村を食い尽くすとても恐ろしい怪物
「怪物が出たぞ!」
そんな叫び声が聞こえてきて村中が騒然となった。去年もこの村は怪物に襲われ、多くの被害が出たのだ。
その復旧がようやく終わったところだというのに次の怪物が出たというのだから、その衝撃は計り知れなかった。
そして今後この怪物に対してどう対処をするのか、村から少し離れた避難所を兼ねた集会所に大人も子どもも集まって村の主だった者たちで話し合うことに決まった。
村を捨てるという意見から村民の総力を結集して怪物を追い払おう、いや冒険者を雇って怪物を退治してもらおうなどなど喧々諤々、様々な意見が出てなかなか意思が統一されない。
しかしようやく意見がまとまり、はじめに村人たちで怪物を追い払おうとしてみて、それがダメなら冒険者を雇い、それでもダメだったのなら村を捨てよう、という結論に達した。
そうして村人たちが集会所から怪物のいるはずの村へと戻ってみると、そこには怪物によって見る影もなく荒らされ尽くした村の姿があり、肝心の怪物は逃げたのだろう、どこにもその姿が見えなかった。
「ああ、また復旧のやり直しだ」
そんな風に嘆く大人たちの隣で、子どもたちは一年に一度行われる大規模な「お泊り会」の感想を楽しそうに話し合っていた。
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