みんなに心配されたらしい
凄く温かくて柔らかくて気持ちいい。
安心するような、癒されるような…。
そんな幸せな気分だ。
「起きて!お兄ちゃん!どういうこと!?」
…うん?なんだろ?何やら周りが騒がしいような?
でも気持ちいいから気にしない…。
「…修史?」
…うん?何やら嫌な予感が…。
気のせいかな?
「お兄ちゃん!!」
「…んっ!?」
妹に呼ばれた気がして目が覚めた。
目を開けると目の前にスヤスヤ寝ている可愛い愛奈の顔があった。
……どういうことだ!?
…もしかして、まだ夢の中かな?
夢ならあんなことやこんなことしてもいいよな!
よぉし!
「「修史っ!!」」
「はっ!?」
早香と天音に呼ばれた気がしたのでとっさに体を起こした。
取り敢えずキョロキョロする。
…あれ?どういう状況だこれ?
妹と早香と天音と雫さんと天童院さんが俺をじーっと見ている。
早香にいたっては目がうるうるしてる。
天音は蔑んだ目で俺を…。
どうしたんだ?皆…。
…ん?
ふと、隣を見ると気持ち良さそうに愛奈が寝ている。
あれれ?夢じゃなかったのかな?
寝ぼけ眼を擦り、寝ている頭を起こす。
しかし、状況は整理できない。
「えっと…。皆、おはよう!」
取り敢えず、挨拶をした。
「「「「「おはようじゃないよ!(ありませんわ)」」」」」
怒られちゃったよ。
「な、なんだっ!?」
大きな声に愛奈が起きた。
愛奈も皆を見て混乱している様子だ。
「お兄ちゃん!どういう事!?」
「…芽亜、多分誤解だ。俺はなにもしていない…かもしれない。」
「「…修史?」」
「うーん、なんだこりゃ?何であたいは修史と寝て…。はっ!思い出したぞ!」
「本当か愛奈。皆と俺に説明してくれ!皆の目がだんだん怖くなってるから!」
取り敢えず、俺の知っているところまで話し、その後の事を愛奈に話して貰った。
ー
「もう、そういう事ならしょうがないけど、無理してた事に関しては怒るからね!家族なんだから遠慮せずにちゃんと私に言ってよね!」
「…はい。すみません。」
愛奈に事情を説明してもらい事なきを得た。
妹は無理をしたことに対してぷんすか怒っていたが。
「頼ってくれてもいいのに。…恋人なんだから。」
「私もそう思う。…無理してほしくない。」
「…すいません。」
恋人の二人にも注意されてしまった。
今度から気を付けよう。
よぉし、今度看病してもらうときはナース服のコスプレをしてもらってそこから…。
「修史、ちゃんと反省してる?」
「はい、すみません。」
ごほんごほん。
プレイの内容は置いておいて、今度体調を崩したら皆に甘えようと思う。
逆の立場から考えて、困った時に頼られないと寂しいもんね。
せっかく皆来てくれたし、だいぶ元気になったのでお茶を飲みながらリビングでゆったり話をすることにした。
まあ、一人一人どういう関係かを妹に聞かれたので、説明にほとんど時間を使ったんだけどね。
なぜかその間、妹はずっと俺の膝に座ってくっついていたんだが。
特に恋人の早香と天音を意識しているみたいだった。
対抗心でも燃やしてるのかな?
「芽亜、皆と仲良くしてくれな。いい奴らだから。」
「わ、分かってるって。…ちょっと妬いちゃうけど。」
「うん?なんか言ったか?」
「…なんでもない。」
妹は俺に対して独占欲があるみたいだったが、俺にとって皆大切な人なので我慢してもらう事にする。
「皆も芽亜のこと、よろしく頼むな。俺の大切で大好きな妹だから。」
「「「「「勿論!」」」」」
皆、妹に対して悪い印象は持っていないみたいなので良かった。
これからも仲良くやってほしいと思う。
俺のハーレ…じゃなくて大切な人同士で。
しばらく会話を楽しんで、皆は帰った。
「修史が元気みたいでよかった。」
「お大事に。」
「何か出来ることがあったら言ってくださいね。」
「じゃあな!修史。」
「修史様、ごめんなさい。この後も良く休んでください。」
「皆、ありがとな!また、いつでも来いよ!」
それぞれ、優しく声をかけてくれて心配してくれてとても嬉しかった。
(本当にありがとな、皆。心が温かくなるよ。)
少しうるっときた。
前世とは大違いなこの瞬間が、とっても嬉しく幸せに感じた。
心配してくれる人がいるだけで、心が救われるんだなと学んだ。
ー
「で、お兄ちゃん、あの三人も恋人希望なの?」
「っ!?いきなり何を!?」
「だって愛奈って人に限っては一緒に寝てたし、他の二人とも楽しそうに話してたし。恋人さんにしたいのかなって。」
夕食後、妹にそんな事を言われた。
その通り!と言いたいがまだ考え中なのだ。
もちろん、あの三人と付き合いたい気持ちはある。
「うーん、まだまだ先の事かなーって思ってるよ。」
だが、付き合うより先に早香と天音と、もっともっと思い出を作っておきたいのだ。
二人との時間がまだまだ物足りなく感じてる。
もっと二人と仲を深めてお互いを知りたい。
だから、自分には恋人という関係を増やす気にはなっていないのだ。
相手から告白されたらわからないけどね。
「じゃあ、いずれは恋人さんになるってこと?」
「相手さえ良ければ、いずれはそうなるかもね。」
「…ふーん。そっか。」
「恋人が増えても芽亜が大切な事には変わらないよ。」
「だ、だよね!…でも、それでも…なんだろ。…モヤモヤするの。お兄ちゃんがずっと、これからも変わらず私を大切にしてくれるのは分かってる。でも、いざお兄ちゃんと親しい人達を見たら…不安というか…寂しいよ。」
芽亜は下を向いてうつむいた。
…そんな顔するなよ。
俺がそんな不安を吹き飛ばしてやる!
