずは五十嵐首相よりお言葉をいただきます」
総理大臣さんにマイクが渡された。……僕もあれを渡されることになるのかぁ。嫌だなぁ……。苦手な教科の小テスト以上に嫌だなぁ……。
「本日はお集まりいただきありがとうございます。一週間ほど前、全国に謎の大規模建造物が出現するとともに、人間に危害を加える謎の生物、通称モンスターが出現し、多数の被害者が出てしまいました。本日の記者会見は、それらの異常事態に対する政府の対応を発表するためのものであります。では、三谷より、対応についての詳しい説明を行います」
三谷さんにマイクが渡った。
「先ほどご紹介に預かりました、三谷幸雄です。今回の異常事態に対する政府の対応について説明させていただきます」
そう前置きをして、三谷さんは説明を始めた。
「まず、覚醒者への対応についてですが、政府は覚醒者の管理を目的とした組織として、覚醒者ギルドの設置を決定いたしました。また、ダンジョンの管理は覚醒者ギルドを中心に、政府が執り行うことを決定いたしました。これは、ダンジョンへの無謀な侵入を減らし、国民の命を守るための政策であります」
僕の出番が近づいてくる。どうしよう……お腹が痛くなってきた気がする
「覚醒者ギルドは、覚醒者の力量に応じて、8段階のランク分けを行います。本日は、その中の最上位であるSSランクとして、とある方を任命したいと考えています。それが今私の隣に座っている御手洗奏真さんです。では御手洗さん、何か一言お願いします」
ついにきてしまった。……落ち着け、とりあえず深呼吸をして……
「只今ご紹介に預かりました、御手洗奏真です。SSランクの覚醒者に相応しい活躍ができるように精進していきたいと思います」
少し短いかもしれないが、何とか言い切ることができた。まあ、初めての記者会見での発言としては上出来だろう。上出来だと信じたい。上出来という評価以外は聞き入れない。僕は、天野さんにマイクを返した。
「ありがとうございます。御手洗さん。続きまして、質疑応答に打つたいと思います。ただし、時間の都合上、質問は5社までとさせていただきます。」
それからは質問の時間が始まった
「○○新聞社の田中と申します。なぜ、SSランクの覚醒者として御手洗さんを選んだのですか?」
まあ、それは気になるよね。だって僕はまだ高校生だし。僕も説明してほしいな
「それは彼がこの国で初の覚醒者であるからです。彼はモンスターの群れを撃退した実績もありますので、SSランクに相応しいと考えました」
「△△局の須藤です。本当に御手洗さんや他の覚醒者たちにこの国の運命を任せてしまって大丈夫なのですか?」
「ええ。私たちは覚醒者を信じると決めました。我々にできることは彼や覚醒者のみなさまを全力でサポートすることだけです」
三谷さん、カッケー。そこまで言ってくれるのなら、僕も期待に答えられるようにしなくちゃ。
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その後、一時間ほどで記者会見は終了した。今日から3日後に覚醒者ギルドが設置されるそうだ。今までの政府からは想像もできない素早い行動である。
覚醒者ギルドが設置された日から一週間ほどかけて、覚醒者カードの発行と能力の計測、それから、覚醒者の名簿登録が行われるそうだ。
ちなみに僕が参加するのは最終日らしい。何でも、初めの方に僕の能力を公開して、他の覚醒者のやる気を削がないようにするためらしい。少し楽しみになってきたよ。早くダンジョンを攻略したいな。




