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第四ラウンド レギュラー商品と限定商品の戦い

 今日は暑い。関東平野の夏は年々厳しい暑さになっている気がする。朝見たニュース番組では、今日の最高気温は38℃。38℃って、体温だったら有休とっても許される温度だよ。拭いても拭いてもにじみでる、いや垂れ流されてくる全身の汗。そうだ、たまにはアイスでも買っていってやるか。


 私は会社帰り、スーパーに寄って嫁の好きな大福に雪をまぶしたようなアイスを買うことにした。アイスコーナーを探していると、


「お、限定商品が出てる。」


 いつもの大福アイスはバニラアイスを求肥ぎゅうひで包んだもので、今は夏でも販売してくれる。嫁はアイスの中ではこれが一番好きだと言っていた。見かけた限定品はチョコアイスの中にチョコクリームが入っていて、牛皮の代わりに生チョコで包んだものだ。ついでに言うと、妻は生チョコや生キャラメルが大好きである。生チョコ、生キャラメル、生ビールに生パスタ。なんでこう『生~』と言うのは美味しそうに感じるのだろう。実際に美味しいものが多いので文句はないが、なんか、ズルい。


 と言う訳で、いつもの大福アイス5個に限定品5個を買って帰ることにした。


「ただいまぁ。」

「おかえり。」

「アイス買ってきたから後で食べてね。」

「えっ! やった。ありがとう!!」


 と、喜ぶ妻に今しがた買ってきたアイスの入った買い物袋を渡す。


「あ~! 大福アイスだ・・・。なんか余計な物が入ってる。」


 一瞬喜んだ顔をしたが、すぐに眉間にしわを寄せた嫁がクレームを付けてくる。


「余計な物って何だよ。限定品だぞ?」

「いや、ノーマル一択でしょ。」

「いやいやいや。だって、生チョコで包んだ限定品だよ? 生チョコ好きじゃん。」

「いや、余計なの要らない。」


 嫁いわく。大福アイスはノーマルだからいいのであって、生チョコで包んだのはもはや大福ではないそうで、別物だということだ。


「いいから食べてみろって、食に関するおれの直感を疑うな。」

「いらない。ほんと、限定品とか特別品とかに弱いよね。チョロいやつ。」


 頑なに食べない嫁を横目に、限定品の方を食べてやった。ほら、やっぱり美味しいじゃないか!!


「・・・どうした?」


 生チョコが気になったのだろう。こちらをじっと見ている。


「ほれ!」


 私は問答無用で生チョコ限定品を嫁の口に押し付けた。


「ちょ、いらない。」


 と、抵抗しつつも生チョコの香りの誘惑には勝てなかったのか、渋々と口の中でモグモグさせる。何度ケンカしてもこの姿を見ると癒されるチョロい私がいる。


「美味いだろ?」

「・・・少しは。」

「素直じゃないなぁ。」


 次の日、冷凍庫の中の限定品が減っているのに気が付いたが、それを突っ込むとまた不要なケンカになるので、『大人』な私は黙っていることにした。


第四ラウンド、なんだかんだで食べさせたので私の勝ち。

初勝利で1勝3分。

第五ラウンドへ続く。

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