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早香の応援をしたらしい

コードギアス全話見てたら小説が…。

今週映画見るので、その後は投稿頻度上がりそうです。

芽亜の友達が来てから数日が経過した。


その数日間は、掃除をして過ごした。

今住んでいる家ではなく、前に一人暮らししていたアパートの掃除だ。


芽亜が寂しくないようにとアパートから出て、今住んでいる家に移動した訳なのだが、結局はずっと住み着いてしまっている。

……まあ、今さら芽亜と離れて暮らすなんて嫌だが。


アパートの代金は、俺の口座からまだ下りていたようで、郵便受けには俺宛の封筒やらチラシやら色々とたまっていた。

まだ、賃貸主は俺のようだ。


掃除をするために、鍵を開けてアパートの中に入ると、どんよりとした空気を感じた。

そして、俺の前の世界での生活をついつい思い出してしまった。


(懐かしいな…。そして…なんだか、せつない気持ちになる。)


疲れて帰って来て、自分のではない仕事をして……。

本当に思い返すと辛かった。


少しため息をつきたくなりつつ、部屋を見渡す。

ほこりの被ったパソコンを見ると、頭を抱えながらカタカタパソコンを弄っている、昔の自分の姿が見える気がする。

……あの頃の寂しさを思い出してしまい、少し涙が出た。


そんなほとんど変わらないこの部屋は、ほこりがたまっていた。

窓を開けて空気を入れ替えつつ、掃除をひたすら頑張った。


過去に思い入れがあるわけでは無いのだが、極力、昔の自分が使っていた物は捨てなかった。

いつか思い出に浸りたい日もくるかもしれないからね。

ちなみに仕事の関係の道具は全て消えていた。

…神様? の配慮だろうか?


まあ、そんな風にここ数日は部屋の掃除を頑張っていたのだ。

かなり綺麗になった。

これで、いつ女の子を連れ込んでも大丈夫だ!

……なんてね。

そんな相手なんて……。


ん?……あれ?

過去の自分に戻った気分になっていたので、一瞬だけ忘れていたが…今、俺には大切な恋人達がいる。

好きで好きでたまらない恋人達がいる!


勿論、俺は男なのであんなことやこんなことをしたい。


(今の俺には相手がいる…。しかし、家には芽亜がいるし、彼女の家に行っても誰かいる。というか、現れる。つまり…。)


……ここ、いい場所じゃないか!?

何に?とは言えないが。


そう、俺は気付いてしまったのだった。


ーー


そして現在、俺は何をしているのかというと陸上の大会の会場である、とても大きな陸上競技場に来ている。

早香の100メートル走の試合を見に来たのだ。


昨日の夜、早香とイチャラブ電話をしていたら、陸上大会の存在を知ったのだ。

因みに今日は、三日間ある大会の最終日らしい。

……初日と二日目、見てないんだけど(涙)


電話で「明日は必ず応援しに行くね!」と言ってみたら「気持ちは嬉しいけど大丈夫だよ!本当に気持ちだけで大丈夫だから!」と言われてしまった。


俺がいるとプレッシャーになるのかな?

それとも、遠慮してるのか、見られたくないのか。

そう思ったが違った。

早香にはちゃんとした理由があったみたいだ。

早香いわく……


俺が大会を見に観客席に行く→かっこいい俺は囲まれる→ネットで盗撮され拡散→会いに来る人が現れる→人が増える→どんどん増える→増えすぎて溢れる→会場パニック


ってことになるらしい。


……はは、大げさだな、早香は。


男の陸上部の奴とかいるだろ?

……え?いない?

男は特別な施設でやる?

観客は家族以外入れない?


そうなの? と聞いたらどうやら本当の事らしい。

後で調べたが本当の事だった。←早香、疑ってごめん


それなら男の人で見学する人はいないのかな?と疑問に感じたので聞いてみた。


早香、見に来る男はどうしてるの?

え? そんなの滅多にいない?

いたとしてもボディーガードを大勢付けてる?

…そんな訳ないだろ! 大げさだな、早香ったら。


そんなはずないと思いながらも、一応、ささっと調べてみた。

「試合観戦 男」ってググっただけで、ずらっとボディーガードの会社の広告が出てきた。


スクロールしていくと「男性ですが、妹の試合の見学に行きたいのですが、ボディーガードは何人がいいんでしょう?」というちょうどいい知恵袋の質問があったので開いてみた。


どれどれ。

……ふむ、なるほど。

早香、疑ってごめんなさい。


知恵袋いわく、どの大会かによるが小さな大会でも最低三~五、大きな大会なら十~二十人は必要らしい。

普段よりもボディーガードの人数は増やした方がいいと書いてあった。


俺は早香に謝った。

早香は笑って許してくれた。


……ところで、普段よりもボディーガードを増やすようにと書いてあったんだが、普段からボディーガードを付ける人がいるのだろうか?

……まあ、気にする事でもないか。


さて、応援は大丈夫と言われだが、早香の姿をどうしても見たい。

危険と分かっていても、それでも応援には行きたい。

なので、どうにかしてでも行きたいという旨を早香に伝えた。


早香は「気持ちは嬉しいけど、修史が大変だから応援は大丈夫だからね!」と言ってきた。

うーん、そうは言ってもやっぱり愛する恋人の活躍や頑張りは見てみたい。


どうにか出来ないものか?

