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青鈍の日乗

作者: 熱海イズコ

朝、6時起床。

パジャマから夏用の制服に着替え、昨日の晩にまとめた引越し荷物を抱え(引越し荷物と言っても文庫本3冊と小型ラジオ、タオルケット、下着3セットだけなのだが)アパートを出た。

日中は暑い時期だが、この時間は幾分か涼しい。

この時間を選んだ理由の一つだ。

あと、一つは同じアパートの住人と家族に見られたく無かったからだ。


このアパートには半年ほど前、父が蒸発した後、母と姉と私の3人で越してきた。

母は近所のスーパーで働き、5歳上の姉は大学に通っている。

私は二週間前までは女子高に通っていたが、入学して3ヶ月ほどで退学してしまった。


理由は朝7時に起きるのが非常に辛かった事と、根っからの怠け者の私は学校に行くふりをして、通学途中の公園のトイレでスウェットに着替えると、街中の小劇場で古い映画の三本立てを観たり、図書館で小説を読みふけったりしていた。学校からの連絡で親には直ぐに暴露たが私のサボり癖は一向に治らず夏休み前に退学してしまった。


退学してからは、お昼頃に起きると近所の立ち食いそば屋に行き、200円のお蕎麦を食べ、古本屋で一冊100円の小説を買って公園のベンチで読み、銭湯で一風呂浴びて家に帰るの日々を満喫していたのだが、とうとう、母の逆鱗に触れ、手切れ金15万を渡され家を追い出されてしまったのだ。


そんな事から私は、4日前に契約した、電車で45分の街にあるアパートに1人で引越しをしている最中なのだ。

制服の胸ポケットからハイライトを取り出し咥え百円ライターで火をつける。

当分、この街には帰らないだろうなと、センチメンタルな気分に浸り駅までとぼとぼ向う。

駅前で根っこまで吸ったタバコをローファーで踏み消しガラガラの準急列車に飛び乗った。



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