どうやら俺は妹がいないとダメらしい
寒くなったのでお身体に気を付けて下さい。
「修史っ!起きろ!朝だぞ!」
「…んー?」
朝が来たらしい。
腰の辺りに重みと柔らかな感触を感じつつ、寝ぼけ眼を擦り目をあける。
「おっ!起きたか?おはよー!」
「ん、おはよう愛奈」
目の前に愛奈がいた。
俺の上にまたがり、顔を覗き込んでいる。
バスローブの隙間から綺麗な桜色の……何でもない。
「ご飯食べようぜ、母さんが準備出来たって」
「そうなんだ。悪いね、ありがと」
「全然いいよ。ってかお礼は母さんに言いな」
「…だな。了解。」
五時間ほど寝れただろうか?
直ぐに頭が起きた。
朝食を用意して貰ったみたいなので、起こしてくれた愛奈の頭を撫でてから、着替えを済ませる。
「しゅ、修史!あたいがいるんだから…その…もう少し恥じらいを…」
「ははっ、恥じらい…か」
顔を赤くしつつもガッツリ見といて何を言ってるのだか。
というか、恥じらいが必要なのは愛奈の方だろう?
えっ?必要ない?
こんな体型見られても大丈夫?
はははっ。
何を言ってるんだ。
男は皆、愛奈みたいな体型が好きなんだぞ。
「こんな幼児体型に興奮するのは修史だけだぞ」
……。
さいですか。
「まっ、そのおかげであたいは修史と結ばれたから…嬉しかったけどな!」
ニシシッと笑う愛奈を可愛いなと感じつつ、俺はもしかしたらロリコンの素質があるかも知れないと思った。
愛奈に起こされた後、愛奈のお母さんを含め三人で朝食を済ませた。
気まずい顔をしていたのは俺だけだった。
愛奈のお母さんは俺をニヤニヤしながら見つめてきたので、うっとおしかっ…何でもない。
「お邪魔しました!お世話になりました」
「またな、修史!いつでも来いよ!」
「いつでもいらしてくださいね!邪魔はしませんから」
若干苦笑いをしつつ、愛奈の家を後にした。
ピョンピョン飛びはねつつ、俺が見えなくなるまで愛奈は手を振ってくれていた。
ー
「ただいまー」
「…もう、遅いよ!お兄ちゃん!…お帰りなさい!」
妹の芽亜が出迎えてくれた。
多少ぷんすかしているが、口元は嬉しいのかニマニマしている。
「…よしよし。相変わらず芽亜は可愛いなぁ!」
俺のお腹に顔を埋めて抱きついてくる芽亜の頭を撫でる。
昨夜俺がいなくて寂しい思いをさせた分は、きっちりと可愛がる。
だってまだ小学生だからね。
甘えたい年頃だし、愛情をたっぷり注がないと将来グレるかもしれないしね。
あっ、でもグレた妹から浴びせられる罵倒も、なかなか気持ちよさそ…何でもない。
妹とだらだら過ごしていたら、いつの間にかお昼の時間になっていた。
ご飯を作ってあげて、一緒に食べた。
その後、ソファーに座ってスマホをいじいじしていたら、妹が「構って!」と言わんばかりに膝の上に座ってきた。
その行動を可愛く思い、脇腹をくすぐって笑わしたり、妹の頭に顎を乗せてのほほんと脱力した。
…ん?何だろう?この既視感は。
…あっ、このサイズ感が愛奈に似てるのかな。
…。
愛奈…昨日…凄かったなぁ。
そうそう…このくらいの…小さな体で…。
「キャッ!もう!お兄ちゃん、くすぐったいよー!」
「おおっと、ごめんごめん」
感覚が似ていたので昨夜の事を思いだしてしまった。
妹に軽いセクハラをしたことを謝る。
…。
愛奈と芽亜、サイズが近いならギリギリいけ…。
「…?どうしたの?お兄ちゃん。何か考え事?」
「ああっ、いや!何でもないよ」
「そう?」
はははっ、危ない危ない。
最低な事を考えそうになってしまった。
落ち着け俺、芽亜は妹だし小学生だぞ。
いくら純愛してたとしても流石に手は出せない。
せいぜいチューくらいが限界だろう。
首に軽くキスをしてみた。
「えへへっ!」
頬っぺにキスを返された。
……くっ!
可愛い。
手を出し…。
「ふぅ。芽亜ー、お兄ちゃん動画作成したいから、部屋にしばらく籠るね」
「ええっー!もー、分かったけどー。終わったら呼んでよね!」
「もちろん」
何だか変な気分になってしまったので、妹には悪いが一人になることに決めた。
大切な妹に邪な感情を抱いてしまうなんて…今日の俺はらしくないと思う。←いつもは兄妹愛100%だよ?
膝の上に乗っている妹をそっと下ろし、動画部屋に向かった。
パソコンの前の椅子に座り、気分を切り替える。
一瞬、『右手も恋人作戦』を使おうか迷ったが、限界の来ないこの体では虚しさも大きくなると考え、止めておいた。
この体は本当に特殊だからね。
男なら分かると思うが、あの虚脱感が訪れた後に20秒もするとすぐに虚脱感が消え、その前の状態に戻ってしまうのだ。
虚脱感の後の敏感さや痛さも直ぐに消えてしまう。
良いことなのか悪いことなのか分からないが、虚脱感からの満足感に繋がらないため、どこか物足りない感じだ。
(まあ、恋人達を満足させれればいいや。深くは…考えない!)
