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登校までの日常も楽しいらしい

イベント起きる前に、ゆったりとした日常の風景を。

テーレレ テレレーレレ… スッ


「んー!」


いつもより早い時間にセットしたアラームを止めて、体を伸ばす。

伸びをしてふうと息を吐く瞬間に、今日もこの世界での朝が来たんだと実感する。


今更だが、寝ているベッドが柔らかすぎると感じた。

もう少し硬いほうが寝やすいなと思いつつ、体を起こしにかかる。


スゥ…スゥ


(ん?なんだ?天使の存在を近くに感じる)


上体を起こして隣を見ると、寝息をたてながら眠っている可愛いてんしがいた。


ふふっ、可愛い。

俺は軽く微笑んで、妹の頭をそっと撫でる。


「…むにゃむにゃ。お、お兄ちゃん…だめだぉ、そんなところ…」


…はて、妹はどんな夢を見ているのだろう。

…ま、まあ、妹の寝言は聞かなかった事にする。


取り敢えず妹を起こさないように、静かに部屋を出て一階に降り、朝の準備をする。


顔を洗い、キッチンに向かい、エプロンを付け冷蔵庫から食材を出す。


(お嫁さんが出来たら、朝ごはん作るの交代交代にしようかなぁ?それにお嫁さん沢山いれば、ローテーション回せて負担が減るよなぁ。いや、待てよ?人数が多いと逆に大変かな?…難しい)


そんな事を考えながら朝食の準備の準備に取りかかった。


今日はそれと平行して、いつもお昼を一緒に過ごす、早香と天音と雫さんのためにお弁当を作る事にした。

もちろん愛奈の分も忘れない。


(喜んでくれるといいなぁ)


なぜ急にこんなことを思い付いたかと言うと、単にお世話になってると感じていて、何かお礼をしたいと思ったからだ。

それに俺がお弁当を渡せばいつか相手も、俺のためにお弁当を作ってくれるかもしれないと考えたからだ。


女の子にお弁当を作ってもらいたい!

その男の夢を達成する為の努力だ。


妹や母さんの分も作ってあげたかったが、妹は小学生なので給食があるし、母さんにいたっては何処で何をしているのかすら知らないので諦めた。


(どんな反応してくれるかな?…ふふっ、楽しみだなぁ)


愛情や感謝や下心の詰まったお弁当作りを、俺は朝から張り切った。




「芽亜ー、ご飯出来たよー、起きてー!」


朝食をテーブルに運びながら、妹を呼ぶ。

料理を運びながら妹を起こす自分の姿が、まるで主婦のようだなと思った。


「ふぁーあぁ。…眠い。あっ!お兄ちゃん、おはよー!」


寝ぼけ眼を擦りながら近づいてくる妹を「ペロペロしたい」と思いつつ、紳士的な目線で見守る。


「おはよ、芽亜。今日寝癖酷いけど、シャワー浴びる?」

「うーん。…あっ!お、お兄ちゃんが一緒に…なら…」

「ははっ、それは遠慮しておくよ!早く支度しなー!」

「むー!…分かった!」


朝から妹の裸を見るのは、変にムラムラしそうなのでやめておいた。←七割冗談です


せっかく自然に治まった朝の生理現象が復活されても困るのだ。

妹に対しては保護欲の方が多いけれど、万が一があるからね。


妹は残念そうな顔で俺を見た後、大人しく洗面所に向かっていった。




精神年齢25歳の俺は、朝食等を済ませた後、まずは小学校へと向かう。←変質者じゃないよ

少し暑い日差しの中を、妹の歩くペースに合わせながら仲良く手を繋いで歩く。


途中途中すれ違う人がみんな俺の顔を見て固まるので、若干気にはなった。

しかし、いつもそんな感じなので気にしないようにする事にした。


(ん?何か違和感が…。んー、何だろ?…人通りが多くなった?)


学校に通って最初の頃は人通りはそんなに多くは無かったが、今では日に日にすれ違う人が多くなった気がする。

…たぶん気のせいじゃないと思うんだけどなぁ。


そう思いつつ歩いていると、妹の通う小学校に着いた。



妹の小学校は校庭を囲うように、綺麗な大きな校舎が建っている学校だ。

見た目は真新しく、門も立派で校庭もかなり広い。


税金使いすぎじゃないだろうか?と思ったのだが、なんとこの小学校は、母さんがお金を出して芽亜の為に改築をしたらしい。


母親は俺だけでなく芽亜も大切に想ってくれているようで何よりだ。

まあ、完全に親バカだが。

…お金持ち怖い。


「お兄ちゃん、送ってくれてありがと!それじゃあね!」

「ああ、今日も1日楽しんできな!」

「うんっ!」


そう言うと妹は、校門の中で待っている顔馴染みらしきグループの中へと向かっていった。


そのグループはというと、なぜか先ほどから俺を見ながら何やらひそひそ話をしている。


「みんなー!おはよー!……えっ?み、みんな、何っ!?」


…おや?なんだろう?

妹がグループに近付いた瞬間に囲まれた。

グループの女の子達に何やら言われているようだが、大丈夫だろうか?


