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11・乱舞、激震 後編


 




重い手応え。

しかし“獲って”いないと弦は判断した。

 

さもありなん、この程度で仕留められるはずがないのだから。

 

相対する機動兵器二体が地面を抉りながら後退する。白き王虎は構えを組み直し、巌の鬼神はゆらりと身を起こす。機体各部のチェックを行いながら弦は見た。改心にも思える一撃を放った機体中央――鳩尾のあたりに、闇色の水晶板を思わせるなにかが展開されているのを。


「なるほどな。おどれらの大将が使っとった、防御シールドかい」

「……隔絶空間障壁という。もしやと装備してみたが、存外役に立つものよ」

 

意外なことであるが、とてつもない防御力を誇る隔絶空間障壁を用いる者はかなり少数派だと言って良い。

技術的な問題ではない。純粋に使いにくいのだ。

 

隔絶空間障壁はその性質上、“発生させた箇所から移動させにくい”。そしてその特性は発生させる規模が大きければ大きいほど強くなる。つまり機動兵器クラスであれば動きが鈍くなる程度ですむが、戦艦クラスになるとどう足掻いても身動きが取れなくなるほどになるのだ。

機動を必要としない要塞などならその心配はないのだが、厄介なことにこの障壁、規模が大きくなるほどエネルギーの消費が自乗化する。結果的に実用化するには、とてもではないがコスト面で割に合わなくなってしまう。

さほどエネルギーの消費を気にしなくてもよい機動兵器にしても、使えば格段に機動力が落ちてしまうとなれば、いくら防御力が高くとも搭載を躊躇するだろう。使いこなすダンが変態の域なのだ。

 

しかし逆に考えてみるならば……“機動力を気にしないですむ超重量級の機動兵器であれば、搭載する意味がある”。

ベヒモス改。よくよく考えなくともそんな厄介なシステムを搭載するには、うってつけの機体であった。


「バリアフィールドの類に頼る防御は好かんのだがね、貴公相手にそのような緩い考えは通じまいよ。爾来 弦」

「なくても通じてたとは思えへんけどな。まあ……」

 

ゆらりとゲンカイザーが構えを取った。軽く腰を落し右腕を引く、正拳突きに似た構え。


「どちらにしろ、ぶち抜かにゃあ勝ちはおぼつかんよな」

「然り。だが小生そう容易く打ち抜けるものではないぞ?」

「できなきゃ負ける、できれば勝ちや。それだけのことやろ?」

 

ふ、と互いに頬が緩む。心地よいやり取り。打てば響くとはこういう事だろう。

得難い好敵手だと、同じ事を思う。もし立場が違えば無二の友になっていたかも知れない。


「ケリをつけ、互いに生き残っていたらば酒でも酌み交わすか」

「それはええな、悪くない」

 

にい、と笑みが深まる。


「譲らぬよ」

「押し通るで」

 

大気を打ち衝撃が奔る。

二体の機動兵器から莫大なエネルギーが放たれ、天を突く。

それは惑星全土を覆い尽くすかと思われるほどの規模で展開した後、徐々に集約していく。

 

ベヒモスは天に向かって高々と右腕を伸ばしている。その腕を中心に重力波が渦を巻き、やがて巨大な螺旋錘の形状へと形成されてゆく。

グラヴィトン・ドリル。以前より遙かに規模と威力を増したそれが真っ向から突きつけられる。

 

ゲンカイザーは正拳を構えたまま。その機体から放たれるエネルギーが消失しているのかと思わせるような速度で右の掌に集約していく。

対城塞級必滅技、神砕。ただの一撃にて山河を砕き尽くすそれを手に、引き絞られたユニのごとく構える。

 

不自然なまでの静寂が満ちた。大気は震え、大地が鳴動しているのにそれが感じ取られない。緊張感。極限まで高まったそれが、周囲の状況を感じさせないのだ。

ぎりぎりまでコップに水が満たされたように、張りつめている。それはわずかな、ほんの僅かなきっかけで均衡を崩し溢れ出るだろう。

 

そしてそれは、唐突に起こった。

 

