プロローグ
ある少年が暴走車に引かれて死んだ。だが少年はそうは思わなかった。なにせ引かれた瞬間よくわからない場所にいるからである。
「ここは何処だ?なんだこいつら。人じゃねえ。」
あたりは亜人達で満ち溢れていた。どうやらここは異世界らしい。
「これって異世界転移か?」
一方現世では葬儀が行われていた。とうやら転移ではなく、転生だったらしい。皆泣いている。それだけで少しは報われるだろう。そうでない人もいるからだ。
異世界では少年はうろちょろすることしかできなかった。そりゃそうだ、初めての場所だから。
「ここは何処だ、なんで獣が人と仲良くできるんだ。理解できねえ、それよりも学校に戻らないと。人に聞いてみよう。」
完全に人だとわかる者もいた。
「ここからこの高校に行く道のりを教えてください。」
「なんだこの地図。全く分からねえ。何処の国の人だい?」
「いや日本でしょ。みれば分かるでしょ。」
「いやいや全然わからない。おーいアニス、日本っ国知らないか?」
可愛らしい女の人だった。
「知らないけど、なにその変な名前の国。悪いけどそんな国この世界にはないよ。」
ここでやっと異世界だとわかったらしい。車に引かれて死んだことも理解した。
「まさかとてもいい能力もあるんじゃねえか?」
今、この異世界での暮らしが始まる。