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早香に勉強を教えていたら…一言言われたらしい

この物語は松本修史の恋愛の物語を淡々と描く小説です。

過度な期待はしないでください。


…いや、R15程度の期待はしてください。




天音の引っ越しが終わり、休みが終わった。

天音のパン屋さんでのバイトも今日から始まるみたいだ。

母さんの雇ったパン作りのプロ二人に混ざって働くらしい。

ぜひ、近いうちにお邪魔したいと思う。


さて、今週が終わると待ちに待った夏休みになる。


「夏といったら海とか森でバーベキューとかだな。」

「いいですね!ぜひ行きましょ!」

「わ、わたくしもご一緒してよろしくて?」

「楓と日和も連れてきたい。」

「おう!皆いいぜ!じゃあ予定決めとくわ!」


早速予定を和気あいあいと話し合う。

しかし、そんな中ただ一人、会話に参加しないで問題集とにらめっこしてる人が…。


「み、皆余裕そうにして。ず、ずるいよぉー!」

「ああ、やっぱり早香は困ってるんだね。」


なんだか必死そうな早香を天音が呆れた顔で見ていた。

何を焦っているのだろう?


「早香?どうした?そんな必死そうに問題集眺めて。」

「な、何って!て、テストだよ!今週のテストで赤点取ったら補習で夏休み学校に行かないとなんだよ!」


ああ、そう言えばテストあるわ。

懐かしいなー、高校生のテスト受けれるなんてワクワクするぜ。

まあ、一様大学出てるし、授業で分からない事とかないから赤点はあり得ないけど。

どうやら早香は必死のようだ。


「赤点取らなきゃいい話じゃない。」

「あ、今天音は言ってはいけないこといった。それが難しいかは困ってるのに。天音のバカ!」

「まあまあ、落ち着いてください。今から勉強すれば大丈夫でふよ!」

「そうですわ。要点さえ抑えればきっと大丈夫ですわ。」

「み、皆。そんな簡単な事じゃないんだよぉー!」


どうやら早香は本当に勉強が苦手らしい。

パラメーターを運動神経に全降りしたみたいだ。

まあ、恋人が困ってるのでここは一肌脱ぐことにしよう。


「早香、俺が放課後教えてあげるよ。ほら、テスト前だから部活もないだろ?一緒にがんばろ!」

「…修史…。ありがとう!わたし頑張るよ!」


おう、優しく笑顔を向けたら元気になった。

単純だ。

勉強教えるのに一肌脱ぐけど、ついでに服脱いじゃったらごめんね。

あ、脱がすの間違いか。


「修史、早香を頼むね。バイトあるから放課後無理だから。」

「私も習い事あるので、お願いします修史さん。」

「わたくしも予定が入っているので申し訳ありません。」


おや、皆予定があるみたいだ。

まあ、まだテストまで3日あるし、明日か明後日にでも参加してくれればいいだろう。

今日は二人きりできちんと勉強するから任せてほしい。

…保健体育の勉強してもいいかな?

テストないけど。


「それじゃ、今日は二人で勉強しよっか。」

「えっ!?う、うん。…修史と二人きり…か。えへへっ!」

「うわ、完全に浮かれてるよ。大丈夫かな…。修史、早香に厳しく教えてあげてね。」

「おう!任せとけ!」


早香は凄く楽しみにしているみたいだ。

それはいいがしっかり勉強してほしい。

教える側も頑張るからさ。



放課後になった。

予定がある三人はささっと教室から去っていった。


「早香、取り敢えず勉強するか。どうする?学校でやってく?それともどっか行く?」

「えっ!?あ、そうだね。うーん。…わ、私の部屋とかじゃ…だめ…かな?」


早香の部屋にお呼ばれした。

上目使いで恥ずかしそうに「だめかな?」なんて言われたら断れる訳がない。


「大丈夫だよ!それじゃあ、行こっか!」

「ほ、本当!?やった!」

(修史が私の部屋に…。勇気出して…。いやいや、なに考えてるの私。勉強優先だよ!変なこと考えるな私!…でも、もしかしたら…。)


即決でOKし、早香の家へと歩き出した。

今の早香は前の世界で例えると、高校生カップルの男の方が、彼女を家に誘うようなものだろう。

つまり下心があるのではないか?


早香を横目でチラッと見ると、心なしか何時もより顔が赤く見える。

(なんだこの雰囲気は。もしかして本当に誘ってるのか?)