俺は考える事を放棄して、パソコンの電源をつけた。
ー
「おおっ、再生数すげー」
ゲーム動画を録画した後、編集をする前に前回投稿した動画を確認した。
この前よりも再生数、登録者数共に伸びており、コメント数も増えていた。
「これは…生放送でもするか?」
つい、調子に乗ってしまった俺はそんな事を考えた。
勉強の出来が良かった時に「俺ってもしかして天才か?」と感じて高揚する、あの時の感覚に近かった。
直ぐに調子に乗る俺は、機材や音源などの確認をしてから生放送を始めた。
何も考えず適当だ。
勿論、顔出しはしない。
全部、俺をモチーフにしたキャラクターが、俺の表情と動作に合わせて動いてくれる。
うん、前の世界でいうVチュ◯バーだね。
「皆さんー!こんにちは!急ですがゲームの生配信していきたいと思いまーす!」
調子に乗っているのでテンション高めだ。
「ちょっ…無理!イヴェ◯カーナのしっぽ攻撃三連続は…ああっ!?」
ゲームしながらチャットとか読むのはきついので、最初の20分程はゲームに集中した。
視聴者をほったらかしにするという、普通では考えられない行動だ。
「クエストクリアっ!やったね!」
とりあえず一段落してからチャット等を確認する。
「ごめんねー、チャット読めなくて。えっとー、ん?何?この¥1000とかで囲われたチャットは?…えっ?もしかして貰えるの?」
いわゆるスーパーチャットと言うやつだろうか。
あっ、親切な人がチャットで教えてくれてる。
どうやらそうらしい。
…えっ?
¥1000とか¥500とか多いので¥10000とか、沢山あるんだけど。
あれ?お金ってこんなに簡単に手に入ったっけ?
沢山のチャットに¥の表示を見て、金銭感覚が狂いそうになった。
「み、皆ありがとう!すっごく嬉しいけど沢山有りすぎてちょっと読みきれないよ!待って一個ずつ読むから」
スーパーチャットのお金は全額きっちり貰えるのかなど、気にはなっているがそれよりも今はスパチャの処理を優先させる!
せっかく金と共に送ったチャットが、読まれなかったら悲しいからね。
急いで取り掛か…。
「って、ちょっと待って!みんなこれセクハラじゃないかな!」
読んで気付いた。
ゲームに関しての意見は少なく、「今日のパンツ何色?」とか「好きな体位は?」とか「いくら払えば…◯◯せてくれる?」とか何とも欲望に忠実な質問ばかりだった。
そういうチャットに限って値段が高かったりするのが少し笑えたけどね。
パンツの色くらいなら教えるが、その他は適当に受け流した。
教えたら教えたで写真を望まれたが、そんな事に答える訳がない。
代わりに応援メッセージにはしっかりと答えていった。
ー 30分後
「それじゃあ、本日はここまで!ご視聴ありがとうございました!またねー!」
……。
……ふぅ。
配信をしっかりと切った事を確認してから、椅子にぐだーっと寄りかかる。
「…疲れたー。楽しかったけど…お金も嬉しいけど…」
沢山の人に見てもらえて稼げたのはいいのだが、今後の為に対策が必要だと感じた。
「…プロフィール作ってネットに上げとこ。今日された質問に全部答えてやる」
ゲーム実況というよりは、質問責めにあっただけのように感じたので、ある程度の事はネット検索で分かるようにしておく。
今後はもう少し落ち着いて生配信をしたい。
そしてお金を沢山貰いたい。
男に飢える女性達の相手は大変だが、もっと頑張ろう思った。
ー
(さて…と。編集の再開でもするかな。…いや、でもちょっと疲れたから芽亜に癒されたい)
疲れた時は女の子の癒しがよく効く。
なので、妹の元へと向かった。
「お兄ちゃん、配信お疲れ様!…大変だったよね、あんなセクハラばっかり受けて」
妹も配信を見てくれていたらしい。
労ってくれた。
労いは嬉しいのだが、何故ちょっと怒っているのだろう?
「んー、特に大丈夫だったよー。普通に楽しかった」
「えっ…そうなの?あんな酷いコメントばかりで辛くなかった?」
「ん?全然。誹謗中傷じゃないし、ただ面白いなーって思っただけかな」
「……」
あれ?妹が驚いている。
…何故だ?
「…んー、ま、まあ…お兄ちゃんが楽しかったならいい…や。それなら…またやってね!楽しみにしてるから」
「おっけ!任せて。あっ…芽亜、ちょっと疲れたから甘えさせてくれない?」
「えっ!?う、うん!…いいよ!来て!」
少し疲れたからか、衝動的に芽亜に甘えたくなった。
なので、両腕を広げて待ち構える妹の胸に飛び込んだ。
同じ洗剤のはずなのに、相変わらずいい匂いがした。
小学生の女の子から感じられる、母性と癒しの力はとてつもないものだが、それに加えて芽亜には不思議な癒しの力がある気がした。
「…よしよし~…なんてね!それにしても、お兄ちゃんが甘えて来るなんて珍しいね!…何だか嬉しい…キャッ!ちょっとくすぐったいよー!」
芽亜のお腹に顔を埋めたりと、存分に堪能した。
疲れが抜けて体の一部が元気…じゃなくて体全体が元気になった。
(芽亜が可愛すぎて辛い。嫁になんていかずずっと側にいてくれよ!)
妹にスリスリしながら、俺の妹離れは一生出来そうに無いなと感じた。
次話は理沙とのお話。
R15作品で行けるとこまでは仲を深めます。
余談ですが、もうすぐクリスマスですね。
クリスマスといえば…サンタクロース!
サンタさんになってプレゼントを持って、沢山の子供の寝顔を見に行きたいですね。