ほんの僅かな、砂塵。複雑に絡み合った気流に乗ったそれは、対峙する二体の間に割り込む。

互いの姿が霞んだ。

 

踏み込みは、同時。

 

ゼンカイザーは一歩目から全速。数百メートル近い距離を二歩目で埋める。

 

ベヒモスが刻むのはただ一歩。大地をふみ割りながら全身全霊を込めて螺旋錘を叩き込む。

 

真っ向からの、激突。

 

大気を揺るがす衝撃波が、爆発を起こした。大地が一瞬にしてひび割れ、陥没の後隆起する。

彼方で活動を休止していた火山が鳴動を始める。地面の底からも何やら不気味な振動が響いてきた。そんな中で二体は。

 

彫像のように拳を突き出した形で動きを止めていた。

拳を止めたのではない。“互いに全力で押し込もうとして動かない”のだ。

 

ベヒモスが叩き込んだグラヴィトン・ドリルは、最大出力で旋回し全てを飲み込み砕こうとしている。その先端、ゲンカイザーの掌の中。ほんの僅かな、針の先ほどの輝きが莫大な質量を完全に押さえ込んでいる。

威力は、互角。共に山河を砕き宙を裂く必滅の技だ。いわば最強の矛が切っ先から真正面でぶつかり合っているようなもの。であるならばこの先に待ち受ける結果は二つ。

一つは千日手。延々と切っ先を付き合わせているか、あるいは。

 

共に砕けるか。


『おおおおおおおおおおおおおお!!』

 

二匹の咆吼。それに答えるかのように、機体は極限まで出力を上げる。

 

ぎしり。何かが軋むような音が響いた。

 

均衡を保っていたエネルギーのぶつかり合い、その空間が一瞬揺らめいて。

二つの技が砕け、弾け飛ぶ。

 

結果発生したエネルギーの放出は、空間を歪めるほどの衝撃波を周囲に撒き散らす。

 

衝撃波に吹き飛ばされようとする機体を制しながら、弦は見た。同じように踏ん張るベヒモス。その右腕の先には。

 

神砕の輝きと共に消失したはずのグラヴィトン・ドリル。だがそこには、二回りほど規模を小さくはしていたが、確かに黒い螺旋錘が存在している!


「二重展開、やて!?」

 

そう、目の前の敵は、ヴェンヴェ・ケヴェンという男は。


ただでさえ制御の難しいグラヴィトン・ドリルを二つ同時に展開し、それを重ね合わせるという離れ技をやってのけたのだ。


「さすがに二つ同時に砕くのは無理があったか。纏めて消し飛ばされるのではないかと肝を冷やしたわ」

 

ぬたりとヴェンヴェは嗤う。

対峙していた二体の態勢は共に崩れていた。しかし、重量の重いベヒモスのほうが、崩れが小さい。わずかな差だが、先手を取るには十分。


「ぬううおおおお!」

 

再びの踏み込み。完全に体勢を崩した状態でそれに反応できた弦も、やはり並大抵ではない。

神砕を放とうとしていた右手。とっさにそこへと気を集中しグラヴィトン・ドリルを受け止める。山をも砕く大質量は、確かに止められた。

 

だが。


「さすが。しかし真っ向から受け止めるのは愚策ぞ!」

 

螺旋錘が回転の勢いを増す。威力と同時に質量も加速度的に増していく。 そんなものをいつまでも留めておけるはずはない。


「が、ああああ!」

 

弦が苦悶の声を上げる。ゲンカイザーに搭載されたリンゲージドライブは、バンカイザーのものと違いパイロットに対するフィードバックを最小限に抑えるよう調整してある。しかしだからといってフィードバックが完全に0になるわけではない。ダメージを受け続ければそれは苦痛となってパイロットの身体を蝕む。

歯を食いしばって耐える弦。その行動に対しヴェンヴェは訝しげな表情を浮かべるが、その思考が疑問となる前に。

 

ゲンカイザーの手からスパークが奔る。

 

腰が落ちた。片膝をつきそうになる。まさかもう、限界が近いというのか。信じられない思いで目を見開くヴェンヴェの視線の先で。

 