「芽亜ちゃん!何度も頼んだけどお兄さんに私を紹介して!」

「「「私もっ!!」」」

「本当に一生のお願い!一度でいいからお兄さん貸して!!」


妹は困り顔で、他の女の子達はなんというか…。

必死の形相だ。


「み、みんな落ち着いてよ!お兄ちゃんは忙しいから無理だって!」

「「「そこを何とかっ!」」」

「む、無理だよぉ」


困っている妹も可愛いが、グループの女の子も可愛かった。


因みに会話は全て聞こえている。

俺は地獄耳なのだ!はっはっは!


モテるって罪深いぜ!←調子に乗った


そんな妹を見つめている時、ふと、妹が友達を家に連れてきたり、友達の家に遊びに行くと言った事が無い事に気が付いた。


もしかしたら、妹は俺の事が心配で、いつも友達の遊びの誘いなどを断っているのかもしれない。

そう考えると申し訳なく思えた。


「お願い!芽亜ちゃん!」

「芽亜ちゃん、一晩だけ!ね、少しだけだから!お兄さん貸して!」

「一晩って!?な、何する気!??み、みんな。また今度にしてよぉ~!」


話の内容から、どうやら妹のお友達は俺とお話したいみたいだ。

…ああ、イケメンな兄を持つ妹も大変だなぁ。←調子に乗りました



困っている妹に「お友達を家に呼んだりするのは、お兄ちゃん迷惑じゃないから大丈夫だよ!」とメッセージを送って、俺は小学校を後にした。



ー ガタンゴトン ー


「お、修史。おは!」

「おはよー、愛奈。」


電車に乗って座席に着くと、俺に気付いた愛奈が近付いて来た。

今日はそこまで混んでなかったので、ちょうど隣の席が空いており、そこに愛奈がピョンと座る。


愛奈がいるなら雫さんも…と思ったが見当たらなかった。


「昨日はどうしたんだ?学校にもいなかっただろ?」

「…あー、実は風邪引いて熱出たから休んだんだよ」


愛奈も心配してくれていたみたいで、昨日の事を聞いてきた。

本当の事は言えないので、熱を出した事にしておいたのだ!


「そうか!…どれ!熱見てやるよ」


そう言うと愛奈は座席から降り、俺の前に移動して俺の前髪と自分の前髪を上げた。


おでこを見せるとさらに幼く見える、可愛らしい愛奈の顔がどんどん近付いて来て、俺と愛奈のおでこがコツンと当たった。

唇を伸ばせば届きそうな距離だった。


(な、なぬ!?愛奈、それは不意討ちだって!!)


愛奈はおでこで俺の体温を確かめた。

不意にそういうことをされたので、かなり照れてドキドキしてしまった。


「うんっ!熱は無いみたいだな!……あれ?やっぱりあるかも。ってか、なんかどんどん熱くなっているような?」


真剣に体温を計ってくれている愛奈には悪いが、俺はドキドキで体温が上昇していた。


(くうー、このシチュエーションは女の子が風邪引いたときにやろうと思っていたのに、逆にやられるとは!!)


俺は嬉しい半面、若干の悔しさも感じていた。


「うーん、やっぱり大丈夫だな!良かったな!修史」

「お、おう。…そうかありがとな!」


熱を計り終えた愛奈は、再び俺の隣へちょこんと座った。

なんとも嬉しいイベントだった。


「あ、そうだ!愛奈、これあげる!」

「ん?なんだ?」


俺は元々渡す予定だったお弁当を鞄から取り出し愛奈に渡した。

心配してくれたお礼でもある。


「実は愛奈にお弁当作って来たんだ。もし良かったら貰ってくれないか?」

「い、いいのか!?…や、やったぁ!ありがと修史!」

「おう!どういたしまして!」


お弁当を渡した後、愛奈はずっとご機嫌だった。

素直に嬉しいという気持ちが伝わって来て、こっちまで嬉しくなった。

朝、頑張って良かったと思う。


((ぐぬぬぬぬ、あの少女め、うらやましい!!))


…ゾクッ!


(うわっ、寒気が…)


なにやら愛奈を妬むような気配を感じたのは、気のせいだろか?

…多分、気のせいだな!


「ふんふふーん♪」


小さく鼻唄を鳴らし足をパタパタさせている愛奈と、電車に揺られながら駅に着くのを待った。


あっ、一応足をパタパタさせたのは注意しておいた。




悪魔1「おでこ当てられた時にキスしてみろよ、絶対に拒否されないって!」

悪魔2 「おでこ当てんのも唇当てんのも変わらねーよな!キャハハ!」


天使 「純粋無垢な女の子になんてこと考えてるんだ!悪魔め!そんなの駄目に…決まって…いや、ワンチャンスありかも!」


悪魔1,2 「だろだろ!」


天使 「俺が間違ってた!次こそは必ず!」

悪魔1,2 「「流石天使!分かってるぅ!」」



電車に揺られている最中に、俺の心中の悪魔と天使が何やら盛り上がっていたが、俺は気にしなかった。

気にしたくなかった。


だが、一つだけ言いたい。

…天使もっとしっかりしろよ。


相手の気持ちを考えて、誘惑に負けずに頑張って行こうと思った。


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