対空戦闘
―戦艦大和CIC―
「殱15、超低空より侵入してきます!!」
「5機編隊、なおも接近」
CICは軽くパニックに陥っている。
無理もない。突然戦闘機が現れたのだ。
「砲雷長、レールガンで迎撃できるか?」
私は砲雷長に問うたが、彼は首を横に振る。
「無理です、これ以上俯角が取れません」
主砲レールガンが使えない。
戦艦大和の主砲レールガンの射程は数百kmに達する。この値は、イージス艦に搭載される艦隊防空ミサイルのそれよりも高い。
だが今回、超低空で侵入されたため、レーダ―での探知が遅れ、さらに俯角が取れないでいる。つまり主砲のアドバンテージを活かせない状況下だ。
そうなると、艦隊防空ミサイル『SM2』を搭載しているイージス艦こんごうが頼りだ。
私は無線機を取った。
「大和CICより、こんごうへ!!」
"こちらこんごうCIC"
「殱15、5機が超低空より侵入して来る!!ミサイルを撃つ気だ!!捕捉ができ次第、これを撃て!!」
"了解!!"
―首相官邸―
「想定外だ……」
中央指揮所を通じてもたらされた情報に、私は愕然とした。
『セ号作戦』ではこんなこと想定していない。
「艦隊の対応策はどうなっている?」
私は報告をした官邸スタッフに聞く。
「はい。現在イージス艦こんごうが対応中とのことです」
こんごうか。
数年前、テロリストに強奪され、戦艦大和が奪い返した艦だ。
少々不安だが、信じるしかないか。
―戦艦大和CIC―
「火器管制レーダ―波ッ、照射されたッ!」
「ロックオンされましたッ!」
怒号とも悲鳴ともつかない声が響く。
「「目標機、ミサイル発射!!」」
"対空戦闘!!"
"近づく目標、SM2攻撃始め"
"発射用意、撃て!!"
こんごうの前甲板VLSからミサイルが放たれた。
"インターセプトまで10秒!"
この10秒は、とても長く感じられた。
―防衛省地下中央指揮所―
私は女だから軍事に詳しいって訳ではないけれども、この状況がまずいってことぐらい分かる。
「洋介……お義父さん……!」
悔しい。もどかしい。ここからじゃなにもできない。
(無事でいて……!!)
祈るしかなかった。




