なんか続けてみた4
先程から言い争っている浅間と漣伽。始めに会ったときは仲良くなれるのかと思っていたが、そう言えば侵入してた。人の家に無断で侵入していて仲良くなれるかと言われたら厳しいな確かに。でも、悪いのって漣伽だよね。勝手に侵入していた漣伽がなんで始めに挑発していたのかな。
「いつまでやってるんだ?もうそろそろ一時間たつんだが」
「なんで侵入してきた奴を許すの?喧嘩してはいけないなら、ほら成仏させてあげる」
「本当そんな簡単に成仏すると思っているの?未練がわかってないのに成仏する気はないよ」
いつまでやってる気だ本当に。さっきから売り言葉に買い言葉で止まるつもりないだろ。もう暗くなってから時間経ってるから、そろそろ警察に補導されそうなんだけど二人の身長的に。
だからちょっと無理矢理になるけど、まあいいよね。せっかく『公共機関』の人物から許可のようなものを得たのに、無駄になったら困る。
「ゲームの時間が減るから速く止めろ。黄泉の国の使者を喚ぶこともできるからな」
よし、止まった。本当にここで喚ぶことになったら逆に困るんだけどな。
「ごめんなさい」
「ごめんね」
「もうかなり暗いけど、浅間はどこに行く気なんだ?」
そう言うと、浅間は申し訳なさそうに言う。
「ごめんなさい。元々一時間くらいしか時間あいてなかったの。次いつ空くかわからなくて」
となると、吸血鬼だとするなら次空くのは十年後とか言う可能性があったと。いいのかな、久しぶりの休暇が言い争いになって。
「幽霊だったらいつでも会えるし、九十九は友達だから。友達が近くにいるだけで楽しい」
その時、少しの間黙っていた幽霊こと漣伽が入ってくる。もう少し黙っていても良かったんだけど。
「なら私とも友達ね!だって喧嘩する程仲がいいって言われるでしょ?」
そんな使い方だっけか、その諺。浅間が驚いて固まってるよ。
「いいの?気に入らないから挑発してきたんじゃなかったの?」
「あれはその場のノリ。別に気に入らなかったからじゃないんだよ」
悪びれもせず言うことかそれ。なんでそんな自慢気に言うかな。固まっていたのは単に友達と言われたことだったのか。
そんなことがあったが浅間とは別れて暗い中家に帰る。途中、住宅街を抜けるのだがここでもまた少し『公共機関』と関わることとなった。
なんでここに『公共機関』所属の陽月がいるんでしょうかね。また迷子か、この人。
『公共機関』に所属する陽月はあのメンバー四人入る中唯一の戦闘できる人物だ。だが戦闘ができる代償か地図と現在地を照らし合わせることができない。巡回を仕事としていて週に一度は人に聞いているという噂もたっているくらいだ。あと有名なのが殺人ができないというものか。
閑話休題
漣伽も誰かいることに気づいたのだろう、陽月の方を見つめて何かに気づいて後退りをする。
「え?なんで」
本人も何で後退りをしているのか分かっていないのか疑問の声をあげる。
そう言えば昨日、苦手としている人物がいると言っていたな。もしかして陽月のことか。
「苦手としている人物ってあいつなのか?」
「そ、そのよう」
漣伽も誰のことが苦手か分かっていた訳ではないらしく困惑しながら答えてくる。陽月は人がいることに気づいたのかボク達の方に向かってくる。
「話したくはないんだけど」
「その調子で普通に話せると言ってきた方のが驚く」
ボク達が気づいた後に気づく『公共機関』の戦闘職ってどうなんだろう。正直信用できなくなりそうなんだけど戦力として。
「ねえ、ごめん。ここがどこか教えてくれない?」
動きやすい洋服を来た夜空に紛れるような髪をした女性だった。見る限り武器に相当しそうなものは持っておらずにいる。
申し訳なさそうな顔をして口調もそうだからただ道に迷ったのだろう。噂が真実だと言うことは知っていたが改めて見るとやっぱり大丈夫かなこの地域。
「ここは喫茶店『******』から十分くらい歩いた住宅街です。近づかれると友達が貴女のことを苦手としているらしくて離れてくれませんか?」
それを聞いて漣伽の様子に気づいたのだろう。首を傾げつつその場に止まり漣伽を観察しているようだ。漣伽のことが見えるとは思ってなかったが、正直にいうと。
「う~ん、初対面だと思うんだけど。こんなに可愛い見た目した子は覚えてないなんてことないと思うんだけどな」
大人としてどうなんだその発言。そして、初対面か。どちらも初対面なんてことあるのか、普通出会ってないと苦手になるとかはないと思うんだが。
「初対面なんですか?」
「だと思うよ。似た顔の人は見たことあるけど幽霊だし」
ちょっとまて、漣伽も幽霊だぞ。まさかこの人幽霊だと気づいてないのか、半透明なのに。
「幽霊だからね!私は」
「嘘でしょ?だって半透明じゃないよ、幽霊なら半透明じゃないと」
漣伽が半透明に見えてないと。確かに幽霊かそうでないかの区別って半透明かどうかで決めるけどさ。花柳は気づいていたのに。
「ま、まあ。道はありがとう、助かったよ。速く帰りなよ?万が一にでも襲われたとかは家族とか友達も困るからね」
そういい、その場を離れる陽月。
部屋に戻り二人して溜息を吐く。
「なんか何もしていないはずなのに疲れた」
「なんで苦手としてるのか分からないのは困る」