ゲンカイザーの右手が、粉々に砕けた。

 

 









戦場を奔る二つの影。

白銀と黒鉄、二つは残像を残しながら入れ替わり立ち替わり縦横無尽に戦場を駆けめぐる。

 

ブレードカイザーとブリッドカイザー、アルカイザーをベースに留之姉妹のためだけに制作されたそれは、二人の従者の力を最大限に引き出す。そのスペックは改装されたTEIOWにも迫るものであった。


「よい反応です、これならば」

「存分に我らが主のお役に立てよう」

 

まるで独り言のように言葉を交わしながら、彼女らは淡々と目の前の敵を屠ってゆく。そのコンビネーションは、双子だと言うことを考えても息が合いすぎている。まるで一つの生き物のように。


事実彼女たちは、いや、“留之という姓を持つ天地堂直属の侍女達は、同一人物と言っても過言ではない”。

 

個体レベルの僅かな差異はあれども、彼女らの思考、精神は常に同調している。一つの人格が複数の体を使っているようなものだ。やいばとはずみを見ればそれぞれ得意な技術や戦闘能力があるように見えるが、実際は全員が全く同じスペックを持っている。わざわざ違いを持たせているのは状況対応能力を高めるためだ。

“留之シリーズ”は、元々が蘭という最高傑作を生み出すためのプロトタイプデザインチャイルドであり、ゆえに数多のデータを収集、統括する必要性があった。だからこその同調、統一制御を行うためにこのような機能を持たされているのだ。はずみとやいばはその最終ロット。もっとも完成品である蘭に近く、それ故に彼女に何かあったとき代理を務める役目を持たされている。天地堂 蘭という“統括指揮システム”のサポート及びバックアップ。そのためだけに存在する予備パーツ。

 

……の、はずだったのだが、最近になって――正確には八戸出 萬という人間と接触するようになってから、状況が変わりつつある。

本来であれば彼女らが持つはずはなかった、“個体レベルでの確かな個性”。二人にそれが発現しだしたのだ。

 

天地堂の担当者達はまず最初に驚き、そして納得を得た。あのしっちゃかめっちゃかな小僧が関わってきたのであればいたしかたがない、と。もうその時にはすでに、天地堂は方針を大幅に変えつつあったのだ。問題の小僧のおかげで。

 

ゆえに本来であれば再調整を受けさせるはずが、結局の所自然に任せるままになっている。そもそもメインである蘭が大幅に予定から外れ、自ら生体強化を行うなど暴挙に近いことをやらかしているのだから最早今更の話だった。


彼女らは変わりつつある。その本質は元の形を維持しつつ、それでいて人としての意志を持った何かに。

 

以前のような能面のごとき笑みではなく、心の底から、“誰か”のために戦える事を誇りに思う笑みを浮かべた彼女らは、舞い踊りながら言葉を紡ぐ。


「さて、試し斬りもこの辺りと言うことで」

「そろそろ本番と行きますかな」

 

笑みが消え、瞳に力強い光が点る。


「右翼大隊総員!」

「左翼大隊総員!」

 

それぞれ力強く呼びかける。その表情はすでに指揮官のそれだ。


『これよりミッションは次の段階に移行する! “バーストモードの使用を許可”、各員攻勢に移れ!』











「いよっしゃあ、待ってたぜえ!」

 

乱戦の中歓喜の声が上がる。

声の主はかつて不良小隊と呼ばれていた問題児軍団の小隊長。地味な戦いにイラツキを隠せないでいた彼女は、この瞬間を待ちかねていた。


「くくく、折角の選抜だってのに地味な仕事で飽き飽きしてたんだ。暴れさせて貰おうか」

「考えなしってのはやめてくれアタシも乗ってんだから」

 

不穏な空気を醸し出す相方に対し、小隊時代からの女房役――かつての副隊長は溜息混じりに言う。

そんな彼女を小隊長は豪快に笑い飛ばした。


「はっ、そもそも大博打なこの状況でせこせこ考えたって仕方ないだろう? 賽は振られたんだ、後は死力を尽くすのみってヤツさ!」

「そういうのと考えなしとはちがうっての。……まあどのみち、躊躇している場合じゃないのは確かだけど」

 

