お弁当を食べたらしい
ブックマーク150人越えました。
本当にありがとうございます。
ロリコン紳士頑張ります。
ー 遡る事、数時間 ー
「修史の為にお弁当をつくろうー!」
「「おー!」」
修史が皆の事を想ってお弁当を作っていた時、別の場所では修史の事を考えてお弁当を作っていた三人がいた。
早香、天音、雫の三人だ。
早香の家に集まって、三人ともエプロンを着て気合い十分だ。
「急に作ることになったのはいいとして…早香って料理出来るの?」
「で、出来るよ天音!こう見えて私だって料理するもん。…手伝い程度だけど」
何故お弁当を作ることになったのかというと、早香が修史に彼女らしい事をしたいと二人に相談を持ちかけた事が原因だ。
天音は変な意味でその言葉をとらえ困惑していたが、雫の「手料理を食べて頂くのはどうでしょう?」という発言にハッとし、賛同した。
「りょ、料理かぁ」と早香だけは不安そうにしていた。
「きっと大丈夫ですよ!大切なのは気持ちです!」
「そ、そうだよ!良いこと言った雫!」
お弁当を作ることに賛成した天音だったが、早香のそんなに料理をしたことがないという事実に、多少の不安を抱えていた。
「料理は芸術だよね!塩と砂糖を間違わなければ大丈夫だよねっ!」
「「……」」
多少の不安では無くなった。
確定不安要素(早香)に注意しようと二人は思った。
「…まあ、修史は不味くても美味しいって言って食べてくれそうだよね」
「三人いるんですから、きっと美味しく出来ますよ!」
「そうそう、頼りになる二人がいるんだから!」
早香はとても楽観的だった。
「取り敢えず、どうしましょうか?まずは被らないように一人一品作りますか?」
「えっ!?まずくないか、それは…早香が…」
「むぅ、失礼だな天音は!私だって、卵焼きくらいなら作れるよ!卵焼き担当は私で決定ね!」
「待っ………うん、じゃあ任せるよ」
目をキラキラさせて張り切る早香を見て、言おうとした言葉をぐっと飲み込んだ。
天音は渋々、早香の一人行動をさせてあげることにした。
「卵焼きって簡単だよね!卵焼けば良いだけだもん」
「ハッ?」
信じられないものを見る目で、天音は早香を見ていた。
「ダメですよー、早香さん!愛情を込めるなら、工夫も必要ですよ!」
「そ、そっか!ありがとね、雫。頼りになるよ!…工夫なら考えがある!やってみるよ」
雫のアドバイスが吉と出るのか凶と出るのか…。
天音は何故か鍋で卵焼きを作っている早香を見ないようにしつつ、心の中で修史に謝っていた。
「良いですね!もっと、もっと愛情を込めましょう!」
「うん!もっと色々入れてみるね!」
…ごめん。
意外な要注意人物もう一人いたよ。
雫、楽しくなっちゃって早香を止めるどころか…。
「早香ストップ!雫も止めてよ!」
一人だけドッと疲れながらも、天音は頑張った。
ー 朝のホームルームまであと5分
「はぁー、ギリギリ間に合った!」
「…はぁはぁ。早香速すぎ。し、死んじゃう」
「二人とも、はぁはぁっ。置いてかないでくださいよー!」
「「…胸が…」」
…おっと、握手会をしていたら何やら教室の入り口で聞き慣れた声がしてきた。
一人一人丁寧に対応してるからまだ列はあるんだけどね。
三人とも並ぶかな?
そんな事を思っていると扉がガラッと開き、いつもの三人が入ってきた。
「おっはよー!修史!」
「おは。修史」
「おはようございます、修史さん」
皆、俺を見て挨拶してくれたが、俺の前に並んだクラスメイト達を見て呆然としていた。
「おはよー、皆。今、ちょっと親睦をクラスメイトと深めているんだ」
握手会してるとか連絡先交換してるというのは、少し変な気がしたのでそう言った。
…捉え方を間違えると変な意味になりそうだけどね。
親睦を深める…ちょっとエロいね。←脳内中学生レベル
「えーっ!?ず、ずるい!」
早香は焼きもちを焼いたみたいで少し拗ねた様子だ。
「…親睦…ねぇ?」
あ、天音、そんな蔑んだ瞳で僕を見ないでくれ!
こ、興奮しちゃうじゃないかぁ!←安心して、2割冗談
「わ、私も並んで大丈夫ですか?」
「もちろんさ!」
雫さんは参加しようとした。
が…。
キーンコーンカーンコーン
朝のチャイムが鳴り、佐藤先生がセクシーに教室に入ってきた。
「皆さーん、席に着いてください。ホームルームはじめますよー!」
「「ええっ!?」」
まだ、握手出来てないクラスメイトは絶望の表情をしていた。
雫さんもこの世の終わりのような顔をしていた。
「今まだだった人は、放課後に…ね!」
俺の前に並んでいた女の子達にそう言ってウインクをした。
「「は、はい!修史様!」」
皆、胸の前で手を組んで顔を赤くしていた。
直ぐに席に戻ってくれた。
((修史キュンのウインク、超ドキッとした!はあ~もう、頭から離れないよぉ!))