「芽亜。大丈夫だから。…えいっ!」
俺は妹の頭を撫でて抱き寄せキスをする。
「んむっ!?」
最初は唇を当てるだけだが、途中かれ舌を挿入さる大人なキスに変更する。
「んっ…んんっ!むぐっ!?」
寂しさを吹き飛ばすまで、長くしつこく妹のちょっぴり甘い口内を攻める。
「んっ……ちゅ、くちゅ…はぁはぁ。」
妹の体から力が抜けるのが分かった。
「ふぅ。」
顔を放すと唾液の架け橋が出来ていた。
妹は顔が赤くとろんとした表情をしていた。
「これから先、俺に恋人が増えても芽亜が大好きな事には変わらないから安心してな。…もし俺が早香とか天音とか他の人とも結婚したとしても、ずっと側にいるから。」
もちろん俺はこれから恋人が増えていくだろう。
最低でも五、六人くらいにはなってしまうはずだ。
もちろん恋人も大切だ。
だが、それを理由に妹を寂しくさせる事などしない。
大好きな芽亜の笑顔を崩させやしないのだ。
「…絶対。絶っ対に約束だよ、お兄ちゃん。お兄ちゃんが恋人さんと結婚しても側にいさせてね。」
「ああ!もちろんだよ!」
「…えへへ。嬉しいな。…お兄ちゃん、もう一回キスして。」
「はいはい。」
再びキスをした。
つくづく自分をシスコンだと思う。
だが、それも仕方のない事だろう。
だって妹の事が好きで好きでたまらないのだから。
(早香と天音も恋人が増えたら寂しく感じるかな?もっと愛を伝えたいな。)
妹も恋人も愛で満たしたいと思った。
ー 次の日
「ゲホッゴホッ。…お兄ちゃん。芽亜、熱があるみたい。」
「だ、大丈夫か!?ど、どうしたら!?きゅ、救急車呼ばないと!」
「お、お兄ちゃん大袈裟だって!普通に看病して~!」
「はっ!?そ、そうだな。ごめんごめん。俺が今日1日ずっと看病するからな。」
風邪は芽亜に移ってしまっていた。
「ゴホッゴホッ。」
「お姉ちゃん大丈夫!?」
「大丈夫…。楓、日和。移らないようにマスクしなさい二人とも。」
「日和、今日は二人でお姉ちゃんを看病するよ!」
「…おー!」
「大丈夫だよ。…でもたまには甘えようかな。」
天音にも移っていた。
「ケホケホッ。」
「雫大丈夫?」
「寝てれば大丈夫よ、お母さん。」
「夜中に勉強でもしてたの?」
「ううん、ちょっと友達の風邪が移ったみたい。」
「…男友達?」
「…?そうだけど?」
「っ!?詳しく聞かせなさい。」
雫も風邪をひいていた。
「うー、喉いてー。修史の風邪移りやがったな。」
「ヤった後に汗かいたまま裸で寝てるからよ!」
「ち、ちげぇよ!あ、あんな本に書いてあった変なことなんてしねぇっつうの!」
「あら、なんだ。もったいない。それでも女の子かしら。」
「う、うるせぇ。あたいはあんな変な事したくねぇっつうの!」
もちろん愛奈も風邪をひいていた。
「ゴホッ。か、風邪がぶり返しましたわ。水無月来てくださいな。」
「あら、お嬢様。また風邪ですか。」
理沙もダウンした。
しかし、そんな中ただ一人。
元気に登校している強者がいた。
「おっはよー!…ってあれ?皆いないし。」
そう、早香だ。
早香はピンピンしていた。
「ひ、一人は寂しいよぉー!」
早香は一人寂しく過ごした。
ー
後日、風邪をひいてた皆は回復し登校できた。
「修史も天音も雫もいなくて寂しかったんだからね!」と抗議してきた早香をなだめて、いつもの日常が再開した。
「早香だけ元気だった。…まあ、なんとかは風邪ひかないっていうしね。…あ、そういえば…。大丈夫かな?」
日常が再開したのはいいが、天音は早香に対してとある心配をしていた。