モニターとレーダーを埋め尽くす敵影を前に、彼女らは視線を鋭くして真剣な表情を浮かべる。


「んじゃいこうか相棒! 全セーフティ解除、オールパワーフルドライブ!」

「あいよっ! コードアウェイク、バーストモードコンタクト!」

 

一瞬で機体各部の装甲が解放され、炎が吹き出す。

120機を超える鬼神が、一斉にその本来の姿を現わした。

 

ノーマルモードより数倍の速度と威をもって一斉に飛び出す。狙いは敵艦隊。叢雲のごとき機動兵器を蹴散らし一気に襲い掛かる。

バーストモードを使用しての艦隊強襲。戦力差をひっくり返すとまではいかないが、それは確実に脅威となって敵陣に降り注ぐ。なにしろそもそもが要塞艦クラスの戦闘能力を持つ機動兵器だ。その上で機動力は同クラスの兵器を遙かに上回り、その打撃力は艦隊に致命的なダメージを与える。対艦戦闘に置いてこれ程の脅威はない。

確実な決め手とは言えない。だがこの策により、数の優位にて押し切れると信じ切っていた者達に動揺が生まれたのも確かであった。











一割は食われる。ダンは冷静に艦隊の消耗率を推測していた。

さすがはGOTUIだ。なかなかの戦力と単純ながら効果的な策を用いてくる。しかし――


「――まだ勝敗が揺らぐほどではない、か」

 

確かにこちらの損耗率は上がっている。だがそれも敵と比較すれば同等。同じ消耗率ならば力尽きるのは向こうが先だ。焼け石に水とまでは言わないが、決定打にはならないだろう。

さあどうする。まだ敗北は見えないぞとダンは嗤う。

 

黒き魔神はまだ動かない。


 









その一瞬。ほんの僅かな刹那の時間。それはヴェンヴェ・ケヴェンの人生において最も長い一瞬であった。

 

グラヴィトン・ドリルは、確かにゲンカイザーの右手を砕いた。沈み込む機体。そして――

 

右腕の先から一つ一つエナジーアーマーが砕けていき、白亜の装甲に亀裂が入っていく。

 

それだけならば。それだけであるならば。己は勝利したのだと思いこむこともできただろう。

だが。


「機体の、機体が、“脱力する”!?」


全力で突き込みを入れたベヒモス。その機体から力が吸い出されていくかのようだ。超重量級の機体が動力を失ったように揺らぎ、前のめりになろうとする。異常はそれだけではない。グラヴィトン・ドリルが、超密度の重力攻撃が。

 

“寄り合わせた組紐を解きほぐすように分解されてゆく”!

 

理解が追い付かない。ただ受け止めるのはおかしいとは思ったが、せいぜいが弾き飛ばすか受け流すか、そのくらいはするだろうとしか予想していなかった。まるで吸い込むかのようにこちらの技を分解するなどと――


「――まさか」

 

まさか本当に、“技を吸収しているとでも言うのか”!?

 

そう、ヴェンヴェの想像はほぼ正解に近い。

 

どれほど強力であっても。どれほど常識外であっても。

グラヴィトン・ドリルは、ヴェンヴェの技は。

 

“物理的な威を持つ攻撃でしかない”。


その威力を全て、“己の身体を伝導体として飲み込むことができれば”。

 

脱力したのは力尽きたからではない、全ての衝撃を吸収せんがため。エナジーアーマーが砕けたのは、吸収した威を増幅すると同時に、機体そのものに浸透するダメージを和らげるためにエネルギーを変換したがゆえ。それでもなお、装甲に亀裂が入りフレームが歪むほどの威が浸透する。


それを堪える。堪えて誘導する。右腕から順に威力が浸透していくと同時にその進路上にあるエナジーアーマーが砕け、亀裂が広がりオイルが噴き出す。余すことなく伝えられ、増幅される威は、左腕に集中していく。


さらに機体から、弦本人が放たれる気が。地脈より吸収される気が、上乗せされ重なる。

両足が捻り込むように踏まれ大地が陥没する。両足を捻る踏み込みにより物理的な破壊力の発生。さらに両足の重力制御装置から発する重力波がその威を増強し、螺旋を描いて左腕へと駆け上る。

 

全てが一つへ寄り合わされる。結果左の掌に生じるのは、素粒子よりも小さく、太陽よりまばゆい輝きを放つ力の塊!


