芽亜は友達に恵まれているらしい
励ましのコメントありがとうございます。
そのコメントを貰いつつも間が空いて…(謝罪)
三人の小学生のお客さんが来てしばらく時間が過ぎた。
俺は相変わらず、ソファーで恋人たちとメッセージのやり取りをしている。
まあ、恋人たちと言っても今は主に愛奈だけど。
妹達が何をしているのかは知らないが、やっぱりお茶菓子でも持って行った方が良いのではないか?と考えていた時、妹の友達の秋妃ちゃんが俺の元にやって来た。
「秋妃ちゃん、どうしたの?」
「えっと…その…修史さんと少しお話したくて…。」
「ん!?お、おっけー!全然構わないよ!」
秋妃ちゃんはモジモジと恥ずかしそうにしていた。
何やら俺とお話したいらしいので、勿論OKした。
断る訳がない。
前の世界で「少し、話をしたいんだけど…いいかな?」と好きだった女の子に話しかけたら「嫌っ!無理!」とだけ言われ、かなりのショックを受けた経験のある俺だからね。
断られた時の心の痛みが分かるのだよ。…本当に。
だから、可能な誘いは断らないのさ!はっはっは。
…そんな嫌な思い出は忘れよう。
「取り敢えず、隣に座りなよ!」
「えっ!?あ、はい!」
話をするのに少し遠かったので、隣に座って貰った。
恥ずかしそうに下を向いて赤くなっていて可愛いらしい。
(さて、何を話そうかなぁ。)
妹の友達と何を話せばいいのか悩んだ。
妹の話から入ればいいか、それとも秋妃ちゃんの事を色々と聞くか。
そもそも俺となんで話がしたいんだろう?
…はっ!?
(秋妃ちゃん、もしかして…俺に惚れたか!?)
なんだかそんな気がした。←この世界に来て体が、人の好意を感じられるようになってきている
まあ、女の子って年上の男の人に魅力を感じる人が多いらしいからね。
「秋妃ちゃん。」
「は、はい!」
「ははっ、そんなに固くならなくて大丈夫だよ。」
秋妃ちゃんの肩に力が入っているのが分かった。
肩でも揉んだ方がいいだろうか?
いや、揉むなら肩以外を揉みたいので止めておいた。
「秋妃ちゃんはいつから芽亜の友達なの?」
無難な質問をしてみた。
「えっと…学年が上がって同じクラスになってから…です。今日来た、夏樹ちゃんと冬姫ちゃんもです。」
「そうなんだ!芽亜は学校ではどんな感じ?」
「え、えっと、芽亜ちゃんは…しっかりもので優しいクラスの人気ものですよ!…ブラコンですけど。」
「そっかー。芽亜は流石だなぁ。…ん?今、ブラコンって言った?」
小学生の口からブラコンという単語が出て来て驚いた。
「芽亜ちゃんはいつも修史さんの自慢ばかりしてますよ。もう、飽き飽きしました。」
「ははっ、それはそれは。うちの芽亜が迷惑かけてごめんね。」
芽亜に好かれているのが良く分かって嬉しい事なのだが、少し注意しておくとしよう。
「…でも、芽亜ちゃんの気持ちが今なら良くわかります。私だって修史さんみたいな素敵なお兄さんがいたら、きっと自慢しますから。」
「ははっ、ありがと。」
嬉しかったのでまた頭を撫でた。
撫でられて秋妃ちゃんは嬉しそうにしていた。
「そ、それに、芽亜ちゃんが修史さんの話をしている時って、すっごく生き生きとしていて、嬉しそうでとっても可愛いんです!そんな芽亜ちゃんを見て、クラスの皆も元気を貰っていると思うんです!…飽き飽きしたのは本当ですけど、芽亜ちゃんは今のままが一番だと思うんです!」
そう言うと秋妃ちゃんはとびっきりの笑顔を見せた。
純粋で想いやりのあるその笑顔を見て、俺の心臓が少し跳ねた。
芽亜の事を理解してくれている、本当にいい子だと感じた。
「…そっか。それは良かったよ。これからも芽亜と仲良くしてね、秋妃ちゃん。」
「勿論です!任せて下さい!」
秋妃ちゃんはちっぱいを張った。
間違えた。
胸を張って答えた。
芽亜の学校での様子が分かって、いい友達にも恵まれていることも知ることが出来て、安心した。
ー
その後も雑談を続け、秋妃ちゃんと仲良くなれた気がした。
時間を忘れて話を続けていたら、芽亜が来た。
「秋妃ちゃん、長い!」
「わ、分かってるけど、まだ修史さんとお話したい!」
「次があるからダメ!」
「むー!」
次って何だろう?
俺がそんな疑問を浮かべている間に、芽亜が秋妃ちゃんの首根っこを掴んでズルズルと引きずっていく。
「わ、分かったから、芽亜ちゃん少しだけ待って!…修史さん」
「ん?」
「ま、また家に遊びに来てもいいですか?…修史さんに会いに。」
上目遣いでそう聞かれた。
ダメな訳が無い。
恋人たちが嫉妬しない限りはね。
「ははっ、いいに決まってるよ。家にあまりいないかもだけど、いつでもおいで。」
「は、はい!ありがとうございます!」
「お、お兄ちゃん!優しすぎるのもダメなんだからね!もう!」
芽亜はそう言い残し、秋妃ちゃんを引きずって行った。
ー
秋妃ちゃんが部屋に戻ってから、リビングで一人になったのでコーヒーを飲みつつ、恋人たちとのメッセージのやり取りを再開した。
愛奈が「家にまた来いよ!」とのメッセージと共に、猫とのツーショット写真を送ってくれた。
愛奈も猫も可愛かった。
嬉しかったので、お礼に胸元をわざとらしく開いた写真を撮って送ってあげた。
まあ、写真を送った後に恥ずかしさが込み上げて来たのだが。
胸を見られる恥ずかしさじゃなくて、自分がナルシストで調子に乗っていると気付いた恥ずかしさね。
前の世界で、胸チラ写真を自分で撮って、世に発信している女性達は、恥ずかしさを忘れてしまったのだろうか?
