天音が帰って来たらしい
ー 時刻は午前2時を過ぎた。 ー
静かな部屋でうとうとしていると、玄関の開く音が聞こえ誰かが入ってきたのが分かった。
まあ、十中八九天音なんだけどね。
俺はそっと体を起こしながら、抱きついている楓ちゃんと日和ちゃんを布団におろし、二人をくっつけるように動かした。
そしてゆっくりと部屋のドアを開けに向かう。
ガチャ
「天音、おかえり」
「…ふぇっ!?」
「しぃー!」
「…っ!?」
ドアを開けると目の前に、夕飯の残りをキッチンで温めもせずに食べている天音がいた。
俺に驚いて声をあげたので、ジェスチャーで静かにするように促した。
「しゅ、修史!?な、何でいるの?」
「天音に会いたくて来た。…事情は後で話すよ」
二人を起こさないように小声で会話をした。
「とりあえず、ゆっくりご飯は食べて」
「えっ!?あ、うん…分かった」
ご飯の途中で申し訳なかったので先に済ませて貰うことにした。
ご飯を温めないのは、レンジの音で二人が起きてしまわないようにする天音の気遣いだろう。
そう考えると余計に天音が素敵に思えた。
「見られて食べられるのは恥ずかしいだろうから、俺が食べさせてあげるよ!」
「えっ!?い、いや…そ、そっちの方が恥ずかしい気が…」
「いいからいいから!はい、あーんして!」
天音は顔が少し赤くなっていたが、嬉しそうだった。
…今考えれば、天音の夕飯を作って待っておくのも良かったかもしれない。
「ご馳走さまでした。…は、恥ずかしかった」
ご飯を終えた天音にお茶を差し出すとゆっくりと飲んだ。
今からしっかりと天音には休んで貰おう。
「事情は後。シャワー浴びたり着替えたりしてからね」
「…んっ、分かった」
天音が了承したのを確認すると、俺は食器を洗い始めた。
「…あ、あのー。しゅ、修史。そこにいられると服が脱げないんだけど」
キッチンの反対側には浴室があり、脱衣所はないのでここでいつも脱いでるみたいだ。
まあ、さっき俺もそうしてたのだが、それは盲点だった。
「あっ、ごめん。部屋に入るね。…それとも一緒に入る?」
「んんっ!?…う、嬉しいけど…今日は…その…つ、疲れてるから」
天音さんは珍しくかなり動揺していた。
1割は冗談だったのだが…。
まあ、可愛い反応が見れたし、一緒に入るのは新しい家に引っ越してからにしよう。←確定事項
「そっか、分かったよ。ゆっくりと待つよ」
「…ん、なるべく早く済ますね」
「いや、気にしないで!」
そう言って楓ちゃん達の寝ている部屋に戻り、ドアを閉めた。
ドアの前でたっていると天音の服を脱ぐ音が…。
俺は紳士なのでそっと耳を防いだ。
少しして天音のシャワーを浴びる音が聞こえて来たので、食器洗いの続きをする。
直ぐに洗い終わったのでまた部屋の中に戻って、寝ている楓ちゃんと日和ちゃんの頭を撫でながら天音を待った。
ー
「それで、今日はどうしたの?」
寝る支度を済ませた天音とキッチンの前に立ちながら話をした。
部屋だと二人が起きちゃうかもしれないからね。
「俺ね、天音が大好きなんだ」
「…んんっ!?えっ?えーっと…そ、その…ありがと」
「それでね、どうしても天音の過去の事が知りたくなっちゃってさ…悪いかもしれないけれど…調べたんだ」
「…そうなんだ。…どう…思ったかな?」
天音の表情が少しだけ暗くなる。
どう思ったかと聞かれると、正直、難しい。
見方を帰れば様々な考え方が出来たからだ。
「天音はとっても凄いってことを感じたかな。…俺には到底まね出来ないよ。…それに天音は強い女の子なんだって思ったかな」
取り敢えず、天音に対して思うことを話した。
アニメ「パ◯の言うことを聞きなさい」の瀬川祐○くらい大変だと思った。
「…そっか。…んっ。ありがと。…確かに色々あって辛かった時もあったけど、今は修史のお陰で大分気持ちも体も楽だから。…心配しなくても大丈夫だからね!」
「心配ないよ」と笑顔を見せてくれた。
でも、その瞳の奥には…。
「…ははっ。…それなら良かった。でも、心配はするよ。天音が大切だからね」