さすがにウインクはナルシスト過ぎて恥ずかったと修史は後悔していたが、クラスメイトは喜んでいた。
今日1日、修史のせいで授業に身が入らなかった生徒が出た事に修史は気付いていなかった。
ー お昼休みになった ー
(さて、サプライズでお弁当を出そうかな?)
俺はそう思い鞄を覗いた。
(これは早香。これは天音。これは雫さん。よし!きっちり三つあるぞ!…ん?三つ?)
そこで気付いた。
なければいけないお弁当は、早香、天音、雫さん、そして俺の分の4つ。
しかし、鞄には三つのお弁当しかない。
……やらかした。
「修史!ご飯にしよ!」
「あ、ああそうだね」
早香に言われたので、取り敢えずいつものように机をくっつける。
(まあ、仕方ない。俺は購買にでも行ってくるかな?)
最終的にそうしようかと思ったが、驚くことに助けてくれたのは早香達だった。
「修史あのね…、わ、私たち修史の為にお弁当作ったんだ。…た、食べてくれない…かな?」
早香はお弁当を俺に差し出しながら上目遣いで聞いてきた。
二人きりでベッドがある場面だったら、間違いなく早香を美味しくいただいていただろう。
「えっ!?良いの!?ありがとね。すっごく嬉しいよ!早香も天音も雫さんもありがとね!」
神様ってやっぱりいるんだなって思った。
お弁当を渡す早香を微笑みながら優しく見つめていた二人にも、しっかりとお礼を言った。
「特に早香が頑張って作ってたから、頑張って全部食べてね!」
「うん、それは勿論だよ!」
何故か天音はバツの悪そうな表情をしていた。
まったく。
残すなんて事するわけないじゃないか。
可愛い可愛い俺の彼女が作ってくれたんだから。
「大丈夫…かな?」ボソッ
「ごめんなさい、私のせいです」ボソッ
「えっ?」
何か聞こえてはいけない事が聞こえた気がした。
…うん、気がしただけだよね?
「私たちは購買で昼食を買ってきますので、感想は早香さんに聞かせて上げて下さい」
「あれ?皆自分のお弁当は?」
「んっ、時間が足りなかったの。…色々あってね。…ハハッ」
遠い目をしながら笑う天音をはじめて見た。
若干嫌な予感が…。
まあ、そんな事はいいのだが、なんという偶然だろう!
俺が皆のお弁当作って来ているんだな!
「それはちょうど良かった!実は俺も皆にお弁当を作ったんだ!考える事が同じでびっくりしたよ!貰ってくれるかな?」
俺は鞄から三つお弁当を出してそれぞれの机の上に乗せた。
「ふぇっ?修史が…私達の為に」
「えっ?そうなの?」
「そ、そんな良いんですか?」
それぞれ驚いていたので、サプライズは成功だった。
してやったりと思った。
「勿論いいよ!びっくりしたかな?俺も頑張ったからね!」
「修史ありがとね!すっごく嬉しい!」
「…素直に嬉しい!ありがと」
「修史さん、ありがとうございます!」
こうして楽しいお昼が始まった。
「修史の…すっごく…美味しい…よ!」
「……むぅ。予想以上に美味しくて…嬉しいけど…ちょっと女子としては複雑な気持ちかも」
「修史さんは料理も出来て流石ですね!本当、美味しいです!」
三人ともそれぞれ褒めてくれていて凄く嬉しかったし、頑張ったかいがあったと思った。
…妙に早香の言い回しがエロくて、食べていたタコさんウインナーが…いや、何でもない。
「さて、俺も頂くかな!」
皆の食べている姿をある程度見てから、俺はお弁当箱を開けた。
中には彩りの良くバランスの良さそうな見た目だった。
素直にとても美味しそうだった。
…何故か真っ赤な卵焼き?みたいなものがあるのを除いて。
「お、美味しそうだね、頂きます!」
「ど、どうぞ!」
早香達は俺が食べるのをじっと見ていた。
俺がお弁当に入っていたグラタンを食べると、天音の目付きが鋭くなった。
「うん!すっごく美味しい、最高だよ!」
「よ、良かった!嬉しい!」
天音さんは珍しくガッツポーズをして喜んでいた。
良い俺のお嫁さんになってくれそうだ。
早く結婚して子供を…。
おっと、妄想の世界に入りそうになってしまった。
気を取り直してアスパラのベーコン巻きを食べると、雫さんが緊張した表情になった。
「うん、これも美味しいよ!」
「そうですか!良かったです!」
雫さんは胸に手を当ててホッとしていた。
ぜひその胸も味見を…おっといけない。
現実から逃げようとしてしまった。
「さて、じゃあこの卵焼き頂きます!」
いよいよという感じで早香がそわそわしていた。
天音は何故かそっぽを向いていた。
やめて、修史のライフはもうゼロよ!
デザート攻撃なんて、今の修史はきっと耐えられないわ!
頑張って修史!決して負けないで!
次回、修史 死す!




