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休日なので転生します  作者: 三坂酒美
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プロローグ

 俺の名前は吉坂英司。19歳の大学生だ。高校を卒業してなんとか大学生になり、これからは花の大学生生活。サークル、飲み会、合コン、学問と普通の人であれば言うだろう。部分的には俺も同じ気持ちだ。サークルにも入りたいし、女の子とも仲良くなりたい。将来のために勉強することも大切だ。だが、俺にとって大学生活とか就職、結婚、子育て、老後。そういったワードは俺にとっても問題ではあるが、今気にすべきことはそれじゃあない。入学式を終え諸手続きのためキャンパスに戻る。サークルや部活の勧誘をする上級生が大勢活動している。俺もさっきテニスサークルとウクレレサークルのビラをもらった。そう。言い忘れていたが今日は入学式だ。サークルにとっても今が書き入れ時なのだ。建物の中に入る。「新入生はこちら」という張り紙を頼りに新入生のために整えられた講義室に入る。隣の席のぽっちゃりした茶髪の男がLINEを交換しようと言ってきたので交換して担当者の話が始まるまで談笑する。担当者の話をきいた後色々と書類をもらって履修登録の説明を受けてその日の入学式はお開きとなった。その後もサークルの勧誘は続いていたし、教職課程の志望者もさらにセミナーに行く必要があった。ぽっちゃり茶髪の男もサークルを見に行こうと誘ってくれたが断った。サークルも教職課程も興味はある。教師は学生が最も長く触れ合う社会人だ。そのあり方に少しでも興味を抱くことは当然だろう。

乗り換えアプリで帰りの電車に乗る。電車には俺と同じくキャンパスライフ初日を早々と切り上げたのであろう不自然なスーツと革靴姿の同期たちがまばらに席を埋めている。友達がいないと大学生活は苦労するときいたことがある。俺もそうだが彼らは大丈夫なのだろうかと考える。

家に着くとスーツを脱いでいつもの部屋着に着替える。LINEを開くと一人友達が増えている。あのぽっちゃり茶髪はカイトって言うのか。彼は今頃どこかのサークルに入っているのか、それとももう帰ったのか。入学式は大勢友達を作るべきだということはわかっているし、今のうちにさまざまな活動を始めた方がいいこともわかっている。だが、俺はそれをしなかった。逆張りとか友達がいない奴の負け惜しみとかではない。訳あってできないのだ。頑張れば可能かもしれないが、生憎俺にそんな体力はない。なぜなのか、説明してやりたいがもうすぐ今日が終わる。大丈夫、明日になれば分かる。


 おはよう。さっきとは違う天井で目が覚める。

「起きた起きた。おはよう。」扉を少し開けてこっちを覗いていた女が挨拶する。ちなみに彼女は母親とか姉妹ではない。俺はベッドから起きると西洋風建築の扉を開けテーブルを囲む六人の男女と人外を見て「おはよう。」と挨拶すると皆が快く挨拶を返してくれた。

「エイジ、今回は長かったな。」赤髪の快活な青年が俺に向かって言う。

「ちょっとイベントがあったからね。でも今週は一週間くらいここにいれるよ。」

「それはよかった。丁度昨日討伐計画を作ったんだ。お前も目を通しておいてくれ。」そう言って厚くてゴワゴワした紙を渡される。」

「もうあの龍を倒しに行くのか?まだ早いんじゃないか?」

「今回はお前だっているし、みんなも訓練はバッチリだ。」

「そうか。じゃあ明日出発だな。あと、いつものだれかやってくれないか?」全員を見回すと、青い髪の少女が手を挙げた。

「じゃあお世話頼むぜ。」みんながそう言って青髪の少女以外が外に出る。部屋には俺と彼女の二人っきりだ。そして少女は俺の隣に座る。勘違いしないでほしいが、別にいやらしいことをするわけではない。一週間眠っていた俺に、眠っていた間の出来事やチームの人間関係の変化、留意しておく点などの説明を受ける。一通り説明を受けると、さっき彼らが置いていった計画書に目を通す。多少ハードだが俺がサポートすれば十分達成可能な内容だ。ヒエロ山に住む魔竜は4月から6月になると山に現れ、その魔力によって雨雲を歪めてしまうため、丁度主食である麦の作付けの時期に雨が降らず十分に収穫ができなくなるのだ。毎年討伐隊が組織されるのだが、はるか上にある雲すらも歪める魔力を持つ魔竜には太刀打ちできず、結果的に俺たちが呼ばれることとなった。先週最後に計画書を作っておいて来週見せるようにと言って眠りについた。良い出来だ。俺がいることを前提の計画なのが惜しいところだが、俺がいる以上十分よくできた計画だ。

ちなみに言っておくが、これは夢でもオンラインゲームの世界ではない。紛れも無い異世界だ。俺は特殊な体質をしている。

休みの日に異世界に転移してしまうのだ。

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