そう言って俺はゆっくりと天音を抱き締め、愛しい唇にキスをした。
天音も俺に応えるように、背中に手をまわしてくれていた。
「…ありがとね。私も…修史が大切だから心配だよ。…女の子に襲われないかとかね」
「はっはっは。襲われる事なんてエロアニ…じゃなくて漫画じゃないんだからあるわけ無いよ。大丈夫だって!」
「…修史はもっとさ、自分のかっこ良さを理解した方がいいよ。…もう!」
「お世辞でもうれしいよ」
少し呆れたような顔をされてしまった。
「俺は天音に襲って欲しいよ!」と言おうかと一瞬思ったが、止めておいた。
天音は俺に襲われる側だからね。
早香なら完全に襲う側だと思うけど。
「まあ、取りあえずさ…。天音の過去の事はある程度は分かってるつもりだからさ。…何かあったり、悩んだら相談して欲しい」
「…んっ!そうするかも」
「かも…じゃなくて!」
「ん…分かった」
天音は俺の目をじっと見たあと、少しだけ口角が上がっていた。
…よし!これで悩んだら相談してもらえるだろう。
約束は守ってくれると信じてるからね。
「よしっ!それでね次が本題なんだけどさ。俺が天音の為に、実はいい物件といいバイト見付けたんだけど…。興味無い?」
母親の力を行使した物件とバイトを天音に紹介することにした。
あたかも俺が頑張った雰囲気を出してしまっているが、全ては母さんのおかげと言う事は忘れていない。
「…わざわざ調べてくれたの?修史」
「まぁね!かなり良いと思うから見てみてよ!」
平然と嘘をつきながら、携帯で細かい情報を天音に見せてあげた。
どれどれ…と携帯の情報を読み取っている。
「…ん?んんっ?えっ!?こ、こんなのあるわけ無い…よ。だって私さ毎月、色々と調べてるけど…こんなの初めて見たよ!」
天音は目を丸くして驚いていた。
ちょっ、驚くのは分るけど、もうちょい静かに!
二人が起きちゃうから!
「…それで…どうかな?」
「…うーん。何か曰く付き…とか裏があるとか…無い…よね?」
「無いから!」
携帯を怪し気に見つめる天音を見て、俺は少し笑ってしまった。
「それならいいけど…。うーん。取り敢えず、今すぐには決めれないから、近いうちに様子を見に行ってから決めるかな」
なるほど、まあそうだよね。
「うん、それがいいと思うよ。じゃあ、土日のどっちかにさ…一緒に見に行こっか!」
「…えっ、それって…。…んっ!そうするね!」
見学してから決めることになった。
よし!これは見学と言う名のデートだ!やったね!
「おっけ!曜日決まったらまた教えてね」
「んっ、分かった。…修史、本当にありがとう」
「良いってことよ」ドヤッ
嬉しそうにする天音が見れただけで、俺の心は温かくなった。
「それじゃあ、もう夜遅いし、寝よっか」
「んっ…一緒に…だよね?」
「もち!」
「…嬉しいけど…ちょっと恥ずかしい…かも」
はっはっは。可愛いやつめ!
天音の寝る前の歯磨きを待っている間に、楓ちゃん達の寝ている布団の隣にもうひとつ布団を敷いた。
少し待って天音が寝れるようになったので、二人一緒に布団に入り横になった。
天音の方を向いて抱き締めると、柔らかい感触とシャンプーの香りがよく分かった。
(今日は色々あって疲れちゃったな。…流石に眠い…)
俺は疲れたのか直ぐにうとうとしてきたので、天音とおやすみのキスを軽くしてから、スッと意識を手放した。
(…修史もう寝てる、疲れてたのかな?…それにしても…修史はカッコいいよ本当に。…いつもありがとね)
まだ眠っていなかった天音は寝ている修史の横顔をしばらく見つめてから、その頬にそっと唇を当てた。
(おやすみ、修史。…私達の…大好きで…大切な人…)
修史の温もりを感じながら天音も眠りについた。
幸せなのかその顔は微笑んでいた。
二人の寝ている姿を第三者が見ても分かるくらいに、お互いへの信頼や愛情が見てとれた。
朝起きると楓ちゃんと日和ちゃんも修史に抱きついて寝ているのだが、それはまた別のお話。
次話から日常に。
エロゲー見たいな感動からのエロを目指したいです。




