JEWELRYs LAW
ここはマフィアが運営しているカジノの一つ
そこに1人の男が現れた。
20代半ばのビジネスマンと言ったところだろうか、まるで平和主義であると言わんばかりのその笑みは少しばかりの不気味さをだしていた。
受付を済ませ中に入ると、カジノ内の警備たちがざわつきはじめていた。
何かあったのだろう。男は気にすることなく歩き始め、1人の少女に話しかけた。
「初めまして、マドモアゼル。私はルビーと申します。一緒にあちらの席でお話でもどうですか?」
「なによ、わたしがボスの娘だと知って話しかけているわけ?」
「もちろんですとも。貴女がこれからやろうとしていることもね。わたしはその件についてお話がしたいのです。」
「なるほど。ええ、いいわ今準備するからVIPルームで待っていてくれる?」
「わかりました。」
ルビーを名乗る男はVIPルームへ案内され、少女を待つことにした。
少女は、気づいていたのだ、男が殺し屋だと言うことに。少女はマフィアボスの娘、そのため殺し屋についてもかなり詳しかった。
少女は一目散にマフィアの事務所へ向かった。
「どうされたのですか?お嬢さま。」
構成員の問いかけも無視し、逃げるために自分の荷物をまとめる。
「いい!男が来たら足止めして!」
「どの男でしょうか?」
「今VIPルームにいる男よ!」
そう言い放ち少女は部屋の奥へ移動し、空調兼脱出用のダクトへと入った。
一方ルビーはVIPで警備に話しかけていた。
「なんだか騒がしいけど何があったんだい?」
「お前には関係ないだろう。」
「教えてくれてもいいじゃないか」
そう言うと男は懐の札束をチラつかせた。
「実は先程事務所に侵入した者がいたらしい。」
「らしい?ここの警備は厳重だって有名じゃないか。」
「その厳重な警備を潜り抜けて拉致してた人間を2名ほど逃してしまったんだ。」
「なるほど、先客がいたわけか。」
「先客だと?どう言う意味だ?」
「もう充分。聞けてよかったよ。」
男はあっさりと警備員を殺しVIPルームを出た。同時にカジノ内に警報が流れる。
「勘のいい女だ。殺すのがもったいないよ。」
少女が逃げようとしていることを察し、ルビーは強硬手段に出た。
VIPルームに集まる警備隊
「コンタクト!撃て!!」
ルビーは超人的な身のこなしで銃弾を避け、すでで警備隊を殺していく。
ある者は心臓を貫かれ、ある者は首を折られ、ある者は顔面が陥没するほどのキックをくらった。
返り血を浴びたまま事務所へと向かう。
強化ガラスでできた分厚い扉を蹴り5回で破壊し、先程少女に時間稼ぎを頼まれた構成員とタイマンを張る。
「お前はなに者だ?どこの組に頼まれた?」
「内緒だよ笑君少しは強いのかなここの警備は手応えがなさすぎてがっかりだよ。」
「どうかな。」
構成員は思った。弾幕を素手で乗り切り、強化ガラスを蹴りだけで破壊する男に勝てる見込みなど微塵もない。ならば自らの命を引き換えにこの男を殺すしかないと。腰にまかれたありったけの爆弾を奴が近づいてきたと同時に起爆する。これが彼に残された唯一の手段であった。
案の定、男は超人的な速度で近づいてきた。
好機と見るやいなや構成員はなんの躊躇いもなく起爆ボタン押した。
爆発の威力は凄まじく、頑丈な壁や強化ガラスは糸も簡単に粉々になり。カジノの外にも爆発音が轟いていた。
すでに構成員の影も形もない。しかし男は服が多少焦げる程度だった。
起爆スイッチが押される直前にとんでもない跳躍力で後ろに飛び物陰に隠れた。流石のあの威力の爆発を直で喰らってしまえば、構成員同様木端微塵だっただろう。
「あぶないなぁ」
そんなセリフを吐きながらもサファイアは未だに笑顔を崩さなかった。そして考察に入る。
事務所内で起爆したと言うことはターゲットはこの場にはもういないということだろう。
ならば、どこから出て行ったのか。事前に調べた限りでは逃げ道などなかったはずだ。
構成員が自爆した場所へ戻ると、上の方からカタン、コトンと音が聞こえた。目を凝らしてみると先ほどまで壁で隠れていたダクトが露出していた。
「みつけた」
10メートルほどの高さにあるダクトへ一気に跳び、入って行った。
少女の目の前には光が刺していた。ダクトの出口が見えてきたのだ。
「もう少し」
ダクトは隠しガレージへ繋がっており、脱出用の車が置かれている。はずだった。
「どうして車がないの?!」
少女は思い出した。先程侵入者がいたことを。
侵入者はダクトを通りこのガレージにつき車を使って逃走したのだ。
絶望し腰から崩れ落ちる少女。
「やっと追いついた」
後ろにはすでにルビーが立っていた。
「へぇ、こんなところに繋がっていたんだ。でも逃げられないみたいだね。」
「私を殺すの?」
「それが依頼だからね。」
「わかったお金をあげる、貴女を雇うわそれなら問題ないでしょ?!」
「信頼問題に関わるからできないなぁ、少女を襲う趣味もないし、さ・よ・う・な・ら。」
ブロロロ…
襲いかかる瞬間、ガレージのシャッターが上がりはじめた。
すると見えたのはここのガレージに止めてあった車だった。先程の侵入者が車を返しに戻ってきたのだ。
車から降りた侵入者はルビーに向かって発砲した。殺し屋はその銃弾を軽く避けたのだが、跳弾が避けた先へと跳ね、頬を掠めた。
「久しぶりだな、また派手にやってるな。」
「先客は君だったか、流石ステルス主義のタンザナイトだ警備員たちもあたふたしてたよ。ちなみにだけど、この爆発は警備員の自爆だから俺のせいにしないでくれる?」
「原因はお前だろ、まぁいい、俺が戻っきた理由はボスの娘の拉致だ。その子を譲ってくれないか?
「無理だね、力づくで奪ってみたらどうだ、、い……」
ルビーは力が抜けるように地面に倒れた。
「さっきの銃弾に塗って置いたんだよ。お前でも効くように強力なやつをな、多分すぐに目覚めるだろ。」
「く……そ………。zzz」
タンザナイトは少女に近寄り手を差し伸べた。
「え、私助かったの?」
「君もおやすみ。」
反対の手に隠し持っていたスプレーで少女は眠りについた。
「とりあえず任務完了。」
タンザナイトはボスの娘を車に乗せると受け渡し地点へ車を走りはじめた。
誤字脱字アドバイスなどよろしくお願いします。