「因果応報にて、威を食らい威を持って返す、遡る一手――」

 

引き延ばされた時間の中、聞こえるはずのない声が確かにヴェンヴェの耳に届いた。


「――【応遡】」

 

静かにするりと、その一撃は体勢の崩れたベヒモスの正中線、鳩尾のあたりに入る。


「……見事」

 

ヴェンヴェは敗北を悟った。


 









たった二人しか居ない火星の大地の上で、地軸を揺るがしかねないほどの閃光が立ち上る。


 









新たに生じたクレーターは、地殻を抉りマントル層まで達しようとしていた。

熔けた大地が熱を帯びる、地獄のような光景。その中に立っている影は一つ。

 

装甲が砕け、全身から血のようにオイルを噴き出しながら構えを解くのはゲンカイザー。機体の各所から放電し蒸気を噴き出すその姿は満身創痍。立っているだけでも奇跡に近い。


「我ながら……無茶、したのお……」

 

呟く弦の口から、血の塊が吹き出る。それだけではなく鼻から、耳から、全身の穴という穴から流血していた。各部の毛細血管が破裂したのだ。


敵の一撃、その衝撃と破壊力を片手で受け、自身の肉体を伝導体および増幅器として用い、己の全力を上乗せして叩き返す技、応遡。物理攻撃であるならば、いかような技に対しても有効な究極のカウンターといっても過言ではない。その破壊力は隔絶空間障壁など容易くぶち抜き、ベヒモスの胴体中央に大穴を開け余波で地殻をえぐるほどの威力を見せつけた。


しかしその代償は大きい。山脈を砕くほどの破壊力、それをまるごと受け入れ制御したのだ。無事ですむはずがない。その衝撃はコクピットの弦にも当然ながら伝わっている。さらにリンゲージドライブのフィードバックが、機体に浸透したダメージを幻痛として送り込んでくる。さしものの弦も、相当に堪えているようであった。


「萬のヤツ……こないなダメージに耐えとったんか。生身やったら内臓破裂モンやでコレ」

 

荒い息を吐きながら、霞む視線を前に向ける。

彼方の大地には、大の字になって倒れたベヒモス。胴体に大穴を穿たれ四肢を砕かれた巌の鬼神は完全に機能を停止している。もちろん、コクピットは綺麗さっぱり消失。パイロットが生き残っているはずは、ない。

 

だがなぜか、その機体からどこかしら満足げな気配が放たれているような、そんな気が、少しだけした。


「たいs……だいjy…………再起動…………自己再………………」

 

ダメージによりシャットダウンしていたハーミットが自我を取り戻したのか。口うるさく騒ぎ立て始める彼女の声を心地よいと感じながら、弦は微かな笑みを浮かべて呟くように告げた。


「悪い……しばらく、寝るわ。……ちょっとだけ……や…………さかい、な…………」

 

ゆっくりとシートに身を預け、首が項垂れる。

脱力した腕が、ぶらりとシートの脇に垂れ下がった。











次回予告っ!






誰の目にも止まらぬ場所で、闇と刃が静かに交錯する。

心持つ闇と心持つ刃。生き残るのは果たして。

そしてついに天秤の傾きは確定する。

その時下される決断は。

次回希想天鎧Sバンカイザー第十二話『争乱 終息』に、フルコンタクトっ!








地球側の勝ち星一つ、確定。


なんとなく段々ハードルが上がっているような気がするが、がんばれ自分、負けるな自分。






今回推奨戦闘BGM『俺はとことん止まらない!!』

決着時『明鏡止水 されどこの掌は烈火の如く』


お約束。



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