消沈
帰りの馬車はあまり良い雰囲気ではなかった。
楽観的な計画に基づいて魔竜に挑んだ結果壊滅寸前まで追い込まれた。
それに俺も二人の救助を急いでいたため魔竜を全部砂にしてしまった。
何かトロフィーになるものが採取できたわけでもない。
「まあ、なんだ。あの竜は俺たちの力では倒せなかった。結局あんたの力を借りるハメになった。だから何も手に入らなくてよかったのさ。」
リーダーはそう言っていたが、さぞ悔しかったのだろう。唇には血が滲んでいる。
「俺たちは力を過信しすぎていた。」
獣頭も呟いた。
「まだ遠いなぁ。」
青髪の魔術師もため息をつく。
「だが討伐以来は達成した。報酬は受け取りに行こう。」
リーダーは少し無理をしたような明るい声を出す。
「アリスたちも休ませないと。」
奥で震えている二人を見て褐色の女が言う。
「そうだな。」
リーダーの男は下を向く。
皆が静かになったので立ち上がる。
「俺はこの辺で降りる。」
「もう行くのか?飯行こうと思ってたのに。」
リーダーが残念そうに呟く。
「ちょっと野暮用でね。悪い。また二人が元気になったらどこかに食べに行こう。」
リーダーはすこし考え込んだがそのまま笑顔で見送ってくれた。
俺はそのまま馬車が見えなくなるまで見送って歩き出した。
この世界にいる間にやっておかなければならないことがある。