インターネットで調べた情報によると、どうやらこの世界では女性がデートに誘ったりプロポーズしたり、性交渉するのが一般的らしい。

女性の方が性欲が圧倒的に多く、恋愛に対して積極的。

しかし、男性はそこまで性欲が無く恋愛にも消極的なのが普通らしい。


それどころか女性嫌いや女性を道具のように雑に扱う男性も多いみたいだ。

…ふざけた男どもがいると怒りを感じたよ。


まあ、とにかくこの世界で女性が男性を家に誘う行為は、一般的にエッチしないか?という意味にもとらえられるのだ。

つまり、早香が俺を家に誘うのは…。


(…いやいや、待て待て。変な期待はするな俺。今までも女の子の家に行っても何もなかったじゃないか!テスト優先、そう!テストで赤点回避してもらって夏休み一緒に遊べれば良いじゃないか。うん、きっとそうだ。)


邪な感情を無理矢理抑え込み、早香の家に着いた頃には平常心をなんとか取り戻した。


「お、お邪魔します。」

「ど、どうぞ。散らかってるけど。」


早香の家に来たのは久しぶりなので少し緊張した。


「取り敢えず、部屋に行こっか。」

「お、おう!」


リビングで勉強でも良かったのだが、早香が部屋に入れてくれるみたいなので遠慮はしなかった。


「おー、久々だな。告白した日以来かもね。」

「そ、そう言えばそうかもね。…あの時も修史は凄くかっこよかったよ!」

「そ、そうかな?ありがと!」


褒められたので照れた。


早香の部屋はシンプルで片付いていて、黒猫のクッションや水玉模様のベッドなど、以前と変わりは無かった。

とりあえず部屋の中心にあるテーブルの横に座る。


「…お茶持ってくるから先に準備してて。」

「了解!先に何の教科やるかだけ教えて!」

「国語からお願い。」

「おっけー!」


早香が部屋を出ていったので勉強の準備をすぐに終わらせる。


(準備はこんなもんかな。…それにしても早香の部屋はいい香りがするな。…ん?)


待っている間、早香の部屋をキョロキョロと見回していると、ベットの下から本の端の部分がはみ出している気がついた。


(なんだろ?どれどれ?)


掴み引っ張り出した。

イケメンの男が上半身裸でポーズをとっている表紙の本だった。

…うん?あれ?この世界で男の上裸って…。


「お待たせ修史!」

ビクッ

「お、おう。」


急にドアが空いたのでビックリした。

反射的に本は元の位置に戻した。


「どうしたの?そんなに汗かいて。暑い?」

「いや、大丈夫だよ。」

「そっか、はいお茶。」

「ありがと。」


お茶を飲み、心臓を落ち着ける。

…忘れよう、何も見なかった。


「じゃあ、勉強始めよっか。」

「うん、お願いします!」


軽くお茶を飲みつつ、早香に勉強を教えた。

そこまで勉強が出来ないという訳ではなかったが、要領が悪く応用が苦手みたいだった。


「うーん、難しいよぉ。」

「はいはい、しっかり教えるから頑張って。」

「うん…。」


早香は、一時間ほどしたら集中力が切れたのか、問題集ではなく俺を見る時間の方が多くなっていた。

それどころか途中から教える俺に寄りかかってきたり、抱きついてきたり、頬っぺにキスしてきたので驚いた。

嬉しいけども今は勉強に集中してほしい。


「こら、勉強するんじゃないのか。」

「ちょっとだけ!お願い修史!ちょっとだけ休憩ちょうだい!」

「もー、しょうがないなー。」


まあ、少しくらいならいっか。

…何だかんだ、甘くしてしまう。

厳しくしないとだめだろうけど、そんな事俺には出来ません!


「やった!ありがと修史。」

「もー、少し休憩したら直ぐに再開するからな!」


笑顔が可愛いから俺もイチャイチャしたくなるのだ。

勉強モードからラブラブモードに変更だ。

…俺は単純な男だ。



しばらくイチャついていると、何やら早香がモジモジしはじめた。

トイレいきたいのかな?

いや、違うな。何か言いたそうにしている。


「…ねえ、修史。いきなりだけど私の事好き?」

「うん、大好きだよ。いきなりどうしたの?」

「…こ、こんなこと言ったら修史は私の事嫌いになるかもしれないけど、その…。」


なんだ?何を言われるんだ?

言われたら嫌いになること?

…うーん、なに言われても嫌いになれない気がする。


「どうしたの?はっきり言って。別に何言われてようと嫌いにならないから。」

「そ、そう?本当に?」

「うん、勿論だよ。何言われても大丈夫さ。」

「そ、それなら言うね!…あの…。」


若干緊張してるのを顔に出さないようにしつつ、次の早香の言葉に備えて耳を傾ける。


早香は俺の目を見ながら、恥ずかしそうに言った。


「しゅ、修史と…したい…かな。」


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