少し疑問に感じた。
そんな疑問を抱いていたら、廊下をトタトタ走る音が聞こえてきた。
廊下の方を振り向くと、リビングの入り口に元気よく夏樹ちゃんが登場した。
「修史お兄ちゃん!うちと遊んでー!」
「元気だね、夏樹ちゃん。勿論いいよ!何して遊ぶ?」
「んー、プロレスごっこ!」
「ぶはっ!?」
優雅に飲んでいたコーヒーを吹き出してしまった。
慌ててテーブルに散らばったコーヒーを拭く。
落ち着け、クールにいこうぜ!
「なな、何かな?そのプロレスごっこっていうのは?」
いきなり言われてついエッチな事を考えてしまった事を反省してから、一応どんな風な遊びか聞いてみた。
「それはなっ!仲良くなれる遊びだぞ!裸になって色んな技を決めるんだって!パパとママがそう言ってたぞ!パパとママが仲良しなのは毎日のプロレスごっこのおかげだって!」
「な、なるほどね。そうかそうか。」
そうかそうかじゃねーよ、何を納得してんだよ俺。
それって完全にアウトの奴でしょ。
夏樹ちゃんの両親、何を子供に教えてんの!
…おっといけねぇ、焦ってしまったぜ。
ここはクールにいかないと。
「んー、でも、プロレスごっこは厳しいかなぁ。」
「な、なんでだ!?うち、修史お兄ちゃんと仲良くなりたいんだ!だ、だから…プロレスごっこ…やりたい。」
夏樹ちゃんの表情が曇ってしまった。
数秒前まであんなにパーっと明るい笑顔だったのに。
だが、今は何か他の遊びを探すしかないのだ。
「俺もね、夏樹ちゃんとは仲良くなりたいよ。でも、プロレスごっこは無理。」
「そ、そうか。修史お兄ちゃんが無理なら…しょうがない…えぐっ…あれ?うち…なんで…泣いて。」
夏樹ちゃんは悲しそうな表情をした。
と、思ったら目からポロポロと涙を流してしまった。
「な、夏樹ちゃん、落ち着いて。大丈夫、大丈夫だから。」
自分でも何が大丈夫なのか分からないが、とりあえず大丈夫と言っておいた。
まあ、そもそも落ち着くのは俺の方だけど。
(ヤバいヤバいヤバい!小学生泣かせてしまった!ど、どうすれば!だ、誰か助けて!)
泣いている小学生を前にして、内心オロオロとしてしまった。
こういう時、どうすればいいのか悩んだ挙げ句、俺は軽く夏樹ちゃんを抱き締めた。
「えぐっ…っ!?」
泣き止んでくれー!と心の中で思っていたのが通じたのか、ピタッと夏樹ちゃんは泣き止んだ。
背中をゆっくりと擦ってあげる。
「っ!…あ、ありがと。修史お兄ちゃん…。」
「ははっ。大丈夫だよ、少し驚いただけだから。」
少し心が疲れた。
小学生だから感情のコントロールがまだ出来ていなかったのだろう。
仕方がない。
「…修史お兄ちゃん、うちもギューってしていい?」
「ん?いいよ。」
甘えたいのかな?
可愛らしい。
心が疲れた分、夏樹ちゃんの抱き心地を堪能するとしよう。
これでむしろ得になる。
夏樹ちゃんは、芽亜よりも少し細くて、力を入れたら折れてしまうんじゃないかと感じつつも、胸元に引き寄せて離したくなくなるような抱き心地だった。
そして女の子特有の甘い香りの中に、柑橘系の香りが混ざっていた気がした。←嗅いだわけではない、不可抗力だ
「さあ、もう大丈夫かな?」
「うん!ありがと!…それと…迷惑かけてごめんなさい。」
「ははっ。迷惑だなんて思ってないから大丈夫だよ!…さあ!気を取り直して遊ぼ!」
「うん!えへっ!」
ー
その後、元気良く遊んだ。
夏樹ちゃんを腕にぶら下げたり、抱き抱えてくるくる回したりと頑張った。
夏樹ちゃんがきゃっきゃと楽しそうにしていたので良かった。
肉体的に意外と疲れたけど、笑顔が見れたからいいだろう。
活発で元気だけど、繊細な一面もあるのかな?と思った。
「な、夏樹ちゃん!お兄ちゃんにそんなにくっつかないで!」
「えー!やー!」
「やーじゃないの!早く離れて!」
芽亜がまたまた登場したので、そんなに長くは遊んでいられなかったが、仲良くなれたと思う。
少しでも俺と離れると飛んで抱き付いてきてくれる程度にはね。
俺に抱き付いて離れない夏樹ちゃんを、芽亜が必死で剥がしていたのが面白かった。
芽亜は本当にいい友達に恵まれていると思う。
もう一人の友達の冬姫ちゃんはどんな子なんだろう?
続きは今日のうちに投稿します。
ブックマーク800件超え
…本当にありがとうございます。




