パーティーに備えたらしい
女性にプレゼントって何をあげるか悩みますよね。
…嘘です。
そんな贅沢な悩み持ったことありません。
ー 修史が母さんと話をしている頃 ー
天童院家では、一人の美少女がベッドの上で毛布にくるまりながら…いじけていた。
「ううっ~、せっかくのわたくしのバースデーパーティーなのに、修史様に招待状を送れないなんて…。」
そう彼女の名前は天童院理沙。
松本修史ファンクラブの代表でもあり、修史に看病された経験も持つ金髪ドリルお嬢様だ。
理沙は修史を自分のバースデーパーティーに呼びたかった。
優しくてかっこよくて紳士な修史(理沙にはそう見える)を心から慕っているからだ。
今日までに何度、修史と一緒に踊る妄想をしたことだろう。
しかし、現実では、理沙は招待状を修史に渡すどころか、まだ書けてすらもいなかった。
それどころか、「貴重な修史様の休みを私なんかが…。」とマイナスに考えてしまい、バースデーパーティーの存在すら伝えられていなかった。
そんな彼女を側で見守っているのは、理沙の専属メイドである水無月だった。
「お嬢様は悩みすぎなんですよ!見てくださいよ、ほら!」
そう言って水無月は、テーブルの横にあるゴミ箱をを指差した。
理沙は毛布の隙間から顔を出し、ゴミ箱を見た。
そこには何枚もの招待状がグシャグシャに丸められ、無惨に積み上げられていた。
それは理沙が何度も招待状を書き直した証拠だった。
「気のきいた言葉なんて考えなくても、修史様ならきっと大丈夫ですのに。お嬢様ったら…。」
「だ、だって仕方ないですわ。何て言って招待すればいいか分からないんですもの!それに図々しいとか思われたくないですし。」
「…ハァ…。まったく、お嬢様は…。」
メイドの水無月はうじうじする理沙を見て、ついついため息をついていた。
「…修史様には以前お会いしましたが、とても優しそうな青年てした。お嬢様とも、とても楽しそうに話しておられましたね。見るからに仲が宜しいと感じました。」
水無月は静かに理沙に話しかけた。
「…ま、まあ、確かにわたくしと修史様は、仲がいい方だと勝手にですが思っていますわ。」
少し照れながら理沙は言った。
実際、理沙と修史の仲は良い方だ。
お互いがお互いに好意を持っているのだから当然だろう。
水無月はそんな理沙を見て、少し頭を押さえながら根本的な事を指摘した。
「では、お嬢様。もし、お嬢様と仲の宜しい修史様が、バースデーパーティーに呼んで貰えなかった事を知ったとき、どう思うでしょうか?」
「…そ、それは…。」
理沙は考えた。
仲の良いと思っていた友達に誘われなかったらどう感じるのかを。
そして…気付いた。
「…もしかして…誘わなかったこと自体が、修史様に対しての失礼に当たってしまう…!?」
理沙は驚き体を起こして、水無月を見た。
水無月は「よくわかりましたね!」とでも言わんばかりの表情をしていた。
「そうです!その通りですお嬢様!招待状を送る事に意味があったのです。」
「な、何でその事を早く言ってくれなかったのよ水無月!こ、これじゃ修史様に嫌われちゃう…。」
理沙は焦っていた。
理沙の脳裏には「パーティーに誘ってくれないなんて酷いよ」と言って離れていく修史、それを「待ってくださいあの時は!」と言って手を伸ばすが結局届かない、自分の惨めな姿が写っていた。
(…やれやれ、お嬢様は。頑張り屋さんなのにいつも何処かずれているんですから。…まあ、そんなところも可愛いんですけどね。)
涙目で今にも泣き出しそうな理沙を水無月は優しく抱き締めた。
「大丈夫ですよ、お嬢様。奥様が松本様のお家宛に招待状を送ってありますから。」
「ふえっ?お、お母様が!?な、何故そんな事を?」
理沙は水無月に抱きついている状態で顔を上げた。
そんな驚いている理沙を、不思議そうに見つめながら水無月は続けた。
「何故って…。奥様のお得意様の会社の社長が、修史様のお母様にあたりますから。…知らなかったんですか?」
