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防衛出動

―戸村宅―


"速報です。中国軍艦1隻が、未明に尖閣諸島領海に侵入しました"


「「何だって!」」


 それは俺と美香が新婚旅行から帰って来たばかりの朝のことであった。

せっかくの美香の手料理をあわててかきこみながら、ニュースの音量を上げる。


"現在、海上保安庁が対応していますが、軍艦は停船命令を無視して、依然航行中です"


「大変なことになったな。今、統合参謀本部(国連日本陸海空軍の内閣直属の統合参謀本部)が緊急招集をかけたぞ」

親父が端末を操作しつつ俺たちに話す。


 国連軍関連法につき、国連日本陸海空軍隊員には専用端末の携帯が義務づけられており、有事には日本国政府の命令が直ちに届くシステムになった。スマートフォンやSNSが発展したシステムである。


 親父には、大和への護送のため、SH60ヘリコプターが迎えに来るそうだ。



―首相官邸―


 日本国政府は、防衛出動を決定した。

緊急のため、国会の承認は事後とすることとなった。


 私は、内閣総理大臣として首相官邸に統合参謀本部を参集した。

防衛大臣も同席している。

統合参謀長が敬礼してくる。私も頭を下げ応じる。


「防衛出動、国連軍関連法第n条につき国連日本海軍の出動を命ず。なおこれにより、自衛隊は国連日本海軍の指揮下に編入する」


「はッ!戦艦大和を出撃させます」

統合参謀長が言った。

「防衛出動につき第一護衛隊群を出動させます。」

防衛大臣が言った。


 自衛隊と国連日本陸海空軍の指揮系統は違う。

内閣総理大臣、防衛省、統合幕僚監部、統合任務部隊司令官の順に命令が下される。

一方国連日本陸海空軍は、内閣総理大臣、統合参謀本部、各部隊指揮官の順である。

これは、命令伝達の複雑化を招いたシビリアンコントロールを改善するものだ。かつて某元航空幕僚長も嘆いていた問題点だった。

「文民統制の崩壊を招く」と言われそうだが、最高指揮官の内閣総理大臣たる私が文民であるから問題はないはずだ。


 国連軍関連法で、国連日本陸海空軍が自衛隊より上位に立つとされたため、この任務の最高指揮官が私で、現場を仕切るのが戦艦大和艦長の戸村幸一大佐だ。


「今、戸村大佐はどうしている?」

私は防衛大臣に尋ねる。

「現在、自宅よりヘリで移送中です」

防衛大臣が言った。

「そうか、出航の後、直接話したい、後で中継を繋いでくれ」

「かしこまりました」



「頼みましたよ、戸村さん」

私は呟いた。




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