そう考えていたら、早香が「応援は大丈夫だから!……そのかわり、もし優勝したら、プレゼントが欲しい」と言ってきた。


なので「勿論だよ!……もし優勝したら俺の初めてをあげるよ!」と言って電話を切った。


電話を切る瞬間に何か声が聞こえた気がしたが、折り返しの電話が無かったので、大丈夫だろう。


勿論、俺の言ったプレゼントの「初めて」とは、想像を裏切って申し訳ないのだが、男と女の初めての営みの事を指す。

聞えはいいが、簡単に言うと……やっぱり何でもない。


勿論、それだけではなく、形に残るプレゼントも用意しておく事にする。

指輪かネックレスかな。

……どうなるのか(色んな意味で)楽しみだ!


まあ、余計なプレッシャーになるといけないので、気の効いた応援のメッセージを一応送っておいた。

いつもと同じように頑張ってほしい。


電話を切った後、俺はどうにかしてこっそりと応援にいけないかと考えた。

しつこいかもしれないが、どうしても生で早香の頑張る姿を見たいのだ。


しばらく悩んだ。


(はっ! これならいける!)


そして、考えに考えて俺は一つの案を生み出した。


ーー


俺は考えた案のおかげで、堂々と観客席の入り口から入り、見やすい前の方の席に座る事ができた。

念のため人の側には座らないようにした。


観客から見渡すと、準備運動している早香をさっそく見つける事が出来た。

早香は、走りやすい、お腹も太股も二の腕もしっかりと露出した格好をしている。

少しエロいなと……間違えた。

目の保養になった。


早香だけでなく、他の選手もなかなか……おっと、いけない。

早香だけを見つめる事にする。


本当なら「早香、頑張って!」と応援したいのだが、今の俺は声を出しての応援は出来ないのだ。

なので、恋人の早香を心の中で応援しながら見守った。


ん? 何故、声を出して応援出来ないかって?

それは声を出すとバレるからだ。

……女装しているって事が。


俺は魔法のような化粧とウィッグのおかげで、完全に女の姿になっている。

元がいいからだろうか?

我ながらそこそこ可愛い。

好青年っぽい俺の顔が嘘のように、もの静かな女性ってイメージの顔になっている。


勿論、体型をを隠すためにスリムに見える服をコーディネイトしてもらったりもしている。

何処から見ても女性だ。

……すばらしい。

昨日考えた自分の策の完璧さに惚れ惚れする。


まあ、メイクもウィッグも服装も自分で何か出来る訳が無いので、また母さんにお願いをしてしまったのだが……。

急に頼ってしまって申し訳ない。


母さんには昨日、「女装したい!」と電話して協力をお願いした。

母さんが勘違いして発狂したので、事情はしっかりと説明した。

そういう趣味は無いので安心してほしい。

今回の事で少しだけ女装の魅力が分かったのは事実だが……。


まあ、そんな感じで母さんの呼んでくれたプロの方々のお陰で、今はこうして堂々といられる訳だ。

帰ったら母さんにお礼をすると決めた。


席に向かう際に、何人かと目が合ったが、皆無反応だった。

誰にも気付かれなかったみたいだ。


女装するだけで、楽しみにしていた早香の姿が見れるのでとても嬉しい。


まあ、女装への抵抗など無かった自分だからこそ出来た作戦だろう。

……もしかして俺の性格って、少し変わってるのかな?

そう感じた。


ーー


その後、しばらくして早香を見つめていたら場内アナウンスがかかった。

どうやら最初の勝負がスタートするみたいだ。


早香がスタートラインに向かった。

気持ちが入っているようで、顔が真剣そのものだった。

部活で早香の真剣な表情は見たことがあるのだが、今日はいつもよりも目が鋭くなり、かなり集中しているのが伝わってきた。

早香じゃなくて俺の方が何だか緊張してきた。


選手達が並び、足の置く位置の調整などを済ませた。

いよいよスタートするみたいだ。


会場がさっきより静かになる。

そして……


パンッ


音が鳴り響き、選手達が一斉に走り出した。

早香を心のなかで応援しながら見つめる。


(いけ!頑張って!早香!)


完璧なスタートを切り、早香が一歩前に出る。

前傾姿勢からだんだん背中が真っ直ぐに伸びていく。

それと同時に、ぐんぐんと速さの段階が上がっていく。


(……凄い!速いぞ!早香たん、そのままファイト!)


足にギアでもついてるんじゃないか? と疑いたくなるような走りだ。

綺麗なフォームで、加速に加速を重ねて早香は走る。

周りとの差がどんどん開いていく。

そして、早香はそのまま、ぶっちぎりの一位でゴールした。


(凄い!やった!早香が一位だ!)


俺は自分の事のように喜んだ。

テンションが上がって、騒ぎたくなったが我慢した。


「キャー!早香、いい走りよ!早香!ナイス!」


変わりと言っては何だが、隣から俺の思った事と同じような事を言ってくれている人がいたので嬉しかった。

隣の人の声に、俺の気持ちも乗せておくとしよう。


ん? 隣?

……あれ? 今気付いたけど、さっきまで隣に誰もいなかったような。

寒気がした。


ゆっくりと隣を見る。

そのにいたのは、早香のお母さんだった。

……あれ? 俺の女装バレてるのかな?


一応、声をかけ……ようとしたら「修史君もわざわざ応援しに来てくれたの?」と先に声をかけられた。


はい、早香の応援に来ました。

いえいえ、恋人として当然です。

……いえ、女装に目覚めた訳ではありません。

カモフラージュです。

それにしても何で俺の事に気付いたんですか?

……何となくですか? ははっ、凄いですね。

はい、一緒に早香の応援をしましょう。


俺は今から、早香のお母さんと一緒に応援する事になった。


もう、早香のお母さんをお義母さんと呼んでもいいんじゃないかな。


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