轟沈~天皇陛下の決断~
―護衛艦あきづきCIC―
落とせるわけねえだろう。
30発のミサイルだ。30発。
誘導装置の性能の許容範囲をはるかに超えている。
「畜生、何としてでも落とせ!!」
砲雷長の指示も感情的になる。だが誰も咎める者はいない。
誰もが同じことを思っているからだ。
「発射!!」
―戦艦大和CIC―
あきづきが懸命に迎撃をしている。
「洋介……!!」
……もう、助からない。
ついに敵ミサイルは、あきづきのESSMの防空網を突破した。
すぐさまCIWS20mm機関砲が撃たれる。が、たかが知れている。
あきづきの艦体にミサイルは吸い込まれる。
「私のせいか……」
その瞬間、あきづきのアイコンが消失した。
―防衛省地下中央指揮所―
モニターに映ったのは、立ち上る爆炎。
防衛省スタッフがどよめく。
あきづきが沈んでいく。
嘘だよね……?
洋介が死ぬ訳ない。
思い出が走馬灯のように駆け巡る。
3年間の高校生活を。
一緒に国家公務員試験を乗り越えたことを。
そして体を許した私を、優しく抱いてくれた彼のことを。
堪えられなかった。
「ッ……!!!!」
鼻水や涙が垂れ流しになるのも構わず、私は泣きじゃくった。
「うあああああッ…………!!!!」
私の愛した人はもう戻らない。
―首相官邸―
「…………」
先程から誰も喋らない。首相の私も例外ではない。
自分の感情を口にするには、ショックが大きすぎるのだ。
「……失礼します」
1人の警備員が沈黙を破る。
「どうしたね?」
「それが……」
そう言って、彼は廊下を見やる。
……訪問者か?
畏まった様子で警備員は敬礼する。
そこにいた……いや、いらっしゃったのは、日本人の誰もが知っている老夫婦。
「「天皇皇后両陛下ッ!!?」」
閣僚たちが立とうとするが、陛下は手で制される。
「……総理大臣、私は覚悟を決めました」
「陛下……?」
天皇陛下は拳を握られた。
「日本国の象徴……そして国連日本陸海空軍名誉総裁として、日本人がむざむざと殺されていく状況を見過ごせません……!!」
「……!!」
誰もが息を呑む。
それが事実上の勅命であるからだ。
「……かしこまりました陛下。」
私はお答えした。
閣僚たちが一斉に私を見やる。
「……『セ2号作戦』の発動を、宣言するッ……!!」
「わかりました」
両陛下は静かに、だが強く応じられた。
ついに発動する『セ2号作戦』!!!!




