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第五ラウンド マニュアルかオートマか

 どうも調子が悪い。私は愛車のエンジンを切ると、もう一度セルを回した。エンジンはかかる。かかるのだがなんだか頼りない音だ。回転数は問題ないが、スタート時の加速がとても弱くなった気がする。次の休みの日、懇意にしている修理業者に相談すると、


「あー。エンジンが弱くなってますね。すぐにどうこうってのはないですが、壊れたらエンジン取り換えなんで買っちゃった方が安いですよ。」


 単純な金額だけ考えればエンジンを交換した方が安いが、その費用が見合っていないのだ。聞いたこともある。エンジンが行かれたら交換よりも買い替えだと。


 私は修理業者も取り扱っている車のパンフレットをいくつかもらって帰ることにした。そして、その日の夜に嫁に相談すると、買い替えの時期かもしれないと珍しく意見が合った。


「もう10年乗ってるもんねぇ。」

「それでさ。次の車買うとしたらマニュアルにしない?」

「は? 絶対にありえないんだけど。」

「なんでさ。オートマより運転楽しいじゃん。」

「バカなの? めんどくさいだけじゃない。」


 おおっと、思わぬところから第五ラウンド開始か。もともと私はマニュアル世代の人間だ。まさか免許を取った学生時代には、たかだか20年足らずでこんなにマニュアルがなくなる時代になるとは思わなかった。今の車は主に嫁がパートに出る時に通勤で使っている。私は駅まで歩いで電車通勤のため、休みの時くらいしか車を使うことはない。


「だいたい。毎日使うのは私なのになんでわざわざ面倒なマニュアルにしなくちゃいけないの。」

「マニュアルの運転って楽しいし運転技術上がるじゃん?」

「意味が分からない。せっかくオートマっていう便利なシステムが増えたのに、ましてや自動運転がどうとかいう時代に差し掛かってきて、なんで太古の骨とう品みたいなマニュアルにしなくちゃいけないのよ。」

「いやいやいや。」

「黙らっしゃい。通勤で使うのは私、一番乗るのも私、休みの日にちょろっと運転するだけのあなたと、どっちを優先して選ぶべきなのかしらね。」


 うう。ぐうの音も出ない。確かに、私が通勤で使わない以上は嫁の意見を優先するのが筋だろう。


「マニュアル。運転楽しいのになぁ。」


 けっきょく、次の日の週末に嫁の好きな軽自動車の未使用者が見付かったため、即決して決められてしまった。。。


第五ラウンド、妻にフルボッコのためにKO負け。

1勝1敗3分けに。


第六ラウンドに続く。。。

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