表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

6/7

第六ラウンド 別荘か旅行か

 車も決まったことだし、どこか旅行でも行きたいな。そんなことを考えながらネットサーフィンをしていると、


「お、旅行か?」


 上司が声をかけてきた。


「実は車の調子が悪くて買い替えたんです。嫁と休みが合えば遊びに行こうかなと思いまして。」

「いいねぇ。私もしばらく出かけてないから、今度の連休は別荘にでも行こうかな。」

「え? 課長、別荘なんてお持ちなんですか?」


 驚いて聞き直すと、課長は笑いながらあるサイトを教えてくれた。


「新しいものはあまりないんだが、今は格安の別荘が結構あるんだよ。好みはあるかもしれないが、誰に気兼ねすることなくBBQしたり、ゆっくりした時間が過ごせるから楽しいもんだよ。」


 なんでも、バブル期の世代が購入した別荘地が、今は高齢化で手放して格安で販売することがあるそうで、ちょっと見たものでもせいぜい数百万、築45年の1LDKタイプなんか200万で売りに出ている。もちろん共益費とか温泉使用料とか毎月ランニングでかかるものはあるが、それにしても安い。


 その日の夜、さっそく嫁にその話をしてみた。


「え、やだ。無理。」

「なんでだよ。」

「だって考えてみなよ。年に何回行くのよ。その1回2回のために毎月使いもしない温泉使用料払って、固定資産税払って、もったいないじゃない。それに、別荘持ったらそこしか行けなくなるでしょ? 私は旅行に行くんならあっちこっち行ってみたいの。」

「・・・一理、ある。」


 ウソ。全面降伏です。おっしゃる通りですね。確かに別荘持ったらそこしか行かなくなるし、頻繁に行かなければ温泉使用料も固定資産税もかえって高く付くか。それに、食事なんかは自分で作らなきゃいけないし、旅館とかのご馳走レベルは無理なわけで、それを考えたら別荘を持つという考えは軽率だった。


「まぁ。定年後にたまにゆっくりしに行くってんならいいかもしれないけどね。」

「ははは。」

「別荘よりも自宅リフォームの方が先でしょ。」


 今現在築40年だと、定年する頃には築60年か。かえって修繕費用の方が高くなっちゃうな。200万で購入してリフォームにそれ以上かかったらもったいない話だ。


 戸建て住まいの私たちは、別荘よりも先にそろそろ外壁や水回りなどのリフォームをするという目標がある。いや、わかってはいたんだけど、自宅を購入して別荘を持つ。なんだかすごくリッチでセレブな感じがするじゃない? 男の夢なんだよ。そういうの・・・。



第六ラウンド、正論パンチラッシュでTKO負け

これで1勝2敗3分けで嫁がリード。

最終ラウンドに続く。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