「えっ!?そ、そんな事、聞いたことすらありませんでしたわ…」
そう、偶然にも理沙の母親は修史の母親と面識があったのだ。
理沙の母親は修史の事はほとんど何も知らないのだが、「娘に何か縁が出来たらいいな」と考え、面識のあり娘と同世代の子供がいる家には全て招待状を送っていたのだ。
…この娘を思う気持ちが後々、会社の事業拡大に繋がって行くことなど、理沙の母親はこの時はまだ知るよしもなかったのだが。
「お母様、流石ですわ。ああ、これで修史様が来てくださるかもしれないのですね!」
理沙は母親に感謝すると共に、修史が来てくれる可能性がある事を知り歓喜した。
(…まあ、招待状を送ったところで会社の規模が違いますからね…。来てくれる可能性は限りなく低いのですが…。…この事は言わない方が良いでしょうね…。)
水無月は招待状など見向きもされないだろうと予想していたが、その事は敢えて理沙には言わずにいた。
理沙の不安そうな顔をこれ以上見たくは無かったからだ。
「修史様に見せるドレスはどうなさいましょうか?派手すぎるのは修史様の好みに合わないでしょうか?ああ、パーティーが楽しみで仕方ありませんわ!」
「今からじっくり選びましょうか、お嬢様。修史様に振り向いていただけると良いですね。」
「そ、そうですわね!頑張りますわ!」
水無月は、理沙の恋心満載の笑顔を見ながら微笑んでいた。
…もし修史が来なかった時にお嬢様のテンションがだだ下がりしないかを心配しながら。
(修史様修史様。貴方をきっと振り向かせて見せますわ!)
理沙は自分のドレス姿を鏡でチェックしながら、修史の事を考えていた。
気合いは充分だ!
…まあ、かなり前から修史は理沙に好意を抱いているのだが。
ー バースデーパーティー 前夜 ー
松本家では…。
(…待てよ。そもそもパーティーって言っても俺は何をすればいいんだ?……。こ、これはまずいぞ!?)
修史は焦っていた。
何故かというと、自分は明日、何をすればいいかそもそも知らないし、パーティーでの礼儀作法など元庶民の自分が知っているはずが無かったからだ。
(お金持ちのやるパーティーってどんなやつだ?踊ったりするのかなぁ?俺、エスコートの仕方とか知らないんだけど…。神様、助けてよぉ!)
漫画などで読んだ知識やパソコンで調べた知識が、正しいのかすら分からなかった修史は、結局母親に助けを求めた。
「修くんは昔からそういうパーティーには出たこと無かったから仕方ないわね。良いわよ!教えてあげるわ。」
「ありがとう、母さん。」
「うふふっ。頼って貰えて嬉しいわ。手取り足取りしっかり教えてあげるからね。」
その日、修史は上級者向けの礼儀作法を覚え、男としてのランクを一つ上げたのであった。
「…修くんが良ければだけど…ベッドでの女の子の喜ばせ方も…母さんが教えてあげよっか?」
「あ、それは遠慮しておきます。」←真顔
「そ、そんなぁ~。」
本気で残念がらないで欲しかった。
息子のそういうディープな問題は気にしないで欲しいと思った。
どどど、童貞じゃななな、無いんだから。
(パーティーは午後からだから、プレゼントは明日の朝にでも買いにいけばいいかな?それを渡して告白すれば何も問題は無いよね!)
ちゃっかり修史は理沙に告白するつもりでいた。
理沙の見た目も、少し内気で素直なところも修史は好きだった。
多少、簡単に人を好きになりやすいところはあるが、それも修史の良いところの一つだろう。
(…楽しみだな。喜んでくれるといいけど。…フラれたら…泣くなぁ。ははは。)
楽しみな気持ちと不安な気持ちが混ざり合いつつ、修史は早めの休息を取った。
次話はいよいよパーティー本番です。
早香、天音、雫、愛奈に加えて理沙も恋人に出来るのか?
ノクターン用も執筆を進めているので、投稿遅くなったらごめんなさい。
ノクターンにも今年中には投稿しますので、そちらもよろしくお願いします!




